5,帝国最強(3)
そいつはおれの体をめった刺しにしていく。当然俺は死にかけるだが、口を割らない。このままでは死んでしまうというタイミングでそいつは俺にポーションを掛けてきた。そのポーションは性能がいいのかそれとも範囲が狭いからか、傷口が塞がった。
「あ゛あ゛ああ゛ああああああ。」
俺は苦痛の声を上げる。
それからも何回もそいつはナイフで刺しては、ポーションで回復するという作業を繰り返す。
どうやっても、勝てないこの状況だ。
そして、三十分が経過した。
すると、そいつは俺が口を割らないと判断したのか、それともポーションが無くなったのか、俺を殺そうとしてきた。
そいつはナイフを振り上げ、俺の首目掛けて振り下ろした。
だが、それが俺の首に突き刺さることはなかった。
なぜなら、俺が間一髪で首を逸らしたからだ。
「まだ余力があったのか。」
そいつはそう吐き捨てて、再度ナイフを振るう。
さすがに躱し切れずに俺は食らえば死の斬撃を食らってしまう。
そのナイフが俺の首へと入り込み、激痛が全身に流れ出す。
皮が裂け、肉が露出し、骨が見える。
やはり死の淵は思考が早くなるのか、ゆっくりとした時間の中で鮮明にその状況を見ている。
その間も、抉る痛みが俺をむしばむ。
口からは吐き気を催す。
目からは血涙が溢れ出す。
耳からも血が溢れる。
魔力は暴走し、体中を駆け巡る。その暴走は何とか命を繋ぎ止めようと必死だ。
だが、そんな抵抗は虚しくその刃は俺の首を両断した。
俺の首は弾け飛び、鮮血をまき散らす。
俺は意識を失った・・・・
そして、俺は目を覚ます。
ここはどこだろうか。
俺は死んだからな。恐らく予想通りの場所に来た。
さて、先ほどの出来事を整理しよう。
俺は王国にとって不味いこと、この国の中枢であろう場所。
ダンジョンに向かったからだ。なぜこのダンジョンに向かうことがまずいかと言うと、それはそこに召喚した際に使用した転移の術式が備わったアイテムが存在するからだ。
別に俺がいなくなってもあちらに痛手はない。
だが、もし俺が他のクラスメイトも連れて行こうとすると問題だ。
だから止めたんだろう。
なら俺はどうして、それのあるダンジョンに向かったかと言うと、簡単な話アリシアを連れて他の世界に転移しようと考えたわけだ。なぜなら、ラインハルト・アレクサンドリア・ナイトローズがこの王城に滞在していたからだ。ラインハルトの二つ名は帝国最強ともう一つ裏の顔がある。それは珍しい存在を集めるところだ。そんなラインハルトに他国に公表していないアリシアの呪いのことがバレればアリシアを持っていかれるかもしれない。それ以外にも理由はあるが、主な理由はそれだ。
そして、なぜ俺がこのダンジョンに転移の術式があることを知っていたかと言うと、それは資料を読み漁って不自然な点に気づいたからだ。このダンジョンはこの国建国に大きくかかわっているはずなのに、その詳細についての情報がないんだ。
そして、もう一つ図書館で調べた過去の転移者はアイテムによって召喚されているのだが、俺たちの周りにはそのようなものはなかった。だから俺は一つの仮説を立てた。それは、別の場所から座標を指定して召喚したのではないか。と言う物だ。
この召喚のアイテムはそれなりの大きさをしており、民に隠して使用することはできないだろう。そして、アイテムの有効範囲が今までの歴史から考えて、王都ないじゃないと城まで影響が及ばないということ。
だから、俺はそのダンジョンにアイテムがあると、当たりを付けた。
見事それは当たっていたのだろう。だが、俺は死んでしまった。
いや、そもそも俺は先に監視の目を外そうとしたからばれてはいないのか。
まあ、一回目なら大丈夫だ。
まだ復活できる。復活できるのはあと二回しかない。
なぜ復活できるのかだって、それは過去の転移者が復活していることから予想できる。その情報が書いてあった本には聖女の魔法により生き返ったと書いてあるが、その聖女は今までの中でも一番レベルが低かった何かしらのスキルを覚えている可能性が低い。
それに、転移者の中で死者がいないことが一番の要因だ。
そして、恐らく死んだと思われる場面が何回かあった転移者がいたのだが、そいつが死んだと思われる場面は五十回。だが、そんなに生き残れるだろうか。否不可能である。だから何回か復活できるのは分かっている。それと同時に復活しすぎると、自我と言うか魂の力と言うか意志が弱くなっていくようだ。その転移者は途中から一人の王族の言いなりになっていたからな。
だから、俺は自分自身に三回と言う制約を課した。
そうして、俺はこの空間でそんなことを考えていると、この白紙のような真っ白な空間に亀裂ができる。俺はその亀裂に入る。
・・・
・・・・
・・・・・・・
「お゛お゛おおうう゛ああああ゛あ。」
俺はそこで呻きながら息を上げる。
どうやら復活に成功したようだ。
『隠しスキル〈災厄の呪い〉が発動しました。残り使用回数九回。』
『条件を満たしました。魂スキル〈死を超えた者〉〈命を見ない者〉〈法則を巧みに扱う者〉を取得しました。また、以上のスキルが結合し魂スキル〈超越者〉を獲得しました。』
いきなり、ステータスが開いたと思ったら、こんな文面が現れた。
恐らく、死を超えたことで得たスキルだと思うが、あとの二つのスキルに関しては意味が分からない。スキルについて考えていると、頭に情報が流れてくる。
流れてきた情報には今現れたスキルの詳細が乗っていた。
まず、災厄の呪いと言うのは世界間を移動して来訪したものに死を超える効果を与える者。だが、それは災厄の力が届く範囲でなければ効果がなく。このスキルがあると少しずつ力を取られるらしい。
次に、三つのスキルだが、一つ目の死を超えた者は文字通り死んだ後に復活したら得られるスキルで、死の間際になると、ステータスが二倍になるという効果だ。
二つ目は、命を見ない者これは自分の命を何とも思わずにわざと死ぬことで得られるスキルで、効果はいつでも冷静になれるスキルだ。
三つ目は、世界に存在するスキルや法則を利用し、その穴をつくことにより得られる。ただこれはたまたまできたでは取得できないようだ。世界のシナリオを把握できる。
そして、これらを統合したスキル超越者は常に冷静に思考することができる権能(オンオフ変更可)、
運命を超越して自分の運命を変えることができるようになる権能と運命を確認できる権能、死の淵になると自身の能力が強化される権能、魂のエネルギーがあれば自身を蘇生できる権能、自身のステータスを消す権能だ。
そして、魂スキルとは魂に付着、刻まれた力で、ステータスの干渉を受けない。スキルとは言っているがただの地力に近い、自身の魂の過度なエネルギーが形を変えてスキルになっただけである。
そして、この世界の情報も少し知ることができた。これはスキルの関係上知ることができた情報だ。どうやらこの世界のステータスは1人の存在によって存在しているようだ。
だから、生物はステータスに縛られ、ステータスに生かされている。ステータスを持つものはこいつの管理下にあると言ってもいい。
俺は情報を整理し終わると周りを見回した。
ここは洞窟の中のようだ。
俺はこれから、別人として生きていかないといけない可能性が出てきた。だが、まだあと一回は死ねることが確定しているので、アリシアに会いに行った方がいい。
だが、それは今じゃない。
俺は周辺を探索した結果、ここが王都から少し離れた洞窟の中だとわかった。
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