8 呪詛返し
アウローラは、突然倒れて右足を抱えた。
「痛いわ、痛い」
魔方陣を消されたときは、体中が痛んだが、今度は足が痛む。
リリアンにかけた呪いを誰かが解いたのだろう。
「何をしている」
監獄に入れられたアウローラに、騎士二人は、牢屋の外からアウローラを見る。
魔術を自在に操るアウローラには、頭から布が被され、首のところで紐で結ばれ、両手は添え木をされて指先一本も動かないように拘束されている。
先ほどまで、リリアンを罵っていたアウローラは、突然倒れた。
「痛い、痛いわ」
「嘘かもしれない。様子を見よう」
「そうですね。この魔女は危険だ」
騎士二人は、痛がる姿を見て芝居だと思ったようだ。
アウローラの右足は腫れ上がり、疼く痛みで意識を失いそうだ。
「眠ったのか?」
動きが止まり、騎士たちは牢の中を覗き込む。
「シェル、助けて。私のシェル」
逃亡したアウローラの産んだシェルは、まだ逃亡している。
魔法で攻撃をして、騎士たちを倒しながら木の陰に蹲った。
どんなに子供でもずっと走っている体力はない。隠れん坊は得意だ。カメレオンのように、背後の様子に色が自在に変わる魔術を使い、体を休める。
アウローラが呼んでいる。
呼吸を整えると、ゆっくり牢獄へ戻っていく。
すれ違う騎士たちはシェルの姿が見えない。
牢獄の鍵を開けて、中に入り、アウローラの体を抱き上げる。
騎士たちは、突然浮かび上がったアウローラを見て、慌てている。
その姿が消えた。
「いない。消えたぞ」
「どうやって逃げた?」
ピーッと笛を鳴らす。
その隣をシェルはアウローラを抱きかかえて通り過ぎる。
「シェル、ありがとう」
「アウローラ」
アウローラは、頭巾の中から微笑んでシェルを見つめる。
「いい子ね、シェル。大好きよ」
「アウローラ、僕も大好きだよ」
城の外で、拘束をすべて外してもらい、城の中から脱出した。




