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ハイペリオン戦記  作者: 松本 ゆうき
第3章 開戦
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第21話 侵攻の真実

 フローラはその場で手早く応急処置をし、レニを食堂まで送り届けた。食堂とは言っても5人座ったらいっぱいになってしまうような、小さなテーブルと椅子があるだけだった。そこにはレオがいて、昼食を食べている。

 彼の隣に座ると、ライ麦パンとひよこ豆のコンソメスープが運ばれてくる。

「すまないね、あまりいい物が出せなくて……戦争の準備で金も食料も余裕もない」

 そう言うレオも、同じ食事をとっていた。

「構わないわ……厄介になってるのは私の方だもの」

 スープを掬って口に運ぶ。

 体に染み渡ってくるような感覚がする。まるで、何年も食事をしていなかったかのようであった。たった1日食べなかっただけなのだが、一口食べただけで急に空腹を覚える。


 食べ終わった後、コーヒーを飲んでいた時であった。

「さて、レニ……色々聞きたいことがあるけどいいかな?」

「私に分かることなら……」

「君はどうしてメックに乗っていたんだい?」

「私はヴェルシュナーに住んでいたんだけど、突然ブロデアのメックが攻めてきて……街を焼いたの」

「で、君はメックに乗って戦った、と……?」

「そうよ」

 レオは10秒ほど黙った。その10秒はいつもより長く感じ、置き時計の秒針の音が大きく聞こえた。

「俺がレディスト領の砦で捕まっていたのは、ある目的でレディスト王国に調査に行ったことがきっかけだったんだ」

「それで捕まったの?」

「そう、ちょっとヘマしてね」

「で、その調査って?」

「レディスト領内に新型メックが生産されている、って情報が入ったんだ。それもブロデアとの国境のすぐ近くにね」

 その瞬間、レニは気付いてしまった。

「それって……まさか……!」

「そのまさかだよ。君の乗っていたメックのことだ。おそらく、ブロデアが侵攻してきたのも、それが原因だろう。そこで聞きたいんだが……」

 一呼吸おいて、レオが言う。

「レニ、メックはどこにあったんだ?」

 この質問に、レニは戸惑った。正直に言って、果たして信じてもらえるのだろうか。

 レオはまっすぐ彼女の見ている。誤魔化しは効かないだろう。

「自宅よ」

「君が嘘をついているようには思えない。しかし、メックは自家用車とは訳が違う。個人が気軽に所有できるような代物じゃない」

「でも……!」

 思わず立ち上がり、レニは声を張る。

「ハイペリオンは……家の地下にあったの! パパがいつも籠もっている小屋に……」

「おい、レニ……それはなんだ?」

 レオが指さす先にあったのは、首飾りであった。立ち上がった時、胸元から零れ出たのだろう。

「見せてくれないか、それを」

 彼が手を伸ばしてくる。


 ——危ない!


 そうレニが言おうとした時だった。


 バチンッ!


 激しい音がレニの前でした。首飾りに触れようと伸ばしたレオの指先からは血が滴っている。

「なるほどね……フローラはこれにやられたわけだ」

 彼は触れないように、できるだけ近くでレニの首飾りを眺めている。

 しかし、それはレニの胸元に近くで、彼女は恥ずかしさを感じていた。

「ユニコーンの装飾……そしてメックの名前がハイペリオンなのか?」

「ええ、そうよ」

 レオはフローラに向かって、指示を出す。

「フローラ、セルチルナー博士を呼んでこい」

「博士が寝ている場合はどうしましょう?」

「叩き起こして、引き摺ってでも連れてこい」

 フローラは一礼すると、風のような素早さで食堂を出ていった。

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