プレゼンは堂々と
「あの、どちらかの家でお世話になるのは確定事項という事なんでしょうか?」
私の質問に答えてくれたのは侯爵様の方だった。
「確定事項なのは君が王立学園に通って魔力の研鑽を積むという事だけだ。ただ、先ほども話した通り前もってなんの勉強もしないまま学園に通うのは君自身にとって非常に厳しいだろう。だから我々としては君の苦労を少しでも軽減するための力添えが出来ればと思っているわけだよ」
「そうですか。申し出は非常にありがたいのですが、どちらの家でお世話になるのが良いかを判断する材料が私たちにはありません」
全体を見渡して話しかける。この辺は前世社会人の時のプレゼンにおける知識を動員だ。
プレゼンにおいてはまずは何をおいても堂々と顔を上げ、相手の目を見て話しかける事!
「まずは確認させて頂きたいのですが、私は今後家族とは自由に会うことは許されないのでしょうか?」
この言葉に両親が身を固くするのを感じながら答えを待つ。
「我が家では、ご家族と会うことを止めるつもりは毛頭ないよ」
侯爵様の言葉に続いて伯爵様からも同様の言葉を頂いて少しほっとした。いや多分ゲーム知識では両家は基本良い人だろうとは思ってたんだけど、絶対とは言いきれなかったからね。
ホント、こんな事なら「エリュスト」もっとちゃんとプレイしておくんだったよ。
「ありがとうございます。あとどちらでお世話になるのかは私たちに選ばせて頂けるように聞こえるのですがそれは間違いないでしょうか?」
私からの質問に二人は頷くことで答えてくれた。
本来上位にあたる侯爵家としては伯爵家に対し権力を振りかざして譲るよう圧力をかけたりも、伯爵家側も自ら譲っておもねったりしないって処も好感が持てる。
「出来ましたら試用期間を設けて頂くことは出来ませんでしょうか?2週間~1ヶ月程度交代に両家にお世話になることが出来ればおのずとどちらの家でお世話になるのが自分に合うのかわかってくるのではと思うのですがいかがでしょう?」
私の言葉に侯爵様、伯爵様は目を見かわして同じように頷いた。
自分の希望する方向へ誘導出来たことに心の中でガッツポーズしてた私は自分がやり過ぎてる事に気づいてなかった。