表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

第13話 どうしてこうなった


 俺はハイネの顔が見れず、屋敷に戻れずにいた。隊長のいない執務室は静かだった。


「どうすれば良かったんだよ」


 妹よ、お兄ちゃんに教えてくれ。お前なら俺になんて言うんだ。

 天井を見上げる。おばちゃん達はなんて言うだろうか。

 過去に彼女の相談をしたことがあった。結局別れたけど。

 やっぱ言っていたことは「ちゃんと面と向かって話しな」だったかな。


「面と向かって話したけどなぁ」


 殴られてもいいから抱き締めれば良かったのか?


「諦めちゃったなぁ」


 バタバタ誰かが走る音が聞こえる。ノックをされ、許可も出していないのに誰かが入って来た。

 執事だった。ハイネがまたやらかしたのだろうか。


「ハイネ様が」


 また誰か殴ったんだな。そうだろう。あの猫はやっぱり寂しがり屋だな。俺がしっかり謝って理由を話して、二人で部屋でひっそりデザート食べながら話して、またちゃんとやり直せばいい。


「屋敷を出られました……その、離縁、するそうです」


 頭が真っ白になった。


「どういう、ことだ」


 自分でも驚くくらい低い声が出た。何なんだ、この血が沸騰するような怒りは。

 ハイネは俺のだ。俺の嫁だ。俺だけのオメガだ。

 誰にも渡さない。渡したくもない。


「ハイネ様に番の印がないのと、ギルバート様とルル様の件で不貞だから、と離縁を取り付けたようで……」 


 ハイネはそれで出て行ったのか。俺のせいで。やばい。頭がどうにかなりそうだ。

 今すぐイシュタルグの家に行って、ハイネを取り戻さなくては。

 でも、どうやって。俺はまだ疑われている。いや、やってきたんだ。それを。俺は裏切ったんだ、ハイネを。


「ギルバートー!ご飯持ってきたよー!一緒に食べよー!……あれ?何、この空気」


 レオニー隊長が入って来た。

 今はそれどころじゃないんだ。

 その首、今すぐ捻り潰したい。


「……ちょっと、隊長に向かってその威圧はないんじゃない?」


 レオニー隊長から笑みが消える。

 あんたに構ってる暇ないんだよ。ハイネが出て行ったんだよ。連れ戻さなきゃ。


「何があったの?」


「そ、そのイシュタルグ家の方々がハイネ様をその」


「あー、やっぱ動いたか」


 俺は足早に部屋を出ようとした。しかし、それはレオニー隊長によって阻まれてしまった。


「待って、まだ行ってはだめだよ。炙り出すんだ」


「……ハイネを使ってですか?」


 あの毒まみれの中にまた漬けるというのか。ハイネが戻って来られなくなる。


「それに、お前はルル・ベルトニーと話をつけろ。それが先だ」


「なんで知っているんですか」


 レオニー隊長からアルファのフェロモンが威圧が俺を殴る感覚がする。


「私の情報網を甘くみるなよ。あいつを助けたいなら、まずはそっちをどうにかしろ。どうせ不貞だ、なんだといちゃもん付けられたんだろ」


「でも、ハイネは今、苦しんで……」


 レオニー隊長が俺の襟首を掴む。初めて見る怒りの表情は恐ろしかった。


「苦しめているのはお前だ!なぜ、もっと早く番にしなかった!なぜ、離縁したいと思った!なんで、オメガの苦しみを理解してやらなかった!」


 過去の俺がやって来たことはクズだ。ハイネがいるのにルルに会って、仲を深めて結婚しようとしていた。


「……だが、お前は変わった。そうだろう。あのイシュタルグの悪魔と呼ばれていたヤツを、お前が暗闇から引き上げたんだ。変わりたいならやれ!」


 突き飛ばされ、俺はよろけて床に尻もちを着いた。

 無様だと思った。アルファとしてのプライドはなかったが、何が折られた気分だった。


「まずはルル・ベルトニーをどうにかしろ。話をつけろ。イシュタルグ家は不貞どうこう言っている。これでは王も動けない。わかったなら、早く行け!」


「はいっ」


 妹よ。兄ちゃんは、やっちまった。まだやり直せるよな。

 ハイネを失いたくないんだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ