序4 召喚
東の大陸の中央には『ネフトタリス』という名の国がある。
周囲に七つの国が存在し常に侵略に対する警戒感を抱いている。
だがこの国には大陸の中央にあるにも関わらず他国の侵入を許さず、そこに君臨し続けられる"力"があった。
『クリスタル』である。
世界でただ一つのそのクリスタルには何万年という時をかけて膨大な魔力が蓄積されている。
ネフトタリス王国はそのクリスタルを守護する神聖国であると世界に喧伝すると同時に、抑止力としても利用していた。
そして、その神聖国の王はクリスタルを使うか否かの決断を迫られていた。
最悪の魔獣ガレアが南の二つの国を壊滅させ、ついに領土の南にある森を抜けるところまで接近してきていたからだ。
それに伴い周辺国からのクリスタルを使えという圧力は日に日に増していた。
周辺国としては魔獣を討伐出来るかもしれないという希望と同時に、目の上のたん瘤であったクリスタルを失わせる好機でもあるとも考えていたのだ。
ネフトタリスの王も周辺国のその思惑を理解していた。
だからこそ南の壊滅した二か国への支援は迅速かつ多分にしたのだが……。
「やはりやらねばならぬか」
「事ここに至っては致し方ないかと」
「クリスタルを失ったとしてもわが国は世界を救った英雄国と称えられましょう。そうなれば周辺国もおいそれとは敵対行動はとれますまい」
重臣たちの考えは使用することで固まっていた。
あとは王の決断を待つだけの状況だった。
クリスタルを使用した『究極の召喚魔法』の発動命令を。
ただし召喚されるのが何かはわかっていない。
勇者か……悪魔か……魔獣か……またはそれ以外の何か……か。
『それは世界を救う』
そう言い伝えられてはいるが……。
クリスタルを中心として床に刻まれた魔法陣から解明できているのは3つ。
召喚魔法である事。
起動のさせ方。
任意の場所に召喚可能であること。
何が召喚されるか分からないので召喚させる場所は魔獣ガレアの側。
既に隠密能力と分身魔法を有する宮廷魔導士が魔獣ガレアに気付かれないギリギリのところで待機し、召喚させる場所の位置情報を常に把握していた。
命令が下れば『クリスタルの間』にいる上官に、分身体を通じてすぐに位置情報を伝えられるように。
あとは位置情報を魔法陣に刻み、魔法陣の起動箇所に魔力を注ぎこめば発動する手筈となっていた。
王は決断した。
「クリスタルを用いた究極の召喚魔法を発動させよ!」
次話より第1章 第1話が始まります。




