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神殺

序章

作者: 箸休め

 神、現代には2つの意味を持っている。一つ、元々ある自然現象の具現化、二つ、世界を変える力を持った神。

 二つ目の意味の神は人間を支配しうる危険存在だ。

 だから神殺しとやら存在がいる。しかし、神を殺すことは1人(・・)しか出来ない。大抵は使い(・・)になってしまった人々の無力化しか出来ない。そうすれば神の信仰と言う供給源が絶たれるからだ。


 「お金がないんです!前借りさせてください!」

とあるマンションの一角で電話をする青髪赤目の青年の声が聞こえる。彼は神薙(かんなぎ)相間(そうま)、24歳、職業神殺し、青髪赤目の青年だ。

 しかし、彼の仕事を管理する事務所は前借りを許さないし、金を貸すこともない。つまり、神殺し以外の点では無一文のかわいそうな青年である。

「お兄ちゃん、今月の給料日まで後10日あるよ。どうするの?」

と金髪の長いピンク目の少女は言った。彼女は永遠(とあ)。彼の義理の妹で17才になる高校生だ。

 彼は妹の声を聞き、絶望し、

「ストレス発散のために、仕事よこせ。」

事務所の職員(電話相手)に言った。

『いい仕事ありますよ、日給バイトです』

と言ってくる事務所の職員に対し、彼は「違う」と言った。妹は「私がやるよ。」と言うと、すぐに彼は条件を聞いた。

 そして、

「そうじゃねぇよ!本職の仕事を紹介しあがれ!」

と彼は言った。職員はやれやれといい、

『ありますよ、指名依頼が。』

と言った。彼は妹に「少し出る」と言って、自前の短刀と小さな銃を持ちマンションのベランダの窓の鍵を開け、飛び降りていった。


 外に出て、携帯に向かってまず最初に

「神がいるのか、それとも、大量の使い(・・)がいるのか、どっちだ。」

と仕事の話をしていた。彼は、仕事に飢えている。そして、無一文をどうにかしようとしている。

 職員は、「まあ楽な方かもしれませんね。」と軽く言った。

 ここで言う彼にとっての楽な方(・・・)は初心者や中級者にとっては10人程度束にならないと殺すことが出来ないような強いものだ。

 彼は仕方がない、人がいないからな、と思いながら現場に駆け寄っていくのだった。


 夜10時すぎ、路地裏は微かに月の明かりで物や人の輪郭が見える程度である。相間は路地裏仕事に慣れており、夜目が効く。

 ストレス発散できないじゃないか!と思わず叫びたくなる気持ちを抑え、仕事を遂行する。

 狙いは路地裏に簡易結界を作る使い(・・)

 使い(・・)には湾曲した入れ墨のような赤い紋様が首筋に伸びている。

 彼はまず最初にその紋様めがけて右手に銃を持ち、発砲した。しかし、気付かれてしまい、発砲された弾を使い(・・)は空中で止めるようにして無力化させた。

 彼は舌打ちをし、

「不意打ちにしてはよくやったと思う、俺にしては。」

と言った。そしてすかさず、短刀に持ち替え、真正面から攻撃を仕掛けた。

 使い(・・)は近距離戦をしたことがないらしく、隙をつきまくり、彼は使い(・・)を八つ裂きにした。

 呆気ない、ストレスが逆に溜まったと言葉を吐き、彼は来た道を戻ろうとした。

 その時、風向きが変わった。いや、風が暴走した。

 目の前には2本角が生えた白いヒゲのおっさんのような男性が現れた。そして、

「神殺し、基い使い(・・)狩りか。そんなものでは私は倒れんぞ人間。」

と言い、空中に十本程度の槍をだして、不自然に笑った。

 相間は、神と出逢えたことに大いに喜び、

「良いね!俺のストレスを発散させてくれそうな奴が現れた!」

と言い、全ての槍を持っていた短刀(・・)でかわした。そして、その短刀を神に投げた。

 短刀は空中の魔力を切って飛行した。神が念の為に張った結界を破壊し、神の目に直撃した。

 直撃したことをみて、相間は銃を構え、打つ。

 神の脳に直撃し、行動不能にした。

 彼はそう、最強の神殺しだからだ。


 相間は死体処理に手間取ってしまい、深夜の街にふらふらと歩いていた。すると、

「ねえ、貴方、私と戦わないかい?」

と声が聞こえた。相間は何で俺だと思いつつ歩くスピードを上げていった。

 しかし、歩く気力がすぐになくなった。天候が大荒れになってしまったからだ。

 仕方なく話を聞こうと歩みを止めると、目の前に白髪青目のほぼ下着同然の色気のある女性がふと現れた。相間は

「まさか、自然神(・・・)……」

と驚きを隠せなかった。今までで一度も(・・・)出会ったことのない神、しかもさっきの神とは違い、自然にできた神であったからだ。

 相間は自然神とは戦いたくない、潰される覚悟のあるやつだけが自然神に挑んでいるから死にたくないと思った。彼女は、

「戦わないの?貴方相当強そうだと思ったけどね〜。」

と言い、突然彼に接近した。相間は

「何か御用ですか?自然神様?」

と問った。彼女は、少し微笑み、

「戦わないなら話さないかい?」

と言った。彼は仕方ないと思い、立ち話にしてくれとお願いをした。

 彼女は、まず最初に自己紹介して?と言った。彼はしっかりと答えると、「同類だと思ってたのに……」と小声で言った。彼「自己紹介してください、お願いします。」

と言い、彼女は私の話が聞きたいの?と言い

「私はゼウス(・・・)、最高神って言ったほうがわかりやすいかしら?」

と想像の斜め上の発言をした。相間は

「男じゃないのか!」

と驚きを隠さなかった。すると彼女は

「性別なんて関係ないでしょ。私は私だし。あとその神話本が間違ってるだけだと思うわ。女性が主神で何が悪いの?」

と言った。相間は何がしたいんだ。と言うと、彼女は

「端的に言うと、神殺しとの接触、そして、私たちが名付けたけどさっきの神々“人工神(・・・)”を止めに来た。」

と言った。彼は、

「利害が一致するけど……本物の神様が戦わなくても、……」

と疑問をつい口に出した。彼女は

「プライドがあるからよ。」

と言った。彼女たちの決意だということを言ったのだ。彼は

「何すればいいの。」

と投げやりに聞いた。彼の優先順位的には妹のほうが大事だからだ。すると、彼女

「お金は出すから、家族になってくれない?」

と言った。相間は呆然とした。

 しかし、彼女は、貴方達が弟としてと訂正した。相間は

「ならいい、永遠(とあ)がいいって言ったら。」

と言った。そして二人|(正確に言うと1人と一柱)は同じ方角に進んでいった。


 まあ案の定、妹には怒られた。しかし、

「お義姉ちゃんが出来て嬉しい。」

と喜んだ。

 事務所に無理を言い、戸籍を移行させて本当に彼女は、家族となった。

 こうして、最強の神殺しは最高神を仲間に迎えたのであった。

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