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19話 民家強盗編〜民家最強武器はフライパン〜

 

 「な、何故こうなるんですのおおおおおおおおおおお? 」


「待てええええええええええええ! 」


 セレーネは花瓶を手にした家主に追いかけ回されていた。

 現在位置は一階の厨房、セレーネはフライパンを手に取った。


 「大きくて硬い、これなら戦えますわ! 」

 

 ブンブンとフライパンを振って威嚇する。


 「へっ、間抜けが! 」

 「失礼しちゃいますわよ! 」


 家主は戸棚を蹴り開けて、中から包丁を取り出した。


 「それはマズいですわ! 」

 「へっ、死にやがれ! 」


 家主が鋭い突きを放つ。

 セレーネは咄嗟にフライパンで身を守った。


 ガキィン!


 フライパンは包丁より大きい! だから技量が低いセレーネでも家主の突き攻撃を防ぐ事が出来た。


 しかし、中年男性の体重が乗った攻撃は重く、フライパンを持った手がビシビシと痺れてしまう。


 「手が痺れてフライパンはもう使えなそうだな、これで終わ———」


 ドスン!

 重い音を立てて家主の顔面に突き刺ささったのはフライパンばかりに気を取られて見えていなかったセレーネの左フックだ!


 「やりましたわ! 」

 

 セレーネは三階に登った。

 三階には屋根裏部屋へと続く梯子があり、それを登る。

 

 屋根裏部屋についた。

 そこは古紙やら何やらの香りに満ちていて、どこか埃っぽい。

 屋根へと続く窓から入る光だけがその部屋を照らしている。


 シュレイドと出会う前、冒険者ギルドの屋根裏で息を潜めていた頃を思い出した。


 そっと埃被った床板を撫でる。

 ゆっくりしている暇は無い、もう行こう。


 立ち上がると、低い天井に頭をぶつけた。


 「そういえばこんな事もありましたわね……」


 屋根の上に出た。

 そこはこの家で一番高い場所でありながら、この家より背の高い建物に囲まれて解放感とは無縁の場所だった。

 

 煌びやかな王都の中にありながら、この屋根上が殺風景に思えるのは、ここに氷の彫像一つがぽつんとあるだけだからだろうか……


 「ってシュレイドがいませんわ! 」


 頼みの綱がぶち切れてましてよ!

 

 「いたぞ! 悪役令嬢は屋根の上だ! 」

 「クソ女が……まだ顔が痛えぞ……」


 しかも辺りからそれらしき声が聞こえるのですけれど……


 見回すと、屋根裏に家主が、道の先に兵士が、家の下に王子が見えた。


 どこにも逃げ場がない。

 八方塞がりとはまさにこの事だった。


 「ぜ、絶体絶命ですわーーー! 」


 焦って後ずさる。

 と、冷たい感触。肩に水滴が落ちた様だ。


 「こんな時に雨ですの? ついてないにも程がありますわよ……」


 濡れた屋根は、滑る。


 そのくらいの事は元箱入り娘のセレーネでも理解できる。

 逃亡生活中に、滑って転んだ事があるからだ。

 

 「何かに捕まらないと……」


 丁度よく氷の像があったので掴まる。

 手が氷にへばり付くのを感じたその時、何もない空間から大量の水が溢れ出た。


 「あばばばばばばばば」

 「なんだこりゃあ、流されるっ! 」

 「ぐわーーー! 」

 

 阿鼻叫喚、いつのまにか屋根上にたどり着いていた何人かを流して、水は止まった。


 「危なかったですわ、これに掴まってなければどうなってた事か……」


 ふふっ、ですがそこで掴まれるのが私、セレーネ=ツイテル=セレーネですわ!


 おーほっほっほ、と、手を頬に添えようとした事で気が付く。

 氷を掴んだ手が離れないのだ。


 「えっ嘘っ、離れないですわ……む、むっ、むっ! 」


 ベリっ!

 氷に張り付いた手の皮が剥がれてしまった。


 「ふふっ、ブラッティーハンド! 」


 なんて自由になった手で格好付けてみましたが、めちゃくちゃ手が痛いですわね。血ぃ出てるし……


 「いちち……」


 セレーネはまぁどうしようもないなと、手から視線を上げた。


 ん?

 あのロングコートは……

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