ACT・2
未だ話の全貌が出てきませんが、少しずつ動き出していきます。
ACT・2
*早間 庄宅
『ピンポーン』
玄関のチャイム音
庄は居間でTVをつけながらカップラーメンを食べていた。
TVには今人気の選手がタイトル防衛戦をかけたプロレス番組が放映されている。
両親はまだ帰ってきておらず、妹は両親の手伝いに行っているのだろう。
『ピンポーン』
再度鳴る
(はいはい、今行きますよ、めんどくせ)
時計の針は20時過ぎを指しており、来客には遅い時間だ。
玄関のドアを開けるとそこには、庄と同い年ぐらいで知らない学校の制服を着ている女の子がいた。
庄の記憶にも無く、知らない人だ。
妹の友達かもしれないが、家に来る友達の顔は覚えている。
思わず庄は
「…誰?」
目の前の子は深くお辞儀をするとこう答えた
「こんばんは。神のバイトをしてる者ですが」
「…は?」
顔をあげて差し出す名刺には
[神様臨時代行アルバイト:鈴木 美里]
と書いてあった。
「…はぁ…」
(なんだこいつ頭がおかしいのか?それとも変な宗教か?)
「あの…お話よろしいでしょうか?」
(まてよまてよ、なんなんだよこいつ!とりあえずなんだ、こういうときは…)
「うちはそういうの興味ないんで他あたってくれる?」
「とりあえずお話だけでも」
「いやいやいや、帰れよ。興味ないってんだよ。警察呼ぶぞ?」
彼女は落胆しながらも、やっぱりそうかとため息をつく。
いきなり彼女は自分の服に手をかけ
「あの?中に入れて話をさせてくれないと服を脱いで大声で叫びますよ?」
(…………あ?
………
やばい、それはやばい
いくら雨が降っているとはいえここは住宅街だ
叫び声ぐらい近隣住民に聞こえる
俺はともかく親父やお袋は近所付き合いがいいから何事かと人がくるかもしれねぇ
そうなったら俺は親父に半殺しだけじゃすまねぇ)
「家に入れてくれますか?」
ニコッと笑いながら話す彼女だが、庄はこう思った
(あぁ…脅迫ってこういうことを言うんだな…
ドラマとかみたいくうまく切り返せないんだな…)
------------------------
庄宅・居間
彼女、鈴木 美里は玄関だけでは満足しなかったようだ。
家に上がらせてくれ、と半ば強引に
いや、この場合は脅迫だろう
「んで?あんたはなんなんだ?」
「私は鈴木 美里、神様の臨時代行バイトをしてます」
名刺をいまどき珍しいちゃぶ台の上に置く
「いや、それはわかったけど。何しに来たんだよ?
宗教とかそういうの興味ないぞ」
美里は手提げ鞄の中から1冊の古びた書物を取り出し
「仕事を手伝ってください。もちろんタダとは言いません。この原本を差し上げます。」
書物にはこう書かれていた
[こきりこ節]
「ちょ…本物かそれ!?」
こきりこ節、日本最古の民謡とも呼ばれる。
昭和5年に詩人の西条八十氏が五箇山を訪れた際に広められ、世の中に知られることとなった。
田踊りとも言い、五穀豊穣を祈り、百姓の労をねぎらうため、田楽法師と呼ばれる職業芸能人たちが田植えや稲刈りの間に行った踊り。
その歌は口頭による伝承のみで書物に記されることがなかった。
現在は様々な記録媒体のおかげで残されてはいるものの、原本が存在していたという記録はない。
その原本ともなればそうとうな値打ち物
いや、値段をつけることすら難しい貴重な書物かもしれない。
「えぇ、差し上げます。あと、なんでも望みを1つかなえてあげます」
「まじかよ!」
民謡好き、マニアと言ってもいいほどの普通の高校生とは違う庄からすれば、信じられない品物が目の前にあるのだ。
「マジです。仕事を手伝ってくれたら、ですけどね」
「おう、やるやる」
普通であれば破格の報酬となれば、裏があるので慎重になるのだろうが、2つ返事で承諾してしまった。
「では、まず仕事内容の説明ですが…」
(大抵のことなら手伝ってやる
望みをかなえるとかは胡散臭いが、目の前にあるこれが本物だったらそれだけでも最高だ
まさか人を殺せとか、銀行強盗だの言うわけねぇよな)
2つ返事で答えた割には淡い期待を持ちつつ、美里の話を聞こうとするが
彼女は
「ある人物の抹消…これだと誤解があるかもしれませんね。
ある人物の殺人を手伝ってください」
未だに外では雨が降り続ける
民謡とか細かく書きすぎても仕方がないので、ざっくりとは説明を入れてます
内容に間違いがないように確認もし、参考本も参照はしてますが民謡を入れていくことはどうなんでしょう?