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16話 リィリィvs老兵


 「予想通りですけど遅いですですね……」


 優秀なリィリィちゃんは早々に馬車を確保してシュレイドさんを待っているのですが、なかなか来ない。


 作戦は上手く行ってない様なのです。


 ワタシの当初の目的も全然上手くいってないし散々なのです。


 それもこれもシュレイドの野郎がヴォルカニックスピアぐらいしかまともな魔法撃たねーのが悪りーんですです!


 ドラオスをけしかけて魔王スキルを除いた本人の力量は分かったです。

 でも肝心の魔王スキルを使いこなせてねーですですのよあのボンクラは!


 あんなんを魔界に連れてっても、すぐぶっ殺されるのがオチなのですです。


 「ワタシが魔界に帰れる日も遠そうなのですですよ……」

 「今、魔界と言ったねお嬢さん。」


 しわがれた低い声が聞こえた。




 ———刹那、鈍色の閃光が振り下ろされた!


 「!? 何ですです? 」


 「懐かしいな、魔界の手の者の匂いは……」


 斬撃を躱したリィリィはいつの間にか路地裏に追い込まれていた。


 路地裏は薄暗い。

 通りから差し込む光は白い建物達と相まって眩しい。


 その眩しさをバックに無骨な格好の老兵が一人、路地裏に入ってきた。


 「さっきの斬撃はお爺さんですですね。」


 「ああ、天下の王都に魔族をのさばらせてはおけないのでね。悪いが処分させてもらう。」


 ふんっ、と、老兵が鼻を鳴らした。

 癪に触る仕草だ。


 「何がおかしいです? 」


 「いや何、小悪魔らしい矮小な魂が透けて見えたのでね……」


 歴戦の戦士は特殊な能力も無しに相手の魂を見透かすという……

 老兵の目にはリィリィの内でか細く揺れる頼りない魂が見えてしまった様だ。


 頭の上から注がれる人を鋭く見下した視線、魂を見透かされた羞恥心……


 リィリィの中で、何か、何か決定的なものがプツンと切れた———


 「あああっつ、ああああああああ———」


 ガリガリと頭を掻いて老兵を睨む。


 「ぶっ潰れろですっ! 第三決定『鉄槌』」


 ワタシの固有魔法『重圧』。

 その第三は出が早く、ハンマーのイメージで狙いを付けて叩きつける文字通り見た目通りの鉄槌。


 狭い路地裏でこれを躱すのは至難の技だ。


 「ふん、他愛もない。」

 「なっ! 」


 老兵は素早く両脇の壁を蹴ってタタタンと大ジャンプ、リィリィの『鉄槌』から逃れたのだった。


 「秘剣———」


 日光を背に飛び掛かる老兵。

 彼の鈍色の剣はそれでも日の光を反射し、リィリィの視界を奪う。


 「これしきの事で……です! 」


 リィリィは自身の頭上に鉄槌を構えた。


 「このまま飛び込んできたら道連れにするぞ……と言った所か。いいだろう、その誘い乗ったッ! 」


 老兵は飛び掛かるスピードを緩めなかった。


 「なっ、バカですですか!? 」


 「敵を殺そうと言うのだ、命を捨てる覚悟など当然とうに終えている! 」


 むかっ。


 「クソ人間共のそういう所、すっげー嫌いですです! 」


 自分が死んだら意味なんてねーだろうがとリィリィは考えた。

 リィリィにとって勝利とは、這いつくばる敗者を見下ろして初めて完成するものだからだ。



 「さぁ落として見せろ、その鉄槌を! 」


 「言われなくてもやるですです! 」


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