表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/144

【6】ガストンという少年

 「おい、ヘタレのユラン!」


 ユランが学校の廊下を歩いていると、同級生のガストンがユランの前に立ち塞がった。


 取り巻きの二人も一緒だ。


 ガストンの取り巻きは、痩せぎすのノッポの男子がトリノ、オドオドしている女子はリネアという名前だ。


 「さっきの授業じゃあ調子に乗ってやがったな。ヘタレ野郎の癖によぉ」


 ガストンはニヤニヤした意地の悪い笑みを隠そうともせず、ユランに突っかかる。


 ユランはそんなガストンたちを見て、思わず吹き出してしまった。


 ……なんとも懐かしいやり取りだ。


 未来の記憶を得た影響で、ユランにとっては、たった今起こっている事が遠い昔の出来事であるかのような錯覚を覚える。


 「笑ってんじゃねぇぞ。気味悪いヤツだな」


 ユランは、このガストンという少年が昔ほど嫌いではなかった。


 未来を知るユランは、精神的にも大人だ。


 ガストンたちの意地悪も「可愛いものだ」と思えてしまう。


 「次は剣術の授業だ。ボロカスにしてやるから覚えておけよ」


 そう言い残し、ガストンたちは去っていく。


 去り際に、オドオドした少女──リネアが振り返り、ペコリとユランに向かって頭を下げた。


 そういえば、リネアという少女は〝そう言う娘〟だったと思い出す。


 ガストンが怖くて言いなりになっているだけで、根は優しい子なのだろう。


 ユランが笑顔を作り、リネアに手を振ると──彼女は顔を赤くして去っていった……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ