悪魔の記録
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モヤがかかっていて、モヤの中には黒くて硬いゴツゴツとした塊が異臭を放ち続けていた。いっそのこと爆発してくれたらいいのに。
これは私の心だ。
「やってきてほしかったことはこれじゃない。」
私はまたやってしまった。会議室で上司から困ったように言われる。
打ち合わせを終えたそばからどんどん記憶は抜け落ちていく。わざわざメモしても、メモのとり方が煩雑で意味をなさない。たちが悪いのは作業をしているときは間違っていることに気が付かないこと。思い込みが強いせいか夢中になって作業を進めてしまうのだ。
結局作業はやり直し。上司の時間を奪い、自分の評価は下がり続ける。
「どうしてこんなこともできないんだ。」
家族から言われたその一言がずっと頭にこびりついている。
言われたときの胸の内側から抉られる感覚が、失敗するたびに蘇る。悪魔に心を食べられているようだ。
会社、恋人、友人、家族どこへ行っても心のモヤは晴れることはなくってきた。いつの日かこの悪魔が私の心を食べきったときどうなるのか。心に救いを求めるために神様にお願いするなんて不毛なことはしないけれど、どうにかこの悪魔を心の住人として気持ちよく迎えるにはどうすればいいものか。
私はこの悪魔について記録することにした。




