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驚きの提案

あの後、両親も促されて石に手をかざしてみた結果、二人ともわずかに色が変化したくらいで光ったりはまったくしなかった。

それを見た伯爵様から石の輝きは魔力の強さを表していると説明があり、私の魔力はかなり高いとの事だった。

この世界では貴族の方が魔力の高い人が多い。それは元々魔力の高い貴族通しでの婚姻が多いからだけど、それでも平民で高い魔力を有する人も時々だが現れる。そういう場合なんの魔力を持っているかにもよるけど国に仕える魔法使いとして功績をあげることで爵位を賜る場合もある。

今回の私の行動はそれに類する出来事だという説明を受けた。

まだ子供でもある私に爵位を授けるわけにもいかないだろうという事で、今後魔法使いとして国に仕えることを見据え王立学園へ入学させてはどうか、という話になっているのだそうな。

ただ王立学園に入るのはほとんどが貴族の子弟で入学前にそれなりの教育を受けているのが普通なので、いきなり平民の私をそこに入れてもそもそも勉強についていけないだろと考えていると。

「そこでお嬢さんを我が家に預けて頂けたらどこに出しても恥ずかしくない令嬢にお育てしますがどうですか?いずれこのセイとの結婚を前提に」

侯爵様がビックリすることを言い出したが、更に伯爵様までが同じような事を言い出してぎょっとする。

「お待ちください、ウィステイン侯。流石に侯爵家では敷居が高いでしょう。我がウェルドリッジ伯爵家にお預けください!テウとも年頃は合いますし、我が家としても婚約者候補に入れるのはやぶさかではございません」

いやいやこの人たち何言ってるの?って思うけどビックリしてるのが我が家の3人だけな事に更に驚く。

これって貴族組はみんな最初からそのつもりって事?

自分の結婚相手にって言われたセイやテウでさえ特に驚いた様子もない。

テウなんかはどちらかと言えば面白そうな顔をしてる気がする。


そこからはどちらの家が私の教育をするかって事でかなりヒートアップしてたんだけど、そもそもなんでそんな事を取り合いしてるのか意味が分からない。

ひょっとして私の功績の取り合いしてるの?って疑問が湧く。ちょっとお小遣い稼ぎ出来たらラッキーって思ってたけどそんな可愛い額じゃないのかなぁ?

もうその功績をセイやテウにあげてしまえばそれで終わりになるならもうそれでもいいのかもって思い始めた。貴族同士の争いに巻き込まれるのとか怖すぎる。

だけどその位で平民を嫁にしようとか思うのかな?ってのがどうにも不思議で下手に口をはさむことも出来ずにしばらくは偉い人二人の闘いをぼーっと眺めてた。

結局その場を収めたのは今までほとんど口を挟むことのなかったウィステイン侯爵家のディードリッヒ様だった。

「お二人とも彼女が私たちの提案を飲む前提でお話していますが、そもそも彼女やご両親にそのお気持ちがなければ終わりでは?」

至極最もなその発言に場が一気に静まり返る。

全員の視線を受けて私を含めた三人は体を小さくして冷や汗をかく。

やっぱりここは子供であり本人の私が言うのが一番角が立たないような気がしておずおずと口を開く。

「申し訳ないのですが、あまりにいきなりのお話でこの場でお返事するのは…。少し考えるお時間を頂けないでしょうか」

ひとまずこの場は一時撤退とさせて頂く。そんな私の思惑は次の一言で見事打ち砕かれた。

「そうですね。本日は我が家にお泊り頂いてゆっくりお考え下さい」

「え?」

ウィステイン侯爵様の笑顔の発言に表情を取りつくろうことも出来ずに秒で不満げな声が出た。しかし狸親父(と思われる)な侯爵様はまったく表情を変えることなく使用人をベルで呼び部屋の支度を言いつけてしまった。

「ここまでご足労を頂いたのですからぜひ晩餐のご招待をお受けください。準備は当家のものにおまかせ頂ければ大丈夫です。気取らない食事会だと思って参加頂ければ大丈夫ですから。それでは後ほど」

とここまで流れるように一気に言うなリ立ち上がって部屋から出て行ってしまった。

それを追うように伯爵様も、では後ほど、と言って侯爵様の後を追って部屋を出る。

3人の子息が席を立つまで私も両親もぽかーんとしたままで、屋敷の使用人の人から声をかけられてようやく自分たちが今日は帰らせてもらえないのだと理解した。



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