4,冒険者とダンジョン(3)
翌日、俺達は冒険者ギルドに来ていた。
睦月がまだ冒険者登録していないからだ。
今俺は睦月の登録が終わるのを待っている。
少し経つと睦月は登録が終わったのか俺の方へ来た。
「登録終わったよ。それでこれからダンジョンに行こうと思う。」
そう、俺達はこれからダンジョンに行く予定だ。
ダンジョンは定期的に生成される。俺が言っていたダンジョンは新しいものだったが、これから行くのは十年前に見つかったダンジョンで、鉱物系の素材や資源が多く初心者の装備やレベル上げに丁度いいようなダンジョンのためコアが破壊されていない。
俺達は、そのまま町から一時間ほど移動したところにあるダンジョンに向かった。
俺達はダンジョンに着いた。
道中に魔物と遭遇しなかった。
俺は疑問に思った。そんな様子の俺を見て睦月が口を開く。
「もしかして、魔物除けを知らないの?弱い魔物はこれで近寄ってこなくなるんだよ。」
俺は驚いた。そんなものがあるのなら早く教えてほしかった。いや、集団とは別で活動している弊害か。
俺はそんな感想を抱きながら、ダンジョンに入る。
俺はマッピングを始める。
「どうして、地図を作っているの?」
なぜ、俺が地図を作っているのか疑問に思ったらしい。
実際このダンジョンの地図は売られているし、俺は今それを持っている。
ならなぜマッピングをしているのかと言うと、それはこの地図を信頼していないからだ。
この地図は作成者の都合のいいように改竄されている可能性があり、これを鵜呑みにして損をしないために自分でも地図を作っているのだ。
「単純にこの地図の穴があったときに修正するためだよ。」
俺は睦月の問いをはぐらかす。
べつに睦月を信用していないわけではない、純粋に説明するのが面倒だった。
俺達は探索を進める。このダンジョンは洞窟型で迷路のように枝分かれした道を選択して探索していく。ひとまず、二階層への階段まで進む。
すると、洞窟から三体の魔物が現れた。
その魔物は蝙蝠のような形をしているが、サイズは人間サイズである。
特徴的なのはその耳の大きさだ。頭位のサイズがある。
俺達は戦闘態勢になる。
俺は剣を使うが、睦月は弓を使う。
睦月の職業は聖弓士。聖騎士系統の弓使いのジョブだ。
この魔物は飛ぶので、剣では相性が悪い。
だから、俺は防御に徹し睦月が攻撃をするという戦い方だ。
魔物の一体が俺たちの方に飛んでくる。
それを俺は剣で斬りかかる。
魔物はそれを回避する。
だが、回避した先に睦月が放った矢が命中し絶命した。
後二体。
俺は魔物の一体に斬りかかる。
魔物はそれを躱す。しかし、それは回避後の隙を作るのと同義。
睦月はそれを先ほどと同じように射貫く。
残り一体。
最後の一体は俺たちの方に接近し攻撃を仕掛けてきた。
しかし、それを俺が剣で跳ね返す。
浮いているせいだろうか。ウルフよりもパワーがない。
俺は跳ね返した流れを使って、魔物に斬りかかる。
体制が整っていなかったからか、魔物はそれをまともにくらい絶命した。
俺は息を吐く。
それと同時に睦月の方を見る。
睦月は座り込んだ。
睦月の顔色は蒼白だが、この前ほどひどい状態ではない。
だが、顔色が悪いことには変わりない。
俺は睦月の方に近づき、声をかける。
「立てるか」
「大丈夫。まだ戦えるよ。」
俺の確認にそう睦月は答える。
俺は本当に大丈夫であることを確認し、探索を再開する。
すると、人だかりが見えた。
俺はその人だかりに検討がついている。
この人だかりは、宝箱を取り合っているのだ。
ダンジョンには宝箱が存在し、それは決まった位置に出現する。
宝箱に入っているアイテムは低レアの物から、高レアの物まである。
ただ、ダンジョンの階層が深くなるほど高レアが出やすい。
恐らくここにいるのはある程度戦えるDランクの冒険者くらいだろう。
もっとランクの高い冒険者は深い階層で宝箱を開けている。
「影宮君あの集団は何?」
俺はその集団を無視して探索しようとしたが、睦月がそれに反応した。
どうやら、宝箱のことを知らないらしい。
「あれは宝箱で一定時間でリポップする。中にいいアイテムが入っていることが多いから争奪戦になっているんだ。」
俺がそう説明すると、睦月は目を光らせる。
俺は嫌な予感がして、早く探索を再開しようとしたが時すでに遅く。
「ねぇ。あれ取りに行こうよ。」
「は?」
俺の考えうる最悪な展開になった。俺たちの優先順位はレベル上げであり、いいアイテムを手に入れたいわけじゃい。ただ、ここで断ることは難しい。けど時間的に魔物を買った方が効率がいい。もし争奪戦に加わったとしても勝てる可能性が低い。何の成果もなしで時間を無駄にすることになる。
「いやだ。いくら何でもあれに入りたくない。」
俺はあの集団の方に指をさして、そう発言する。
睦月は面白くなさそうな顔で明らかに拗ねている。
「ふぅん、なんで?」
「まず、勝てるかわからないのに時間を使うのが一つ。あれを取るより魔物を狩った方がいいのが一つ。勝ったところでいいアイテムが取れるかわからないのが一つ。計三つの理由からあれを取りに行く必要性を感じない。取りに行きたいと思わない。」
「まあ、それなら仕方ないか。」
睦月は不満はありそうだが、一応納得してくれた。俺は安堵し、息を吐く。
そうして、俺達は探索を再開した。
午後四時くらいになったときに俺達は探索を終え、ダンジョンからの帰路を辿っていた。
あれから魔物と遭遇し、それを倒すということを繰り返していた。
魔物は二十三匹ほど倒した。
だが、レベルは一つしか上がらなかった。
恐らく、経験値みたいなものが分配されたのだろう。
俺達は町に着くと、冒険者ギルドに寄った。
素材を売るためだ。俺達は魔物の魔石をまとめて売り、そのお金を二人で割った。
俺の手元に来たのは銀貨五枚程度。
やはり、魔物のランクが低いからか金額が低い。
俺はそれとは別に今まで集めた魔石を売る。
金額は銀貨十枚だ。
俺は懐が少し温まったことに安堵した。
俺達はその後城に戻った。
俺は部屋に戻ると、魔力操作の授業を受けてからやっている。魔力操作の訓練をする。
それと、少しでも身の身体能力を上げるためにトレーニングをする。
俺はそれが一通り終わると、ベットに座りステータスを確認する。
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名前 鳴瀬 影宮
種族 人間
年齢 15歳
職業 魔法使いLv5
状態 健康
MP50/50
筋力 5
防御力 5
敏捷性 7
魔力 8
体力 5
スキル 魔法球 ライトニング 障壁
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こうしてみると、魔力と敏捷でも魔力の方が優先されるらしい。
それとこの魔法は恐らく防御魔法だろう。
俺はステータスを確認すると、そのまま眠りについた。
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