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4   学校はお休みいたします(1)

 

 足がズキズキと痛む。

 作り置きしていた痛み止めの紅茶を淹れるために、ベッドの上にテーブルを置いてもらい、お湯の入ったポットを注ぐ。待つ時間に意識を失いそうだ。


「お嬢様、大丈夫ですか?」

「あと二分よ。二分経ったら、お薬を飲めるわ」


 リリアンの侍女のモリーが、心配そうにリリアンの体を支え、マリーは氷で足を冷やしている。


「モリー、カップに注いでくれる?」

「わかりました」


 モリーは紅茶のポットからカップに注ぐ。


「もう一つのカップに、残りを淹れてくださる?」

「はい」


 残りの一滴までしっかりお茶を入れて、テーブルに置かれた。

 震える手で、カップを持ち、口に運ぶ。

 動けるのなら、今の状態に自分で配合し直すが、それもできない。

 熱いお茶を飲んでいく。二杯目のお茶は少し冷めて飲みやすい。


 薬を飲み終えて、「モリー、申し訳ないのですけど、これを片付けてください」とお願いした。

「ええ、わかりました。テーブルも外しますね」

「お願い」


 ドレスを脱がされ、ガウンを身につけている。


「頭飾りもネックレスも外してください。メイクも落としてもらえる?お風呂に入りたいけれど、とても入れる状態ではないから、体を拭いてください」

「ええ、順番にしていきますね」

「リリアン、大丈夫?」


 母が部屋に入ってきた。


「お母様、今、痛み止めを飲みました。少ししたら薬が効いてくると思います」

「可哀想なリリアン。お父様も心配しているのよ」

「ええ、すみません。お母様、ネックレスを外してください。髪飾りも。真珠は汗で変色してしまいます」

「そうね」


 母がネックレスを外して、髪飾りも外してくれた。


「奥様、ありがとうございます」


 モリーがお湯を汲んできた。


「お嬢様、先に背中を拭きますね」

「お願い」


 座ったままガウンを脱がされ、背中を拭かれる。綺麗に拭われ、またガウンを着せられた。


「さあ、寝かせますよ」

「ええ」


 痛みに目と閉じる。


「メイクを落としてから、綺麗にしていきますね」

「モリーお願い」



 病院に連れていった後、リリアンを屋敷に運んだグラナードは父のジムアリー・フルス・ツールスハイト公爵と王宮にあがった。


「国王陛下、我が家の愛しい娘を傷物にしたアウローラ・コアル・ザクリナーニネ子爵令嬢を訴えたいと思います。日常的に我が娘に嫌がらせをして、娘は苦しめられておりました。足も治るかわからないと医師に言われております」

「陛下、私からも一言。殿下がいつも座っている生徒会室にある絨毯の下に魔方陣が描かれておりました。我が妹が、殿下の様子がおかしいと、手当をいたしたのは、またつい最近でございます」

「あの時はシェルが世話になった。リリアン嬢にお礼もまだしていないのに、なんてことだ」


 国王陛下は眉間に皺を寄せている。


「父上、私はあの娘を生徒会室に招いた事も覚えておりません。すべて魔術だと思われます。先ほどのパーティーで、魔術をかけたと言っておりました。アウローラと結婚しなければ、ロタシオン王国の繁栄はなく。断れば、いずれこの国は滅びると申しております。アウローラが死んでも一族が残っていれば、その呪いは成就すると」

「ふむ」


 国王陛下は険しい顔をしている。


「子供の喧嘩に口出しはしないつもりだったが、シェルの身も危険だった。リリアン嬢が救って下されなければ、シェルも危険な目に遭っていた。私が若い頃、馬の早駆けをしたとき、世話になったことから、ザクリナーニネ子爵と名乗っても良いと許した。後で知ったが、ザクリナーニネ子爵は魔術を使うと近隣の村人から聞いた。早まった事をしたと、心に引っかかりを覚えていたが、まさかこんな事が起きるとは・・・・・・」

「やはり魔術を扱う一族だったのですね。私の知らぬ間に、血の交換とやらをしたとアウローラ言っておりました。彼女が側にいると私は意識が曖昧になってしまい、自分の意思がどこかに飛んでしまいます」

「操られておるのか?」

「おそらく」


 シェルは父王に自分の身に起きていることを告げた。


「騎士団長を呼んでくれ」

「はっ」


 国王陛下の側近の一人が扉の外に出て行った。

 厳つい顔の騎士団長が騎士数人と共に部屋に入ってきた。


「ザクリナーニネ子爵の一族を一人残らず捕らえよ。屋敷に魔術的な物があれば押収するように」

「はっ」


 ツールスハイト公爵とグラナードは、頭を下げた。


「父上、私はリリアンを愛しています。アウローラのせいで傷つけておりますが、心を寄せているのはリリアンだけです」

「リリアンはシェルの婚約者だ。生まれたときから決められている。治療に専念させてシェルの妻に」

「ありがとうございます」


 ツールスハイト公爵とグラナードは、深く頭を下げた。


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