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18話 セレーネvs王子




 「ん、むぐぅ! 」


 突然口を塞がれて、そのまま処刑人とシュレイドが戦っている屋根から飛び降りたと思えば、そこにいたのは因縁のあの方でしたわ。


 エメラルドグリーンと白を基調にした美しい衣装に身を包み、サラサラと揺れる美しい金髪。


 「王子、ですわよね。」


 「ああ、我が国に叛逆しようとする逆賊を捕らえに来た。美しいレディに手を上げるのは気が乗らないが、王子にして天空王国四天王の一柱としての責務なんでね、悪いが観念してもらおう! 」


 王子は鼻を高くして宣言する。


 ちょっと待ってほしいですわ!


 「私叛逆なんてしてませんわよ! 」


 そう、ちょっとムカついて王子の従者をぶったら指名手配されたってのが私の遍歴。

 それをあろう事か指名手配した本人に逆賊呼ばわりは看過できない。


 「やれやれ、逆賊はみんなそういうのだ。」


 「忘れたとは言わせませんわよ、王子! 貴方が私を指名手配した事を! 」


 「指名手配? 僕が? そんな事あったっけ?」


 本気で忘れたという調子だ。

 う、嘘ですわよね……?


 「王子直属の使用人であるキャミリィに暴力を働いたとして貴族令嬢セレーネは極刑に処す。私はこの文言を王子の口から聞きましてよ! 」


 指を突き付けると王子は何かを思い出す様な仕草をして、


 「あ、ああ! キャミリィの件か! 思い出したぞ悪役令嬢セレーネ! 今回公開処刑にかける罪人が逃げたとピスティ殿に聞いて馳せ参じた次第だったが、そうかそうか! 」


 頭が真っ白になりそうだ。

 この方、いやコイツ……この野郎は———


 「あ、貴方最悪過ぎますわ! 人を指名手配して人生をめちゃくちゃにしておいてそれを忘れるとか、あんまりにもあんまりですわ! 」


 王子は私の言葉を聞くと、顔を真っ赤にして声を荒げた。


 「な、僕を馬鹿にしやがったなこのクソ女!許せん、王子侮辱の罪で僕自ら処刑してやる! 」


 「ぶち切れてんのはこっちですわ! 原型を留めない程ぐちゃぐちゃにして、肥溜めに放り込んでやりますわ! 」


 丁度いい所に落ちていた屋根瓦の破片を拾って構える。

 私史上最高のブチ切れで、真っ赤に染まった視界の中心に、クソ忌々しい王子を捉える。


 王子は右腰の細い剣を抜いた。

 黄金とエメラルドの装飾が施されたそれは見るものを魅了する美しさがあった。


 しかしセレーネはそれを見ない。

 見るのは王子の首だけだ!


 「うおりゃあああああああ! 」


 目掛けて全力投球、腕力には自信があった。


 「ひいいいいいいい! 」


 王子は頭を抱えてしゃがみ、セレーネの投擲を躱した。


 「けっ、所詮は喧嘩の一つもした事が無ぇヤワな王子サマって訳ですわね。このままぶっ殺ですわ! 」


 もう一つ瓦礫を拾う。


 「どっせえええええい! 」

 「ひいいいいいいいい! 」

 

 あっ、走って王子が逃げましたわ。


 「流石に街中で王子と戦ったら兵士が来ますわよね……」


 ここは冷静な私、屋根の上に登ってシュレイドに合流することにしますわ。


 見たところさっき落ちた建物は三階建て。

 扉に鍵が掛かっていたのでノックするも返事なし。


 「申し訳ないけれど、窓を叩き割ってお邪魔することにしますの。」


 どっせええええい! と、投げ損ねた瓦礫で窓を叩き割って家の中に入る。


 なんというか普通の家だった。

 一階にはリビングと厨房があって、二階三階には寝室とかがあるのでしょう。

 

 ドタドタと階段を駆け降りる音がして階段の方を見ると中年ぐらいでこの家の家主であろう男が焦った顔でこちらを見ていた。


 「だ、誰だ! 」

 「怪しい者ではないですのよ。」

 「その囚人服はどう考えても怪しいだろ……」


 一理ありますわね。

 しかし足踏みしている時間は無いのですわ!


 「悪いですけどお宅の屋根の上に用があるんですの、何もしませんから通してくれませんこと? 」


 「はい通しますとでも言うと思ったか盗人があああああああああああ! 」


 「思いましたけど……」

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