9,襲撃(3)
登校している頃には正月くらいかな?
残り少ないですが、一章をお楽しみください。
そこにいたのはオーグさんだった。
俺はオーグさんが王都に来ていることを利用して、この魔族を倒そうとしているのだ。
オーグさんには不意の戦闘になって申し訳ない。
「オーグさんこの魔族倒してくれませんか。」
オーグさんは真剣な表情で任せろと言ってくれた。
そのまま、魔族に斬りかかった。
オーグさんの武器は斧だ。
これで魔族には勝てるだろう。あとはアリシアを守ればいい。
俺はそう判断しアリシアを下ろして、魔族と向き直る。
「オーグさん、そいつ糸を使って攻撃してきます。」
俺はそう忠告して、再度しっかりと剣を構える。
オーグさんはその忠告を聞いて、よく目を凝らして周囲を見る。
俺もそれに合わせて目に魔力を込めると、周囲が糸で覆われていることに気づく。
このオーグさんと入れ替わっただけの短時間で、これほど正確に糸を周囲に展開できるのか。これは厄介だな。
すると、魔族が地上に降り立ってきた。
少しの静寂が訪れる。
俺はアリシアを守るように、アリシアに背を向けて魔族に正対する。
すると、魔族はいきなり笑い出した。
「ハハハハハ、滑稽ですね。そんなにその女が大事ですか、そんな出来損ないの呪われた女が。」
そいつは嘲笑うように俺に指を刺し、そう言葉を吐く。
俺はそんな言葉を放ったそいつに、酷いくらいの殺意が沸く。
ふざけるなよ。アリシアのことを出来損ないだって。
剣が俺の殺意と呼応するように、大きな音を立てながら軋む。
「どうしたのですか。もしかして、あなたを怒らせてしまいましたか。それはそれはすいませんね~」
俺はその嘲るような口調に一層怒りが増す。
だが、今冷静さを欠いてしまったら守れるものも守れない。俺は意識を切り替えてアリシアを守ることに専念する。
「どうやら、あなたに挑発は意味をなさないようですね。それではさようなら。」
そいつはそう言い放つと、空中に飛び出した。どうやら、狙いはアリシアのようだ。
俺は空中にいるそいつにライトニングを放つ。
だが、そいつは軽々と身を翻しそれを回避する。
そうしてそいつを迎撃していると、オーグさんが横から斧を振って斬撃を飛ばした。魔族はオーグさんを意識していなかったのか。その斬撃をもろに食らう。
その魔族は上空に避難した。
だが、その選択は悪手だった。
そいつの上空から、そいつを雷が突き刺す。
魔族はその雷をもろに食らい、地上に落ちた。
魔族に落ちた雷は俺が発動した天雷だ。さっきまでは魔力の流れや俺の方に意識が向いていたから使えなかったが、今の一瞬は俺ではなくオーグさんに意識が向いていた。それに、斬撃を食らったせいか回避能力が低下していたからだ。
俺の天雷を食らった魔族は、じりじりと立ち上がった。
天雷を食らったせいか体中が黒焦げになっている。
その魔族は立ち上がると、俺たちの方に魔法を飛ばした来た。
俺は咄嗟にアリシアを守る。
その攻撃はアリシアを庇った俺に被弾する。
その魔法はエネルギー弾だったようで、俺は衝撃によりダメージを負う。
俺は攻撃が当たった腹をを見ると、そこには穴が開いていた。
俺は振り返ってアリシアの方を向く。アリシアにはけがはないようだ。
俺に出した魔法が最後の足掻きだったのか。その魔族は地に伏して息を引き取った。
俺は腹から溢れ出る血の量を見る。
ボロボロと滝のように血が落ちていく。幸い心臓は避けられたみたいだ。
俺は魔族を倒せた安堵を感じると同時にアドレナリンが切れたのか俺は意識を失った。
俺は目を覚ますと、王城の一室だった。
俺は周囲を警戒する。
どうやら、ここに監視の目はないみたいだ。
すると、部屋のドアが開く。
そこから入ってきたのは睦月だった。
睦月は入ってくるなり、俺の方に向かって走り出した。
そして、俺に抱き着いてきた。
は?いきなりなんだ?
俺が衝撃で呆けていると、睦月が口を開いた。
「無事でよかっだよ~。二週間もどこに行ってたんだよ。」
どうやら、睦月は俺のいない間俺ことをずっと心配してくれていたらしい。
悪いことをしたな。まあ、連絡する手段はなかったんだけど。
そんな感想を抱くと同時に睦月に場所がばれているのに何で隠密がいないんだ。
それに俺はあの後、どうなった。
「睦月、少し聞いてもいいか」
「どうしたの、影宮君」
睦月はこちらを不思議そうな顔で見つめる。
「いや、どうして俺がここにいるのかなって思って」
睦月は納得したような顔になる。
そして、睦月は真剣な表情になり、口を開いた。
「実はあの後・・・」
睦月の説明によると・・・
俺が倒れた後、アリシアが俺を持ったオーグさんを連れて王城に戻ってきたらしい。
そして、その帰ってくるアリシア達を目撃したクラスメイトがいたようで。そいつが俺がいることをクラスメイトの間で広めたらしい。
アリシアは俺の身柄を預かると言って、部屋に俺を寝かせたらしい。
俺はそこでアリシアが呼んだ治癒師に直されたらしい。
それから、三日ほど経過したのが今日で、睦月は俺が起きるのを扉の前で待っていたから、今ここにいるわけだ。
どうして、監視の目がないかはわかった。
恐らく、アリシアの呪いを恐れて誰も近づかなかったのだろう。
アリシアを殺そうとすれば、自分に呪いがつくことになるし、俺を殺そうとすればアリシアが死んだときにそいつに呪いが移るからな。
俺は今監視がない理由が分かり、安堵の息を吐く。
俺が睦月からの説明を受け終わると、扉が開く。
そこから出てきたのはアリシアだった。
アリシアは俺の方を見るなり、いきなり泣き出した。
俺はどうしたらいいのか分からずに困惑する。
とりあえず、俺は声をかけることにした。
「アリシア?どうした?」
俺がそう口にすると、アリシアはさらに泣き出した。
アリシアは泣きながら、嗚咽の籠った声で言葉を紡ぐ。
「も゛う心配じだんでずからね。」
アリシアが俺のことを心配してくれた。
俺はその事実だけで、命を張った甲斐があったと思った。
「俺はもう大丈夫だ。」
俺がそういうと、アリシアは少し落ち着いたのか涙を拭き、顔を上げてこちらを向いた。
「影宮さん。言いたいことはたくさんありますが、まずは無事でよかったです。」
アリシアは笑顔で俺にそう微笑みかける。
俺はその笑顔に心を奪われる。
彼女の笑顔に瞳が吸い寄せられる。
気づけば俺は彼女の顔をずっと見ていた。
すると、アリシアが恥ずかしそうにそっぽを向く。
「泣いたばかりなので、そんなに顔をまじまじと見ないでください。恥ずかしい(小声)」
どうやら、泣いた後の顔を見られるのが嫌だったらしい。最後の方は声が小さくてうまく聞こえなかったが、そこは詮索しないでおこう。
「とりあえず、僕を無視して二人の世界に入らないでくれるかな。」
そう悪態をついたのは睦月だった。
確かに今俺は睦月がいるのを完全に忘れていた。
これはアリシアが可愛いから仕方ない。
「ごめんごめん。」
俺はそう謝罪した。
その後は、気を取り直した。
アリシアによる説教が待っているのだが、この時の俺はまだそれを知らなかった。
さて、一章も残り三話となりました。
一章の投稿が終わりましたら、また数か月ほどお休みと言うか製作期間を頂き、再度投稿させていただきます。
誤字や間違いがありましたらご報告いただけると助かります。
作品への評価・感想等を頂けると嬉しいです。
ご朗読ありがとうございました。




