エルムVS赤の決闘士サンドラ1
三人目に現れた顔見知りは、赤の決闘士サンドラだった。
スラッとした美しい女性で、やはりどこか勇者と似ている気がする。
違うのはハーフエルフの長い耳くらいだろうか。
『さぁ、お兄さん。次はサンドラ・デュマですよ。どう、勝てないって理解してますよねぇ?』
「悔しいが……一対一では無類の強さを誇る彼女に対して、紫モードに制限されている状態は勝てる気はしないな」
もう水の中ではないので、詠唱によって極大魔法は放てる。
しかし、それでも彼女を相手に紫モードでは勝てないと本能が告げる。
『今度こそ終わりですね、お兄さん』
そのブレイスの言葉に連動するかのように、サンドラは手に持っていたレイピアを構えた。
瞬間、ロケットのように一直線に飛んできた。
まるで映像の中間だけを抜かしたかのように、突然目の前にレイピアが突き出されたのだ。
「くっ!?」
エルムは勘だけでそれをギリギリ回避していた。
一瞬でも遅れたり、自分を信じていなかったりした場合は頭蓋骨の串焼きが出来ていただろう。
サンドラはすでに遠くへ離脱していて、余裕を持った雰囲気でレイピアを構え直していた。
エルムはその隙を狙う。
「詠唱破棄――極大火魔法〝煉獄〟!」
杖から放たれる巨大な炎の奔流がサンドラを覆い尽くす。
「命中……はしたが、これでは無理か」
物は試しと撃ってみたが、エルムとしては何となく結果はわかっていた。
サンドラがこれだけの身体強化を行っているということは、それだけ防御力も上がっているのだ。
「それなら……魔力の制御をして……! 詠唱破棄――一点集中〝煉獄〟!!」
広範囲に散らばってしまう魔力を、ねじってこよりにするようなイメージで一点集中させてみた。
これなら魔力防御を突破できる可能性が高い。
しかし――
「なっ!?」
サンドラはいとも容易く、その炎の直線を回避してしまった。
「一点集中した分、避けやすいってことか……。赤モードを自分で使ってるときにはわからなかったが、敵に回すと厄介だな……」
そろそろエルムは連戦で消耗を感じてきたのだが、目の前のサンドラは疲れを一欠片も感じさせない。
これはなかなかにきつい状況だ。





