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第一話 クロノ

西暦という暦があったことを皆さんは知っていますか。


西暦が終わったのは今から約1000年前と言われています。

一説によると、その最後の年は2080年だったとも言われています。

まぁ定かではありませんがね。


何故、西暦が終わったのか皆さんは知っていますか?


(ヒューマン)が神であるアースと戦争をし、破れたからです。

この戦いをラグナロクといいます。戦いは何十年も続き、いつ終わったのかも解っていません。西暦の終焉がはっきりしない理由は、この為です。


戦争に勝利したのは、神の軍でした。アースの子、アメリアにより人の最後の楽園ルナストファリウスは滅び、悪に満ちてしまった人は全て、滅ぼされてしまいました。


人の奴隷として戦っていた、我々クロノの祖先は、人が滅びた事を知り、武器を捨てました。


それを見た神は、クロノに慈悲を与え、人がまだ良き生き物であった頃の生活を続けるならば、この地球に生きてもよいと仰られました。


こうして我々クロノは、人が残した文化を引き継ぎ、人の代わりとして、神の再編したこの世界で生きることになったのです。






歴史の授業で何千回と習った、先生の説明を無視して、俺は下層へ続くドアを探して歩き回っていた。


ゴツゴツとした瓦礫が、足下を不安定にさせるけれども、そんなことは関係ない。

「風が吹いてるから、きっとこの辺にある筈だけど…」


立ち入り禁止の札を見たのは、もう何分も前の事だ。

いつ瓦礫が崩れてきてもおかしくはない状況だが、まぁ何とかなる。

今までで、どうにもならなかったのは夏休みの宿題ぐらいだから。



この『第七中央研究所』は、俺達の学校の社会見学おきまりコースだ。


小学校を会わせると、ここに来るのは五回目にもなる。

人文化研究重要指定財(ひとぶんかけんきゅうじゅうようしていざい)』として登録されていて、俺の住む町唯一の観光名所だ。

ここは、人がまだ生きていた頃、あらゆるロストの研究を行なっていた遺跡で、今でも『研究所』からは貴重なロストが多く見つかっている。


ロストというのは人間が残した技術だったり、道具だったり、兵器だったり、とにかく俺達クロノが未だに達成できない地点の、


遥か上をゆくテクノロジーの総称である。

クロノは神が再編したこの世界を、ロストの力を借りることで、今日まで生き残ってきたらしい。


そんな貴重なモノが埋まっている、ココ『第七中央研究所』は歴史学者や技術者の聖地とまでいわれているのだが、俺達の様な一般市民には、エントランスとロビーしか見学出来ない決まりになっている。


つまりは、入って、ロビー見て、はいオシマイ。


ロストの偉大さなど毛ほども感じられない退屈スポット。


五回も見学に来る価値は、明らかにない場所だった。



そして生涯五度目の退屈に、限界を感じてしまった俺は、この遺跡をしっかりと見学すべく、一人で遺跡探検をすることにしたのだった。


「あっ…行き止まり。」

瞬殺で遺跡探検は終わってしまった。

先への道が瓦礫で完全に埋まっている。もう進めない。

全くそれならば『立ち入り禁止』ではなく、『この先行き止まり』の看板を立てておけばよいのに。

「ちぇっ。ブレイブでも見れるかなと思ったのに。」


もっともブレイブがこんな所に落ちていたら、一目散に軍が駆けつけて、回収してしまうのだろうけれども…。


ブレイブとはロストのなかでも、一際高度な技術が多用されている機動戦闘兵器の事を指す。


その形は様々だけど、俺が写真で見たのは人型の奴だった。父が軍の技術班で、ホントは禁止なのだが、一枚だけ写真をくれたことがある。俺の宝物だ。

ブレイブは凄く格好よいデザインと、カレッジとは比べ物にならない性能を持っている(らしい)。


ちなみにカレッジというのは発見したブレイブの模倣品の事で、こちらは数の少ないブレイブの変わりに軍の主力を担っているし、そこそこに格好もいいのだけれど、カレッジは量産型で、ブレイブにはやはり敵わないと思う。


「…戻るか。」

小石を蹴っ飛ばし、俺は、引き換えそうとした。




「そこで何をしている!」

後ろから突然大きな声がして光を当てられる。




「(見つかった!)」

咄嗟に物陰に隠れたが、遅かったのだろう。

声の主は大声で命令を繰り返した。


「隠れたって無駄だ!でて来なさい!」




僕の背中を冷や汗が通りすぎていく。


立ち入り禁止区域に入った事がばれれば、学校からかなりキツイペナルティを課せられることは決定的、最悪で停学もありえた。


「(どうしよう。)」


真っ白になりかけの頭で、俺はひたすらにうまい言い訳を考え続けていた。

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