2 転生?
学校の生徒会室で、リリアンはお茶を淹れていた。
季節は冬に入り、雪が舞っている。
生徒会室にある暖炉に薪をくべ、グラナードは部屋の温度を暖かくする。
「ずいぶん冷えてきたな」
「そうですね」
リリアンは淹れたてのお茶をカップに注ぐ。
「クリスマスパーティーは雪で吹雪くかもしれませんね」
兄が手を洗って、テーブルに戻ってくる。
お茶を並べたリリアンが椅子に座ろうとした時、扉がノックされた。
「誰かしら?」
リリアンは扉に向かって歩いて行き、「どちら様でしょうか?」と訊ねた。
「アウローラと申します」
は?
リリアンは凍り付いたように動きを止めた。
すぐに兄が駆けつけ、リリアンを部屋の奥へと押す。
「殿下も下がっていてください」
小さな声で兄は、言った。シェル殿下はリリアンを守るように抱きかかえると部屋の奥へと下がった。
兄は慎重に扉を開ける。
そこには見覚えのある少女が立っていた。
「病気療養中で長くお休みしておりました。シェル様はいらっしゃいますか?」
「何の用でここに来たのだ?」
「私、生まれ変わったようで、ここに毎日通っていたような気がしますの」
「ここは、生徒会室。特別な生徒しか入れません」
「そうなんですか?」
アウローラは、室内を覗き込むように体を室内に入れて、にっこり微笑む。
「シェル様、いらっしゃいましたね。お邪魔してもよろしいですか?」
「いや、断る」
殿下は、アウローラの入室を断った。
「前世の私は、とても悪い子でした。せっかく生まれ変われたので、今までのいろんな事を償いたいと存じます」
「それでも、ここへは来ないでいただきたい」
「そうですか?」
「子爵令嬢でなくなったあなたは、この学園にいることもできないはずだ」
「そうですね」
アウローラは、頭を下げて立ち去った。
グラナードが急いで扉を閉める。
「生き返ったのですか?お婆さまは?」
「今すぐ、聞きに行こう」
「はい」
暖炉の火を落として、殿下はリリアンの手をしっかり握りしめ、グラナードは馬車の手配をする。
吹雪く中、三人は長老の元に急いだ。
殿下と兄に手を引かれ、リリアンは雪の中を歩いて、長老の家の扉を叩いた。
扉が開けられ、付き人が出てきた。
「長老にお目にかかりたい」
「どうぞお入りください」
声が違うが、許可は下りた。
中に入っていくと、先ほど生徒会室に訊ねてきたアウローラが、椅子に座っていた。
「長老はどうした?」
殿下はアウローラに睨んで尋ねた。
アウローラは、微笑んでいる。
「なにぶん、歳なのでいつくたばってもおかしくありません」
「誰が転生させた」
「自分で魔術くらいかけられますわ」
奥から小さな子が出てきて、アウローラの腕に捕まる。
漆黒の瞳と髪をした男の子だ。
「長老を殺したのか?」
「子供は無邪気ですから、遊んでいただいたら、ころっと」
アウローラは、ずっと微笑んでいる。
殿下はリリアンの手を握って、踵を返した。
「グラナード、父上のところに」
「急ぎましょう」
リリアンは信じられない物を見て、蒼白になっている。
わたしが生き返ることができたなら、魔術を使える彼女が生き返ることは不可能ではない。わたしの人生どうなるの?




