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序3 キノコ

 魔法があるこの世界にも医療はある。

 怪我は魔法で治せるし、魔法で治せる病気もある。

 が、治せない病気もある。

 治療魔法は専門的な知識に繊細な魔力操作が必要なため超高度な魔法と位置付けられており、まだまだ発展途上の段階であった。

 ゆえに、魔法に頼らずに治せる医術と薬術が求められた。

 

 とある薬師の薬草畑。

 その隣にある林では様々なキノコが栽培されていた。

 白いキノコ。赤いキノコ。茶色いキノコ。

 中には毒キノコもあるが、きちんと扱えばどれも何かしらの薬効が確認されているキノコである。

 その中に1つだけ、全体が薄緑色で透けたキノコが僅かに黄色く発光しながら生えていた。

 

 突然変異種である。


 小型の赤い鳥の魔獣は、木の上から初めて見る美しいキノコを眺めながら悩む。

 食うべきか食わざるべきか。

 食べてみたい。でも知らないキノコを食べるのは危険。

 それは知っている。本能的に。


 結局赤い鳥は持ち去ることにした。

 とりあえず自分のものにして巣でじっくり考えようと。

 少なくともこのままでは人間に持っていかれるのは確実だから。


 だが、赤い鳥は巣に戻ることはできなかった。


 巣に戻っている途中、キノコを咥えたまま飛んでいるところを長い舌を巻きつけられ喰われてしまったからだ。

 猿型の魔獣に。

 そこから魔獣の食物連鎖が起きた。

 短時間に。

 喰っては喰われ……喰っては喰われ……喰っては喰われ…そして最後が魔獣ガレアだった。



 このキノコは寄生型のキノコであった。

 魔獣を誘引し自らを捕食させ、胃腸の機能を完全に懐死させることで捕食した者を死に至らしめ、その遺骸を菌床として繁殖する特性を持っていた。

 

 『毒薬変じて薬となる』

 

 もしかしたらこのキノコは良い胃腸薬になったのかもしれない。


 もしかしたらこのキノコはこの世界の魔獣を絶滅させたのかもしれない。


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