◼️◼️◼️と◼️◼️◼️◼️
回帰前の世界には、三つの厄災が存在した。
一番目の厄災、『破壊の魔神ソフィア』
二番目の厄災、『魔女アリア』
三番目の厄災、『魔竜バル・ナーグ』
だ……。
しかし、その世界に〝四番目の厄災〟◼️◼️◼️が誕生していた事は……あまり知られていない事実だ。
◼️◼️◼️は、誕生した当初、小さく弱い存在だった。
突然、この世に生まれ、ただ強さだけを求めた……。
◼️◼️◼️を◼️るために……。
◼️◼️◼️は孤独だった。
強くなるために、全身を硬い鎧で包み、ガムシャラに戦った。
『◼️◼️◼️……。◼️◼️◼️……。◼️◼️◼️……』
◼️◼️◼️はある者の名前を呼び続けた。
次第に失われていく、人としての感情……
その感情と共に、◼️◼️◼️の事まで忘れてしまわぬ様に……。
*
『おや……。この様なところまで人間が現れるとは。私に何か用ですか?』
◼️◼️◼️がある山奥の屋敷を見つけた時だ。
◼️◼️◼️はその男に出会った。
その屋敷の主人らしき男は、◼️◼️◼️の姿を見て不思議そうに尋ねた。
長身で、キッチリとした格好の──男性用のタキシードの様な服装をした……片腕の男だ。
『──ヒヒッ……村◼️み◼️◼️の仇……みぃー◼️◼️たぁ……』
◼️◼️◼️は歓喜した。
やっと、探し求めていたターゲットを見つけた……。
◼️◼️として誕生してから◼️年……
すでに感情のほとんどを失っていたが、その男の顔を忘れた事はなかった。
実際に探し求めていたのは◼️◼️◼️であったが、男を見つけた事が純粋に嬉しかった。
『……人間ではない。はっは! これは失礼……我々と同じモノでしたか……』
男は、◼️◼️◼️の異様な様を見ても、大して焦った様子も見せない。
それどころか──
『それにしても、貴方……何処かで……。ああ、思い出しましたよ! あの村の住人でしたか! 僅かにですが覚えていますよ!』
いつか、『こうなる事が分かっていた』とでも言いたげに……楽しそうに笑った。
『──ヒヒッ』
◼️◼️◼️はそう笑い返すと──無防備に男の前に立つ。
『あの時は圧倒的弱者でしたが……今はどうでしょう? そんな姿になってまで、私を追いかけてきたのですから──』
──パチンッ
男が何が言い終わる前に、◼️◼️◼️は指を弾く。
『──はひ?』
男は間抜けな声を上げた。
何が起こったか分からない……。
◼️◼️◼️が無造作に指を弾いた瞬間──
男の首は胴から離れ──
胴体が消滅していた……。
残ったのは男の頭だけ。
『──ヒヒッ』
◼️◼️◼️は、動かなくなった男の亡骸を見下ろし──静かに笑った。
*
『◼️◼️◼️……。◼️◼️◼️……。◼️◼️◼️』
◼️◼️◼️は◼️◼️◼️の名を呼び続ける。
亡骸を前に、遂に目的を達したと言うのに……全ては虚しいだけだった。
『◼️◼️◼️……。◼️◼️◼️……。◼️◼️◼️』
それでも尚、呼び続ける……。
既に、◼️◼️◼️◼️は失われてしまったと言うのに……。
◼️◼️◼️は目的を達成したと言うのに、◼️◼️◼️の胸に残ったのは……
虚しさ、悲しさ、やり場のない怒り……。
感情がほとんど失われた◼️◼️◼️に残ったのは、たったそれだけだった……。
【可哀想だね、君は。もう護るものなど存在しないと言うのに……それでも尚、大切な者のために、その名を呼び続けるのか】
いつの間にか、◼️◼️◼️の背後に◼️◼️の女性が立っていた。
『……誰……◼️……?』
見たこともない……しかし、この世のモノとは思えない美しさをもつ女性だった。
【残念だが……この世界にはもう、何も残っていない。君の大切な者たちも……何もかも】
『……』
【ボクは女神たちとの勝負に勝ったが、手に入る〝世界〟がこんなモノなら……要らないな】
『……』
◼️◼️◼️は、その女性の言葉の意味を理解出来なかった。
──いや、言葉の意味などどうでもいいと思った。
【◼️◼️◼️◼️やへドゥン……ル・ナーガはすでに消え去った……。残ったのはボクだけだ……。ボクは絶対神になったが、意外に虚しいモノだね……。出来れば、もう少し楽しませて欲しかったのだが……】
その女性は、◼️◼️◼️の存在など無視する様に続ける。
『ねえ、こんな世界は退屈だよね? 〝やり直したい〟と思わない?』
『……な……に……を……?』
【ボクの力だけでは無理だが……君になら出来る。私が力を貸せば……ね。こんな退屈な世界を捨て──全てをリセット出来るよ? 何故なら、君は◼️◼️◼️◼️◼️◼️なのだから】
『やりな……お……し……? ◼️父さ◼️……。◼️母さ◼️……。ジー◼️村の◼️◼️◼️も……? ◼️◼️◼️も……?』
【そうだね……全てを、だ。ボクもこんな退屈な世界は望まない……。やり直して、もっと上手く〝楽しんでみせる〟よ】
◼️◼️◼️は悩む事もなかった。
どうせ◼️◼️◼️のいない世界だ。
どうでもいい世界……。
いらない世界……。
『や……り……◼️……を……』
【さあ、ボクの手を取りなさい。全てをやり直そう……より良い──〝ボクの理想の世界〟のために……】
こうして、◼️◼️◼️◼️と◼️◼️◼️の契約が成立し──
世界はリセットされた……。