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晩餐会

あの後通された客室は両親とは別に私の部屋があって、家族で相談する暇もなく用意されたドレスへの着替えとヘアメイクを侯爵家のメイドさんによって施された。

本当はお風呂で磨き上げたかったみたいなんだけど、流石にそこまでの時間はなかったらしくてほっとするやら、貴族のエステマッサージにちょっと心惹かれてたりした。人がやってくれるのならなんでもおまかせしたいタイプだからね。

ドレスアップ後やっと家族と対面したら、そちらも同様に身だしなみを整えられてた。

母さんは元々美人なんでドレスが良く似合ってたけど、父さんが思ったより似合っててちょっと驚いた。やっぱり男性の場合胸板厚いのはポイント高いね!

そこから夕食までの1時間ちょいで相談したんだけど、そもそも私たちに選択権はあるのかってのが不明なもんだから決まりようがない。

それでもやっぱり両親は私を貴族の家に預けるのは反対だった。まあ預けるっていうか拉致に近い印象だもんね、その後の待遇は置いておいても。

だから断れなかった場合は、とにかく家族と自由に会える権利をまずは1番に主張しようって事になった。

後はどちらの家にお世話になるかって事なんだけど何しろどちらが信用置けるのかとか平民の私たちには知る由もない。普通ならそうなんだけど、ここがゲームの世界であるならば多分どちらの家でもそこは大丈夫だと思う。でも、それをどう両親に伝えるかが難しいんだよなぁ。

まさか前世の記憶だとかゲームの話だとかは出来ないし、流石に親子でも信じて貰えるとは思えないし。

という訳で私はどちらも選ばない事にした。


先ほどのメンバー10名での食事会では昼間の話し合いで存在を忘れてた(失礼)2人の貴婦人の美しさにまずは目を奪われた。元々美人の人たちがドレスアップした姿もさることながらやっぱり貴族の所作って洗練されてて思わず憧れの目で見てしまった。

これに憧れるなって方が無理だよと思う一方で、自分じゃ絶対こうはなれないとも思ったけど、でもきちんとした所作を習ってみたいという気持ちもむくむくと湧き上がる。

前世も含め普通だったら平民の私にそんな事習う機会絶対ないと思うから。

てな具合で私の決意が一気にぐらついたのを見透かされたようにご婦人達がにこやかに話しかけて下さった。

「ふふ、うちは娘がいないから我が家に来てくれるのをとっても楽しみにしていてよ」

侯爵夫人の言葉にかぶせるように伯爵夫人からも声がかかる。

「あら、我が家にはあなたの1つ下の娘がいるから女の子同士でしか出来ない相談なんかも出来ると思うわよ」

そんな火花散らす会話にドキドキしながらも普段は食べたこともないようなお食事を頂く。

前世のフレンチやイタリアンをうまく混ぜたような料理はこれを食べられただけでも今日は来たかいがあったなと思わせる位美味で、そもそも食堂のシェフを担ってる父さんは多分調理法とか考えながら真剣に食べてて、その時は緊張も飛んでるみたいだった。

私が一番楽しみにしてたデザートが登場するまでは当たり障りない話ばかりだったけど、美味しそうなオレンジムースケーキを1口食べた処でとうとう本題が始まった。

「ところでご家族でのお話は出来ましたか?」

優しい笑顔で伯爵様が話しかけてくれるのに父さんは硬い表情で姿勢を正した。

「素晴らしいお話なんだとは思いますが、やはり家族は一緒に暮らすのが一番だと思っています」

きっぱりと断る父さんかっこいいって心の中で拍手を送ったけど、やっぱりそういうわけにはいかないみたい。

そのお気持ちはわかりますが、と前置いて侯爵様からは私の能力は国にとって有益であり王命ととらえて欲しいという最終通告が来てしまった。





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