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56話 川下り




 鉄拳のハーマングの鉄拳城から否定(アンチ)のゲルゲルのゲル城までの道は、シュレイド一行の当初の目的地である魔王城までの最短ルートから外れる事になる。



 魔界南東の山々に位置するドラゴン道場から、西にすこしと北にちょっと進んだ所にある鉄拳城、そしてゲル城は魔界の東、海岸沿いにあるので東に戻る必要があるのだ。




 「あー、歩くのってかったりぃですですねー! 」


 「馬車、ばしゃしゃしゃしゃ! 求ー!」


 「あー、シュレイドが壊れましたわ! 」


 鉄拳城を出発してから10時間、シュレイド達はずっと歩きっぱなしだった。


 鉄拳城の周囲の山々を抜けると、僅かばかりの草花が生える広野が広がっていた。


 それを川沿いに下って海沿いを目指す。


 「小舟をシュレイドさんの加工魔法で作って下ろうとした時は、岩にぶつかりまくって4回も沈みかけちゃいましたからねー、流石にアレよか歩く方がマシですです」


 リィリィが刺激的な川下りを思い出して顔を青くした。


 「あっ、あっちに建物が見えましたわ! 」


 セレーネが指差した方に目を凝らすと、団子屋があった。


 ……なんでこんな所に団子屋が!?




 チリンチリーン!


 「ごめん下さーいですわ! 」


 団子屋の引き戸を開き、店内に入ると、先客が何人か居た。


 「あっ、お前ら———」


 「あれ、シュレイドさん達じゃねーですかい!? 」


 そこには、フューチャーフック号の面々が居た。


 「貴方達、あの後は大丈夫だったんですの? 貴方達を置いて逃げた私に言えた事ではないですけれど……」


 「ああ、セレーネさん、俺らは見ての通りさ! 」


 「あの後、何があったんです? 」


 「ああ、あのとんでもないバトルを目にした俺達は、見つからない様にそろりそろりと海岸線を北上して、暫くそこにあった廃港で漁をして暮らしてたんだ」


 成る程、ともあれ無事で何よりだ……


 「しっかしようやく辿り着いた新大陸がまさか噂に聞く魔界だったとは驚きだったな……」


 「あっ、やっぱり気付いちゃったですですか……」


 リィリィは申し訳なさそうな顔をした。


 アイツ、魔界に着いた時にフューチャーフックの奴らの事を気にかけてたからな、自分が悪訳じゃないとわかってても、魔界人の負い目みたいのがあるんだろう。


 シュレイドもいたたまれない気分になった。


 「嬢ちゃん、気にすることはねぇぞ」

 

 そんな言葉と共に店の奥から姿を現したのは、フューチャーフック号の船長、フックだった。


 リィリィは彼の言葉に?マークを浮かべている。


 「確かに新大陸はなかった。だが、俺達は別世界とも言われていた魔界に海路で辿り着いた! 前代未聞の偉業さ、すげぇ事さ!」


 「フック船長……」


 リィリィは彼を見上げた。


 「そうだぜ! 」「フューチャーフック最強! 」「地図が書き換わるぜええええ! 」


 「そうだお前ら、もっと騒げ! 俺達がやりとげた偉業を讃えろおおおおおおおお!」


 「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 」」」


 団子屋中に轟音が響き渡った。


 俺達は一つになった。


 団子屋は出禁になった。




 「———川を下りたい? 」


 「ああ、だけど俺の技量じゃこの荒ぶる川を船で下るのは難しかったんだ」


 団子屋を追い出された後、シュレイドはフック船長に事情を話した。


 すると船長は自身の厚い胸板をバシンと叩き、


 「そう言う事なら俺達フューチャーフックに任せろ、川は専門じゃねぇが、こんな小川ワイルドハントと比べりゃあ屁でもないぜ! 」


 と、頼もしく笑った。

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