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開戦






「…おかしいな」

「どうかしましたか?そんなに悩むなんて柊斗らしくないですよ?」

「すまない、でも文、おかしいと思わないか?僕らの姿は萃香さんの能力で疎められてるから見えない筈なのに、妙に天狗達が魔法の森上空を飛んでるし…しかも、まさに僕らの真上を…」


宴会が終わって目が覚めた僕らはすぐにでも新たな仲間を集めようとしていたが、やけに僕らの周りをうろつく天狗たちの気配に違和感を覚えた。


「偶然じゃないの?天狗たちが私達が魔法の森に隠れてると思って探しているとか、そんなんじゃないのかな?」

「馬鹿だなぁてんこは。それなら魔法の森上空じゃなくて魔法の森の中へと入ってくるだろ?それに、天狗たちは僕たちの場所を包囲するように飛び続けている…。」

「場所が…バレてる…?それならなんで襲ってこないのよ?」

「勝機を狙っているのか、隙を狙っているのか、どうなのかはわからないけど、僕らの場所は…バレている!」


…さて、どうする。今こちらの勢力は鬼の四天王の一匹と天界最強の天人と最弱鴉天狗と満身創痍の鴉天狗。はぁ…やるしかない、ってか?勝率は…まぁ計算するだけ無駄か。結果が答えになるし僕らの答えは、勝利だ!


「まぁあれだけの人数相手でも問題はないさ。こっちには私やてんこもいるんだい。勝てるさ」

「ここまできたらやるしかないわよ?てゆーか、私が味方になったんだからあんたが負けたら許さないわよ?」

「みなさんやる気で溢れてますねぇ。さて、一生で一度の本気の殺し合いを始めますか!」

「文…」

「柊斗、射命丸を止めようとするんじゃあないよ。それがあんたの良心だとしてもそれが射命丸を傷つけることにだってなるんだからねぇ。」


正直、文には戦って欲しくない。萃香さんとの戦いの傷が完璧に癒えてないいま、天魔たちと戦えば死ぬ可能性だってある。


「…射命丸を殺されたくなければ、戦わせないんじゃなくて守ってやんなよ」


萃香さんが僕以外には聞こえない声で耳元で囁いた。

まぁそうだな。文を失わずに済む方法で簡単なことがあるじゃないか。僕が守ればいいんだ。最弱って呼ばれようがなんだろうが盾にだってなる。文を、守る!


「さぁ、お前たち。お喋りの時間は終りだねぇ。天狗たちが魔法の森を完璧に包囲しているよ。」

「…そして、天魔がそろそろ来る」


強大な妖力。天狗最強の妖力が上空から僕らの目の前へと降りてくる。太陽を隠す漆黒の翼に鴉天狗からかけ離れた大きな体。放つ威圧は鬼と互角。


「…ふむ、鬼と天人を味方につけたか。お久しぶりですな、山の四天王伊吹萃香殿。」

「お前は相変わらずだねぇ。だけど、今日はのんびり話してる時間はないよ。私は今日はお前の敵だ。…さて、久しぶりに大きな喧嘩と行こうかねぇ!!」


張り詰めた空気。交わした言葉は少なく。出会って1分立たずして殺し合いは始まった。萃香さんが自分の声に気合を入れると同時に天魔へとかかっていく。天魔も妖刀を抜き放ち萃香さんを迎え撃つ。




萃香さんの拳と天魔の妖刀がぶつかり空気を空間を時間さえも揺らしたその時、包囲してた天狗たちが僕らへと向かってきた。


「…!きましたよ、柊斗さん、てんこさん!ここからが本当の戦いですよ!」

「わかってるさ!勝ってやるし!」

「ふん、天狗如きに負ける私ではないわよ。さぁ緋想の剣、思う存分に戦うわよ!」


木々をかき分けながら四方八方から天狗たちが攻撃してくる。緋想の剣を振るうてんこは確実に攻めてくる鴉天狗を一匹づつ仕留めていく。…同族だがいまは殺し合いだ。敵の命を嘆く余裕なんてないんだ。…償いとは言えないが恨むなら僕を恨んでくれ。


文は満身創痍の体とは思えないほどの戦闘技術をみせる。妖刀を失ったというのにまるで自分自身を武器とするかのごとく周りの風も操りながら鴉天狗たちを倒していく。


対する僕のところには白狼天狗がせめてくる。まぁ能力を使わなせい為という組織的な動きがモロバレだけどな。確かに僕は鴉天狗最弱だが白狼天狗に負けるほど落ちぶれてなんかいないんでね。峰打ちで白狼天狗を倒していく。…命は、奪いたくない。


「うるぁああああああ"あ"あ"あ"あ"!!」

「ぐぬぅ…流石は鬼の四天王と言ったところか…?だが、貴様の負けじゃ!!」

「へっ!天狗に負けるほど私だってよわかないんだよ!寝てろぉ!!」


「なら、妖怪の賢者には勝てるのかしら?」


まさに一瞬だった。優勢だった萃香さんが劣勢に回るのには瞬きをする間に変わっていた。


突如空間の切れ目『スキマ』の中から妖怪の賢者が八雲紫が現れ萃香さんに多大な弾幕を叩き込んだ。


「なっ……どうぃ…ぅ…つもり…だ…ゆか…りぃぃっ!!」

「悪いわね、萃香。今回のこの争いごと私も関与させてもらってるのよ。」

「なっ、萃香さん!!」

「よそ見すんなぁ!!私のことはいいから自分の身を案じろぉ!!」


萃香さんの怒鳴り声で周りの天狗達も全員動きを止めた。一端の白狼天狗の数匹は口から泡を吹きながら倒れていった。…かくゆう僕も身がすくんで立つのが…やっとだ。


「へへ…どういうつもりだよ…ゆかりぃ…」

「あなたに説明する義理はないわ。でも、強いていうなら今回は私はあなたの敵よ。」

「そうかい…それなら天魔もろとも…ぶっ殺してやらぁぁぁ!!!」


爆発的に萃香さんの妖力が上がっていく。妖力の上昇に伴って萃香さんを中心に衝撃波が走る。…これが鬼。かつて妖怪最強と言われた鬼。そしてその鬼の四天王の一匹として君臨した最強の鬼。伊吹萃香。今まさに鬼を知る天狗の心にその存在を刻みつけた。


「柊斗!よそ見は終わりですよ!大天狗たちが着ます…勝負はこれからです!」

「あぁ、そうだな…。てんこ、大丈夫か?」

「たかが天狗に怪我を負うほど弱くないよーっだ!まだまだ全然行けるわよ。」

「…てんこは萃香さんを助けに行ってくれ。」

「何言ってるの?貴方達だけでこの天狗に勝てるとでも?最弱な鴉天狗と満身創痍の鴉天狗で。」

「勝てるし。信じろ。」

「わかったわよ…死ぬんじゃないよ。」

「お前もな。」


妖怪の山の天狗VS妖怪の山の異端児の戦いは第2ラウンドへと進んでいった。




























「…はたてさん、行きましょう。」

「えぇ、そうね。場所は魔法の森だね。とっとと片付けてくるわよ!」

「了解です!!」


さらに2匹、山のテレグノシスが動き出していた。

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