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小説女優《ノベルアクトレス》~あたしは小説を演じて、小悪魔先パイに分からされちゃう???~  作者: 夕姫


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50. いつもと違う?

 50. いつもと違う?




 8月中旬。世間はお盆の真っ最中のある日、あたしは春菜ちゃんと近所にある図書館で読書感想文の宿題をやっている。というより、春菜ちゃんの宿題をやっている。


 サキちゃんは部活動の合宿中、衣吹ちゃんは家族の用事。何も用事がないあたしが呼び出された。もちろん帰りにカフェで奢ってくれるって約束付きだ。まぁ、それはどうでもいいんだけどね。


 それにしても…… 目の前に座っている春菜ちゃんを見て思う。可愛いなぁ。本当に今どきの可愛らしい女の子だ。少しだけクセのある肩までの髪を揺らしながら、本を読んでいる姿はとても絵になる。あたしも自分の髪に手を伸ばしてみたけど、ちょっと長いかな? と思っただけでやっぱり似合わないような気がした。


「うーん……どうやって書けばいいの?分からなすぎ!」


「いや。春菜ちゃんが読んで思ったことを書けばいいんだけど……」


「えーっ!これ全部読むの!?私途中で飽きちゃうんだけど……」


 春菜ちゃん。読書感想文はまず本を読まないと始まらないんだよ……。でも、この様子じゃ無理そうだなぁ。仕方ないから手伝ってあげるか。


 とりあえずあたしは春菜ちゃんの隣に移動して本を手に取った。そしてパラパラとページをめくっていく。


 春菜ちゃんの甘い匂いがしてくる。これは結愛先パイとも衣吹ちゃんとも違う……もしかしたらあたしもそう思われてるのかな?


「凛花ちゃん?おーい?」


「あ。ごめん。えっと春菜ちゃん。ここにあらすじがあるでしょ?あと後書き。ここを読めばある程度内容が分かるから読みたそうな本を持ってきて。」


「さすが凛花ちゃん!小説好きなだけあるね!」


 そんなに褒められると照れるよ……。それから1時間ほどかけてなんとか半分くらいまで読んだところで休憩になった。


「あと半分もあるのか……。私には向いてないな……。」


「あと半分でしょ?頑張ろう!」


「凛花ちゃんはどうしてそんなに読めるの?」


「うーん。あたしはとりあえずその本の登場人物になりきって読んでるよ。そうしたらスラスラと頭の中に入ってくるんだよね。だから多分春菜ちゃんもそうすればいいんじゃないかな?」


 あたしの言葉を聞いた春菜ちゃんは真剣な顔つきになって再び本を読み始めた。よし!頑張っているみたいだし、あたしももうひと踏ん張りするか!



 ◇◇◇



 しばらくして、読書感想文は書き終わる。そしてそのまま帰りにカフェに寄ることにする。店内に入ると冷房がよく効いていて気持ちよかった。気温も落ち着いてきたけど外はまだまだ暑いしね。店員さんが席へと案内してくれる。窓際の2人用のテーブル席だった。


 注文を終えてしばらくすると飲み物が届いた。早速飲んでみる。うん!美味しい!今日はアイスコーヒーにした。春菜ちゃんの奢りだからか、今日は特に美味しく感じる。隣を見ると春菜ちゃんも同じものを飲んでいた。


 ふと気付くと視線を感じる。目線を上げると春菜ちゃんと目が合った。どうしたんだろ……?


「凛花ちゃん。なんだか大人っぽくなったよね。最近雰囲気が変わったっていうか……」


 春菜ちゃんが何を言いたいのかよく分からない。変わった?どこがだろう?自分では全く自覚はないんだけどなぁ。


「そうかな?自分じゃ全然分からないけど……。」


「もしかして……彼氏できた?」


「えっ!?彼氏!?いないいない!あたし彼氏はいないよ!」


「彼氏は?なら……。好きな人いるんでしょ?私はそういうの分かっちゃうんだよね~!勉強は出来ないけどさ。実際どうなの~。ねぇねぇ凛花ちゃん!」


 春菜ちゃんがぐっと顔を近づけてくる。近い!近いです!!思わず身体を引いてしまう。


 それを見た春菜ちゃんがニヤリと笑った。しまった!誘導尋問に引っかかってしまった!春菜ちゃん……なんて策士なんだ……。でも、この質問に対してあたしは何も答えられない。


 だって……好きな人はいる。それが結愛先パイだとは絶対に言えない……。あたし押しに弱いからこれ以上聞かないで!


「あれれ~その反応は?もしかして本当にいるの?教えてくれないと私諦めないからね!」


 春菜ちゃんの表情から察するにこれは絶対引いてくれないやつだ。こうなったら言うしかない……。


「えーと……。いるよ。」


「やっぱりぃー!誰々!?クラスメート!?それとも先輩とか!?名前は!?年齢は!?写真見せて!!」


「ちょっ!ちょっと待って!そんな一気に聞かれても困るよ……。」


 一気じゃなくても困る。というかもうあたしは詰んでるのでは?あたしが戸惑っていると春菜ちゃんは笑顔で言った。


「言わなくてもいいよ。私応援するから成功したら教えて!」


「えっ……うん。」


「あっそうだ!この後用事ある?安くて可愛いコスメのお店見つけたんだぁ!一緒にいかない?凛花ちゃんのも選んであげる!」


 春菜ちゃんは笑顔でそう言った。やっぱり春菜ちゃんは可愛い。そして優しい。あたしは少しだけ救われた気がした。いつかは春菜ちゃんにも堂々と話せる日が来るのかな……。

『面白い!』

『続きが気になるな』


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