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第4話 泉の側でランチ

「あれ?」

 湿原から館の森に戻るとラナさんもリンたちもいなかった。

 どこ行ったんだろ。館かな?

「……なんでお前もいるの?」

 ヌヴェラも一緒に帰って来ていた。

「ここどこ?」

 フィリアレットさんを見る。

「面白いかと思って」

 てへぺろって。またかい。

 ……この人も変わってると思うんだけどな。

 困惑しているヌヴェラに視線を移す。

「さっきの場所の北の森にある俺の家だよ。どうする? 帰るならフィリアレットさんにお願いするけど」

 ヌヴェラはあらためて周囲を見渡す。

「ん。別に良い。しばらくここにいる」

「じゃあ。あとでここに先に住んでいる奴らを紹介するけど仲良くな。もし襲ったりしたら……」

「し、したら?」

「分かるだろ?」

 ちょっと殺気を出す。

「は、はい!」

 

「どうされました!?」

 慌ててラナさんが来た。

 ベルと千代も。

「え? どうもしてないけど……どうしたの?」

「どうしたのって、凄い殺気でしたよ」

 ラナさんの言葉にベルと千代も頷く。

「え? そんなに?」

 みんな頷く。

 ちょっとのつもりだったのに。難しいな。

 そこへ。

「にゃぬひゃひゃったの?」

 リンたちも来た。

 頬をいっぱいに膨らませて。


 昼飯食ってたのね。

 ……俺も食べようかな。


「じゃあ……小虎は?」

 俺は今、泉の側にシートを敷いて昼飯を食べながらヌヴェラの名前を考えている。

 と言うのもヌヴェラをみんなに紹介し、みんなの事もヌヴェラに紹介したらヌヴェラが自分の名前も考えて欲しいと言い出しだのだ。

「なんか男の子の名前っぽいような? 私女なんですけど」

「え!?」

 聖獣にオスメスあるの?

 ……そもそも聖獣って何?

 フィリアレットさんに視線を移す。

 聞いても「そのうち分かるわよ」でまたぐらかされるんだろうな。

「なに?」

「……食べます?」

 フィリアレットさんはベリー系のジャムを挟んだサンドイッチが好物らしい。

「良いの?」

「どうぞ」

「アリガトー」

 本当に美味しそうに食べている。

「お前にはやるって言ってないけど?」

「え?」

 リンもこっそり俺のサンドイッチに手を伸ばしていた。

「……良いよ。やるよ」

「ヤッター」

 潤んだ瞳には逆らえないよね。

「あの……私の名前」

「ああ。ゴメンゴメン……」

 女の子か…。

 ネコ。

 トラ。

 白猫。

 白虎。

 白……パク……ハク。トラハク。ネコハク。コハク。

 琥珀?

「琥珀は?」

 漢字にしたら『王』も付いてるし。

「なにか意味がありそうな言葉だけど?」

「一応宝石の名前」

 だったかな?

「宝石! 決定!」

 宝石好きですか?

「今日から私『琥珀』ね!」

「了解」

 早速リンたちが名前を呼んであげている。

 仲良くしてくれそうだ。

 

「そういえば稲のほうはどうでしたか?」

「あ。そうそう。あったよ稲」

 俺は赤い稲の束をアイテムボックスから取り出し、ラナさんに渡した。

「赤い植物だったのですね」

「いや、俺が知ってる稲は赤くはないんだよね。だぶん赤いのは温泉の成分のせいじゃないかと思ってるんだけど……」

「という事は、泉の水で育てるとユイ様がご存知の色になると」

「だと良いんだけど」

「何色なの?」

 ベルと琥珀は気が合ったのだろうか、琥珀はベルに抱かれながら頭を撫でられて心地良さそうだ。

「黄金色?」

「金色!?」

 琥珀がベルの返しにピクッとしたが、俺が「金じゃなくて麦みたいな色」と言ったらまたベルに身を預けた。

 俺の時とは随分違うな……。

「賢者の書はご覧になられましたか?」

「あっ。忘れてた」

 早速賢者の書に赤い稲の情報を読み取らせ、見てみる。

 『NEW』

 新種! という事はシャシャート様は見つけられなかった……か、もしくは亡くなった後に進化して誕生したのか。

 ここはシャシャート様の支配地だったし、あんなに目立っていたことを考えれば後者だろうか。

 麦系の植物と見比べてみる。

 麦系には含まれていて稲には含まれていない成分がいくつかあるようだ。

 そして……ライフサイクルが短い?

 つまりあっという間に成長して枯れるという事かな。

 と、すれば……もしシャシャート様が見つけられなかったのだとしたら、それが理由だったのかもしれない。

 それにしてもなぜこの書はそれが分かるのだろう?

 年輪みたいなのがこういう植物にもあるのだろうか……。

「いかかですか?」

「新種みたいだね。あと赤いのもどうやら温泉の成分によるものみたいだよ」

 一通り見終わったので賢者の書もラナさんに渡す。

「ありがとうございます」

 ラナさんは興味深げに賢者の書に目をやる。

 そして、俺は早速数本の稲から籾を取り、芽出しに挑戦してみることにした。

 まずはバケツに泉の水を汲み、籾を入れてみる。

 みんなでバケツをのぞき込む。

「沈んでるのと浮いてるのがあるね」

「たしか浮いてるやつは取り除いた方がいいやつだったと思うんだよね」

 浮いている籾をひとつ摘み取る。

「やっぱり。カラ」

 浮いている籾は全て取り除き、とりあえず今回は2つの方法で芽が出るか試してみることにした。

 一つ目は授業で習った記憶がある網袋に籾を入れて水に浸けておく方法。

「こんな感じ?」

 ベルが泉の側に杭を打ってくれた。

「良いね」

 網袋に繋いだ紐を杭に結んで、籾を入れた網袋を泉に浸けておく。

 二つ目の方法は残しておいた5粒をバケツでやってみる。

 バケツに森の土を入れ、泉の水を土の表面まで注ぎ、籾を一粒ずつ土に植える。

 一応5角形に植えてみた。

 

 さて、どうなるかな。

 

 残りの稲は学術院とサンメニア行き。

 それぞれの専門家にいろいろ調べてもらう。


 そして、次はいよいよ水田造り。

 

 どう造ろうか……楽しみだ。


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