竜のうた
昔 外つ国 山の上
黒い 竜が 住んでいた
強き 翼は 風を巻き
重ね 鱗は 黒玉の
かくも 鋭き 牙の山
数多 勇士が 挑めども
終の 姿は 髑髏
黒い 竜は 上機嫌
ぐろろ ごろろろ がらららら
ある日 竜の 住む山に
一人 勇士が やってきた
竜は 今日も 上機嫌
目蓋 開いて 一睨み
汝に 墓場は まだ早い
剣 戦場 勲しの
誉れ 名を上げ 生くるべし
父も 祖父も その父も
皆 お前が 手に掛けた
鍛え 伝えし この剣
汝の 喉笛 突き立てん
名乗る 勇士の その声に
赤い 炎の 轟きの
哀れ 勇士は 灰となり
愚か 愚かと 笑い声
ぐろろ ごろろろ がらららら
ある日 竜の 住む山に
小人 七人 やってきた
竜は 今日も 上機嫌
吐息 吹き出し 一睨み
汝 小人は 地に住まい
黄金 白銀 掘り出せば
数え 積み上げ 生くるべし
父も 祖父も その父も
皆が 黄金を 奪われた
山と 積まれし その宝
奪い 返さず 置くものか
叫ぶ 小人の その上に
炎群 一吹き 飛び上がり
焼けた 小人の 故郷の
生命 残らず 灰として
黄金 臥所に 笑い声
ぐろろ ごろろろ がらららら
竜の 財宝は 積み上がる
竜の 目蓋は もう閉じぬ
黄金に 魂 囚らわれて
盗人 待ち受け 安らがぬ
ある日 竜の 住む山に
数多 勇士が やってきた
人も 小人も 妖精も
剣 呪い 携えて
赤き 炎の 吹き荒れる
囲む 人々 灰となり
されど 勇士は 数多く
強き 翼は 羽ばたけり
小人 妖精 吹き飛ばし
されど その身は 飛び立てぬ
黄金 財宝を 身の枷に
ついに 竜は 力尽き
ぐろろ ごろろろ がらららら
人も 小人も 妖精も
竜の 財宝を 欲しがった
宝 掴むは 人の王
妖精 おんなを 妻として
唸る 小人を 従えて
築き 打ち立て 人の国
御座 王冠 人の国
竜の 宝の 力持て
四方 世界に 領ろし召す
やがて 王は 死の床に
侍る その妻 呼び寄せて
子等の 行く末 託せども
妖精 おんなは 笑うだけ
家来 役人 国の 幹
今や 全てが 妖精に
竜の 黄金の 高御座
腰を 下ろすは 妖精の
永き 永き世 始まりぬ
ぐろろ ごろろろ がらららら
お読みいただきましてありがとうございました! お口に合いましたら幸いです。