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伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第七章 隣領からの査察

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竜装騎士、グレーターデーモンな執事を連れ帰る

 エルムは帝都で起きた事件の後、『――さぁ、俺たちの村に帰ろうか!』とノリと勢いで帰還しようとしたのだが、勇者を乗せ忘れていることに気が付いた。

 それに本題であった、ボリス村周辺の領主代理の手続きもしていない。

 コッソリと帝都に戻って、一通りの仕事をしてから村に帰ってきた。

 途中、仕事にあぶれていた“ある魔族”もプラスで――。


「はぁ~……。やっとボリス村に帰ってこられた。ペンを振るうより、槍をぶん回す方がよっぽど楽だ……」


「ふふ。エルム殿、お疲れ様です」


 村の入り口の前で、大きな姿になっているバハムート十三世から三名の人物が降りてきた。

 首をコキコキ鳴らしながら疲れ顔のエルム、帝都を救えた事に満足で嬉しそうな勇者、それと……謎の執事服を着た灰色の髪で赤い眼の男性。


「驚きましたね……。ワタクシたちが村を破壊し尽くしたはずなのに、もうこんなに復興している。帝都より建築技術が優れているのでは……!?」


「ああ、そういえばお前はアレを指揮していたんだったな」


「あの時は誠に申し訳ありませんでした。深く、深く謝罪するばかりでございます」


 執事服の男性は、優雅に手を舞わせるように一礼。

 エルムは、それを胡散臭そうに眺める。


「お前、そんなキャラだったか?」


「いいえ、いいえ。今のワタクシは、あくまで執事ですから」


「あ、コイツ。メガネをかけた。チャキッとかけて、クイッとやったぞ」


 執事服の男性は、それはもう執事然とした格好と立ち振る舞いを演じていた。

 元々、ある役職を補佐する立場であったので、適応が早いのかも知れない。

 ――と、そこへ白銀の竜の着陸を見たのか、ウリコが宿屋方面から走ってきた。


「エルムさぁーん! ぶべッ!?」


 一回、石に躓いて転びながら走ってきた。

 相変わらず、どこか抜けている性格なようだ。


「いたた……。あ、お帰りなさい。エルムさん! 勇者さん! 先日、海岸で珍しいモノを拾って倉庫に……って、あれれ? もう一人はどなた様でしょうか?」


「――初めましてお嬢様。おや、お美しい顔に泥が付いていますよ。村の、いえ、国が誇るべき至極の宝石が台無しでございます」


 執事服の男性はウリコの耳元で甘く囁いた後、ハンカチを取りだして顔を拭ってあげていた。

 耳まで真っ赤になるウリコ。


「な、ななななな何ですかこのイケメンメガネ執事さんは!?」


「都会でスカウトしてきた。宿屋の人員に」


「と、都会すっごぉーい!? こんな歯の浮くようなセリフ、ラブロマンスな本でしか聞いた事がありませんでしたよ!? 乙女力がギュンギュンぢまず! 鼻血が出そ……」


 動転したウリコは、もはやなんだかわからない言葉を発していた。

 エルムはスルーすることにした。

 そのままウリコを置いて、宿屋に向かう。

 途中、執事服の男性は、こそっとエルムに話しかける。


「どうですか、エルムさん。オレ(・・)が身につけた処世術ゥ!」


「よくわからんが、ウリコに対しては効果てきめん……らしい」


「いや~、無職が長かったんで、世知辛い人間社会に揉まれて、おべっかを使えるように頑張ったんすよぉ! 魔王城より怖い。人間社会マジ怖かったっすよ」


 ククク、と小悪魔のような笑みを浮かべる執事服の男性であった。




* * * * * * * *




 防具屋兼、宿屋兼、酒場という複合施設のようになってきていた店の中には、メイド服を着たジ・オーバーがマジメに働いていた。

 どうやら雇い主のウリコより優秀すぎる幼女らしい。


「いらっしゃいませなのじゃ――。あ! エルムだ! おかえりなのだ!」


「ただいま、ジ・オーバー。約束通り、帝都からお土産を持ってきたぞ」


「覚えてくれてたのか! 嬉しいのである!」


 ジ・オーバーはワクワクした顔で、エルムが何かを差し出すのを待った。

 しかし、エルムは動かない。

 代わりに後ろから、あの執事服の男性がひょっこりと顔を見せた。


「お久しぶりです。ジ・オーバー様」


「お、お主のその魔力……まさか! 人間に化けた副官か!?」


「はい、その通りです」


 ジ・オーバーは涙ぐみながら、再会を喜んでピョンと跳びはね、嬉しそうに抱きついた。

 長年やってきた魔王と副官の関係は、家族のように深かったようだ。

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【書籍情報】
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『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』カドカワBOOKS様書籍紹介ページ
エルムたちの海でのバカンスや、可愛いひなワイバーン、勇者の隠された過去など7万字くらい大幅加筆修正されています。
二巻、発売中です。
ガンガンONLINEで連載中のコミカライズは、単行本四巻が10月12日発売です。
よろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
執事さん!?、元々執事兼副官だったのでは?(;^ω^)
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