表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/61

55話 魔王武器




 「いやー、参った。確かにあんな手をソウルテイカーは使わんだろう。シュレイド、本当の戦士よ、お前を認めよう」


 「おう、お前のパンチも今までで一番痛かったぜ……」


 戦いは終わった。

 今は二人とも鉄拳城の医務室で治療を受けている。


 「うう、背中痛え……」


 「はぁ〜い、動いちゃダメですですよ〜」


 治療を担当するのはいつの間にかナース服に着替えたリィリィ。


 治療と言っても、治癒魔法を使う俺を見ているるだけだが。


 まぁ、雰囲気は大事だもんな……


 「そう言えばシュレイドよ、どうして俺の城を通りたかったんだ? 」


 「ああ、それは———」


 俺はドラゴン道場でエレキに襲撃された事、そのエレキが知り合いの顔に似た勇者の頭を持っていた事、そしてソイツが逃げた事諸々の事情を話した。


 「成る程、魔王武器(ディザスターウェポン)絡みか」


 聞き慣れない単語が耳に止まる。

 魔王武器?


 「知らないのか? 最近の魔界は魔王武器の話題で持ちきりだぜ?」


 「リィリィ知ってる? 」


 首を横に振るリィリィ。

 セレーネもぽかんとしている。


 「魔王武器、魔王ソウルテイカーと勇者のバラバラになった死体から作られた武器だよ」


 「え、あの人らの死体ってそんな使われ方してたんですですか!? 」


 驚愕するリィリィと俺。そしてセレーネは自分の右腕をじっと見ていた。


 「ああ、あれ程の強者だ、死してもその体に宿る強大な魔力は、武器の素材として最高のものなんだろう」


 シュレイドはドラゴン道場でエレキと戦った時の事を思い出した。


 モーニングスターの様に振り回された勇者の頭、あれは恐ろしかった。


 エレキはハーマングと比べてパワーは低かったが、スピードは恐ろしく早かった。

 そんな奴がパワー不足を補って余りあるぐらいには、あの頭は強力だった訳だ。


 「確かに、あの強さには納得だな」


 「やっぱ魔界ってとんでもねーとこですわね……」


 「力の為なら死者さえ当然の様に利用する———実に魔界チックな話ですです」


 シュレイドは、魔界は文字通り魔界だと実感した。




 「しかし死体を武器にしてるって事は、ソウルテイカーもアイツと同じ顔の勇者ももう死んじまってるんだな……」


 相打ちって話は転生前にソウルテイカーから聞いてはいたけど、ドラゴン道場であの勇者の頭を見た時、運命だとか、宿命だとか———そう言うワンチャンじみた事を思ってしまっていた。


 だから今の話を聞かされて、俺は純粋にがっかりしている。


 「体のパーツ全部くっ付ければ蘇るんじゃねーの? 」


 ハーマングがなんて事なしにとんでもない事を言う。


 「は? そんな訳ねーだろ」


 「いや、案外否定は出来ないですですよ……」


 「ああ、ソウルテイカーならやりそうだよな! 」


 二人はさも当然と言った感じだった。


 「ええ……」


 どうやら、俺が思っていた以上に、ソウルテイカーはヤバい奴だったらしい……


 「じゃあ、そのソウルテイカーと相打った勇者も、もしかしたら……」

 

 「まぁ、俺はよく知らないけど、あり得なくはないと思うぞ」


 そうか、それなら……


 「アイツを蘇らせて、あの時の雪辱を晴らす事が出来る……」


 「シュレイド? 」


 セレーネが不思議そうな顔で俺の表情を覗き込んできた。


 「どうやら、目指す場所が決まった様だな」


 ハーマングの問いに、俺は顔を上げた。


 「ああ、俺は魔王武器を全て集めて勇者を復活させる。世話になったな、鉄拳のハーマング」


 「ああ、こちらこそ、今日はいい勝負ができて楽しかったぞ。また次の機会にリベンジさせてもらおう」


 「あっ、ちょっと待つです! 」


 割り込む様にしてリィリィが声を上げた。


 「ハーマング、海辺の辺りでゲルゲルと戦ってたですよね? 」


 「ああ、あれはゲルゲルの持つ魔王武器を奪う為に襲撃したんだ」


 「拳のみで戦う貴方が何故武器を奪おうとしたんですの……? 」


 ごもっともな疑問だ。


 「確かに俺は武器なんて使わんが、持っていれば戦いに困らなそうだったんでな。だからそれを持ってるらしいゲルゲルを襲撃したんだよ、結局逃げられちまったけどな」


 「成る程、つまり……」


 「次はゲルゲルの持つ魔王武器を奪いに、ゲルゲルの城に行くって訳ですですか」


 「ああ、進路変更だ! 」


 こうして、シュレイド一行は魔王城への最短距離をちょっと逸れて、ゲル城に向かう事になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ