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雲ノ海  作者: 鏡 祐介
1/8

プロローグ

とりあえずプロローグのみですが、最後まで読んでいただけたら幸いです。

 [プロローグ]


 その日雨が降った

 降水確率0%

 人々は天気予報がはずれたと思いながらも、梅雨時なので仕方がないと思い、近くの店に駆け込み傘を買った

 店の人は予想外に売れて喜んでいた

 人々はこの時点では気づいていなかった


 -------------------------------------------

 [同時刻]

 *早間 庄(はやましょう)



 学校帰り

 その日は進路相談のジジイに説教された

 機嫌が悪かった

 雨が降る

 庄はそのときあくびをしていた

 口の中に雨粒が入る

 ふと、庄は昔言われたことを思い出した

「道ばたでションベンしたやつや、唾などが蒸発して雨になる」

 と、

 言われてみれば間違いではないのだが…

 庄は昔小さい頃に言われてから無意識に、昔から雨粒が口の中に入ったら唾を吐いて出していた

 しかし、その雨はいつもと違っていた

 (しょっぺぇ!)

 思わずの塩っ辛さに口をすぼめる

 海水のような水

 とりあえず、傘がないので近くのシャッターが閉まっている店の屋根で雨宿りすることにした

 空はどんよりと曇っていた

 梅雨時の雲だ

 目の前では雨に濡れてもお構いなしで走っていく小学生

 雨の塩っ辛さをまるで気にしていないみたいだ

 (気のせい…か?) 

 その後から傘をさして友だちと帰る女子中学生

 庄は空を見上げた

 (止みそうもねぇな・・・)

 仕方がないので走って帰ることにした

 傘をさして歩いている人たちを横目に走り去っていく

 目の前に今時珍しい唐傘をさしている人がいた

 (かわってやんの)

 そのまま無視して走り去る


 -------------------------------------------


 [同時刻・気象庁]



 気象庁では人々が右往左往とせわしなく動いていた

 天気予報がはずれた

 比較的珍しいことではない

 はずれることはあまり芳しくないが、予想は絶対ではなく、あくまでも予想

 だが、

 今回の関東地区全域の雨はあり得なかった

 考えられない

 ほんの30分前まで、日本全域には雲1つ無かったのだから

 観測所で採取された雨水

 雨水の塩分含有量は通常0

 しかし今回の雨には海水と等しき塩分の量が含まれている

 あり得ないことだ

 はじめは観測器の故障かとも思われた

 確認するために観測員が外に出た

 傘をさしていなかった

 そこで彼は観測器が壊れていないことを知る

 塩っ辛い


 -------------------------------------------

 [同時刻・海洋観測所]



 晴れているときは穏やかな海

 今は雨が降っている

 きしり音がする椅子に座りながら、ここ5年で増税により1本50円となった煙草を吸う

 窓に目をやる

 外は曇っていて雨が降っている

 波も同様に黒く見え、波打っていた

 少し波が強いが、許容範囲内だ

 観測所は防波堤の近くの高台に設置してある

 ここの防波堤は低い

 少しでも波が強いと海水がすぐに防波堤を乗り越えてしまう

 住民は防波堤の高さを上げることに要求しているが、なかなか意見が通らない

 (けっ、お役所の人間なんてそんなもんよ)

 煙草の煙を黄色くべた付く窓に吹きかける

 観測所に彼以外誰もいない

 他の人は口実を作って遊んでいた

 (あ~やってらんねぇ)

 (パチンコにでも行って来るか)

 立ち上がり、煙草の火を消す

 椅子に座っていたときは遠くの波しか見えなかった

 波は荒れていた

 (雨の日は荒れるねぇ~)

 立って防波堤近くの波を見る

 その時初めて異変に気づいた

 波が見えない

 いや、正確には

 『波が見えないほど海水の位置が低い』

 彼は一瞬冷や汗が通った

 これでも観測所勤め

 大抵のことは普通の人より知っている

 海水が低くなると言っても何ミリもないだろう

 いや、ありえない

 あわてて外に出て確認した彼の目に映った海の高さは

 『いつもより3mも低かった』

 彼は大急ぎで、緊急連絡用専用回線の受話器を取った

 電話で自分の名前を述べるとき

 彼は久留間 信夫(くるましのぶ) と名乗った


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 [某県・某所]



 ~人が「想い」その感情が集まり「力」を及ぼす

「想い」

 怒・強欲・恨・執着心・恋・正……

 様々な「想い」は力を出す

 それがどんな「想い」であっても~


 民謡だ

 庄の家の物置にあった民謡だ

 今時、家の中から古い民謡の書物が出ることは珍しい

 民謡は好きなのですぐに読んだ

 昔の言葉だったが、小さい頃から何度も色々な古い書物を面白がって読んでるうちに、何が書いてあるか理解できるようになった

 だが、民謡にしては妙だ

 民謡とは俗に言う「盆踊りの歌や地域を模した歌」みたいなのが多い

 だが、この「想い」をつづった文章は民謡らしからぬ内容だった

 庄は、新しい民謡とばかりに喜んでいた



 雨はまだ止まない

いかがでしたでしょうか?

昔考えた話を改修しつつ、形にしてみました。

本編は反応にもよりますが、何日かお待ちください…


初投稿ですので、感想をいただけたら嬉しいです。

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