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こんな学校があるわけない!「短編集」

自称スーパー魔女っ子ポン子ちゃん!!

作者: 鶏肉

「はぁー、今日も部活かぁ、だるいなー」


私、照山照美(てるやまてるみ)は、学校の授業が終わり、現在部室に向かって歩いている。

高校生活が始まってもう1ヶ月、だいぶまわりの環境にも慣れてきたけど、未だに私がいま入っている部活には全然慣れてきていない。

…というより、慣れてはいけない気がする。

…なぜなら私の入っている部活は……


「って、あ、…もう部室着いてた」


私は部室のドアの前まで到着した後、少し深呼吸する。

そして、ゆっくりと部室のドアを開けた。


「こっこんにちは〜…」


「あ!遅いよテルちゃん!もうチョベリバ星人の召喚は終わっちゃったよ!!」


私はその言葉を聞いた瞬間、一瞬フリーズする。

…今、この子の言葉を聞いて、読者様たちは「何言ってるのこの子!?」「こいつ中二病じゃね?」などの言葉が頭に思い浮かんだだろう。

しかし、この子、ポン島琴美(ポンじまことみ)、通称ポン子ちゃんの言っていることは嘘でも幻想でもない。

そう、事実なのだ。


現に私の前には、ポン子ちゃんだけではなく、よくわからない緑色のスーツを着た中年男性が開脚前転のポーズをとって……


「いや誰だよこのオッさん!!召喚でもなんでもないじゃんか!!」


私はそう叫び散らした後、一瞬その中年男性と目が合ってしまった。

目が合った瞬間に中年男性は爽やかなスマイルを私に向けてくる。

…うん、キモイ。


「何を言っているのテルちゃん、これは立派な召喚だよ!なぜならほら!私もなんでこの中年男性がいるのかよくわからないからね!」


「全然理由になってねーよ!!っていうか、じゃあこの人誰!?不審者じゃん!!」


私とポン子は2人揃って中年男性の方へ目線を向ける。

すると、中年男性は再び爽やかなスマイルを送ってきた。

…キモっ!!


「うー、こうなったら自称魔女の私の必殺技を使うしかないね!」


「なんで必殺技を使わないといけないのかわからないし、自称魔女の意味もわかんないけどとりあえず頑張って!!」


「うん!じゃあいくよ!」


ポン子はそう言うと、そのまま中年男性の方へ歩いて行った。

そして、中年男性の腹を両手で抱え込む。


「よいしょ」


すると、その一言と共に、中年男性の腹の一部が簡単に取り外された。

そして、腹の一部を取られた中年男性は何事もなかったように私の横を通り廊下に出て行った。


「よし!これで一件落着だね!」


「一件落着じゃないよ!!結局あの人なんなの!?そして、ポン子ちゃんが持ってるそれはなんなの!?」


「これ?戦いの戦利品、あの人は誰か知らないって言ったじゃん」


ポン子はそう言うと、バッグからフォークを取り出し、その中年男性の腹だった部分に突き刺そうとした。


「いやいやいやいや!!待って待って!!、ポン子ちゃん!?もしかしてそれ食べる気なの!!?」


「何言ってるのテルちゃん、こんなの食べるわけないじゃん、気持ち悪いなー」


…お前がフォークでそれ刺そうとするからだろ!!


「じゃ…じゃあそれをどうする気なの?」


「え?勿論チョベリバ星人にあげるつもりだよ!」


そう言って、ポン子は座っている中年男性の顔をした半魚人にさっきの戦利品をあげようとした。

半魚人のチョベリバ星人?という奴は、私を見るなり「どうもー」と挨拶をしてくる。


私もその現状にわけがわからなくなり、チョベリバ星人に「どうもー」と返してしまう。


「って、誰この人!!」


ギリギリ我に戻った私はチョベリバ星人?に指をさしながらそう言う。

ポン子はチョベリバ星人?の口に戦利品を突っ込んだ後、私の方へ視線を向けた。


「何言ってるんだよテルちゃんー、私自称魔女だよ?チョベリバ星人を召喚するぐらい容易いこと…って誰この人」


「やっぱり知らないんかい!!

っていうか、じゃあチョベリバ星人ってなんだよ!!」


私がそう叫ぶと、半魚人のチョベリバ星人じゃなかった奴がスッと立ち上がった。

そして私を意味深な目で見つめてくる。


「…今まで騙していたが、ついに真実を言う時が来たようだな…」


なっなんなのこの人…!?

でも、何か重大なことを伝えようとしている気がする…!!


「今まで騙していて悪かったが、私は半魚人なんだ!!」


「いや、見りゃわかるわ!!」


私は、ポン子が「な…なんですって?」というような顔をしている間に、半魚人の顔をその場にあったハリセンで叩きつけた。


「フグアァッ!!貴様ぁっ!よくも、うっ!!あっ、頭がぁぁぁぁあ!!」


「いや、大袈裟すぎるだろ」


私はそう言った後再びハリセンで半魚人を叩きつける。

すると、次はポン子が輝くような目で私を見てきた。


「まっ…まさか、てっ、テルちゃんがハリセンの使い手だったなんて…!」


「違うから、しかも何その地味な使い手」


私はポン子にツッコミながら再び半魚人の顔をハリセンで叩きつける。

しかし、それでもまだ半魚人がうるさいのでもう一回叩きつける。


「はぁっ!あがはっ!!こっこれが!アジのたたきという奴なのか!!」


「違うし、あんたアジだったの?」


「そう、私はアジ…もともとは海を長く旅していた者さ……ってギャァーー!!」


…?、今の悲鳴は私が叩いたわけではなかったのでなんだ?と下を見てみると、ポン子が塩をかけながらチャッカマンで半魚人の足を焼いていた。


「多分ね、これでアジの塩焼きが召喚できると思うよ。こんな喋る奴より美味しそうな奴の方になる方がいいだろうしね!」


「いや、絶対不味そうでしょ」


すると、私の言葉を聞いたポン子が驚いた表情で私を見てくる。

…いや、こんな奴を焼いて美味しくなりそうって思う奴の方がおかしいでしょ。


「うー、じゃあどうすれば!!あ、もう粉々の燃えカスにしてしまえばいいか!」


「えぇ!?、ちょっ、ちょっとまって私に生きるという道はないのか!?」


そう言いながら、半魚人は助けを求める目で私を見てくるが、私はすぐに首を横に振った。

…だって、こいつきもいし。


「よし!じゃあいくよ!!究極魔法!炎帝ケンジ君の炎!!」


そう言った後、ポン子は右手に大きな炎を灯し、半魚人に投げつける。

そしてその瞬間半魚人はポン子の言った通り燃えカスに変わり果て、外から流れ込んできた風と共に消えていった。


「ってちょっと待って!!ポン子ちゃんって魔法とか使えたの!?しかも何そのネーミングセンス!!ケンジ君って誰だよ!!」


私がそう叫んだ後、「僕がケンジだよ」とケンジ君が廊下を走り去って行ったがそれはスルーしておこう。


「何言ってるのテルちゃん、そりゃあ魔法は使えるに決まってるじゃん!自称魔女だからね!」


「いやいやいや、おかしいから!ここ普通の学校なのに魔法使えるとかおかしいから!!

…ん?いや、ここに中年男性が勝手に侵入していたことから考えて、不自然では…ない?」


私は今までのことを全て思い返して見て、ここは普通の学校ではないことに気がついた。


「そして…テルちゃんの普通の学校生活を取り戻す戦いが、今始まる!!」


「始まらねーよ!!」



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