18. 一方、その頃レオンは…⑤ 【追放パーティ視点】
【Another View: レオン】
冒険者ギルドの規約違反、傷害罪として、俺様は国の牢獄に投獄される。
その予定だった。
しかし俺様は保釈された。
そう
家が金持ちだったからだ。
「あ……ありがてぇ……オヤジめ……初めて見直したぜ」
俺は刑務所から出ていこうとすると、出口の番兵に呼び止められた。
「いいよな、金持ちはよぉ」
俺様はすぐに言い返そうとしたが、やめておいた。
「お父様からありがたい手紙をいただいてるぞ」
俺様はイライラしながら中を開けると、書き殴られるように文字が書いてあった。オヤジの文字だった。
お前には心底がっかりした。Sランク冒険者となって浮かれていた私も馬鹿だった。甘やかしすぎたのかもしれん。お前のしたことの噂はもう貴族の間では有名になっている。おかげでハーゼンベルク家の誇りは失墜した。お前はもう我が家の子ではない。
「ハッ……絶縁かよ、お前の子じゃなくなってせいせいしたぜ」
しかし我々はお金を払ってお前を保釈した、なぜならお前は牢屋にぶちこまれて反省するような男じゃないからだ。これが我々の最後の願いだ。真っ当に生きろ。レオン。
「うるせぇ……いきなり親ぶりやがって、クソが」
だが、好都合だった。俺様は釈放された。まだ…まだ英雄になるチャンスを失っていない。そうだ……まずロレンス達に合わなくては……許してくれるよな……?あいつらならきっと……。
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俺様は連絡が取れなくなったら、冒険者ギルドへ集まる取り決めをしていたので、冒険者ギルドに赴いた。
しかし入り口には筋肉隆々の毛むくじゃらの男、ギルド長が立っていて、俺様を入れてくれなかった。
「……レオン、やってくれたな、まさかウチからこういうのが出るとはな」
「……ギルド長……なんだよ、どいてくれよ」
「そうはいかん、お前は1年間の処分だ、依頼を受けることはできん」
な……
「そして、お前が率いる【獅子の眼光】はBランクへ格下げになった」
「なにぃ!?」
俺様は怒り狂いそうになった。
「なんだ!?たった一人、人を斬っちまっただけじゃねえか!なんだてめぇ!今まで俺様を褒め称えていたくせに、俺らはSランク冒険者だぞ!この国へ多大の利益を与えてきたじゃねぇか!」
ギルド長は俺以上に怒号をかました。
「たった一人だと!?てめぇは性格は最悪な野郎だと思っていたが、拍車がかかったようだな!親が金持ちで良かったなァ!羨ましいぜ!普通なら5年は投獄されてるところだろうからな!確かにお前は難しいクエストを受けてはいた……しかし強かったのはお前じゃねぇ!ずっと一緒にいたリュックだったじゃねえか!」
「は……?」
呆気に取られた俺様を見て、ギルド長も呆気に取られた。
「もしかして……お前気付いてなかったのか……?リュックがお前達の実力を底上げしてくれてたってことを……」
どういうことだ?俺様はめまいがして、視点が一回転するような感覚を覚えた。
「【荷物持ち】と…きっとありゃ【亀の祝福】だろうな、俺にゃ思いつかなかったシナジーだ、リュックの能力でお前さんの力は3倍にも4倍にも強くなっていたんだ、お前さんにはもったいなさすぎる男だったよ」
ギルド長はリュックに対して語りだした。
「リュック…あいつは良い奴だよ、一見気弱そうだが、いつもお前達のことを思って行動していた、雑用はもちろん、次のクエストはどのアイテムを準備したらいいかって俺とよく相談してきたんだ、それも全部お前達が気持ちよく戦うためだ」
う…嘘だ!
俺様は自分の髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き上げた。
「アイツに言ったことがあるんだ、お前にはもっとふさわしいパーティがあるって、しかしアイツは怒ってたぜ、俺には【獅子の眼光】があるからって、すげぇお人好しだと思ったよ、アイツはお前をサポートしたくてしょうがなかったんだ」
嘘だ……なんで……強いのは俺様で……アイツは雑魚で……。
「この頃はまた冒険者ギルドに来て、パーティ申請してくれたらしいな、まぁ俺んとこの新人が弱いからってつっぱねちまったみたいだが……教育が必要だな……そしてお前さんみたいな弱くなっちまったパーティに信じてクエストを渡してしまったのも……こちらの落ち度だ」
ギルド長は勝手に反省し出したかと思うと急に俺の方を冷たい目で見ている。
「ところで……最近は別々の行動をしてるのは知っている、喧嘩別れってわけじゃなさそうだな、もしかしてお前……リュックを使えないやつだと思って……追放とかしてないよな?」
「し……してない!リュックが独立したいからって……仕方なく俺様が承諾してやって」
心臓の鼓動で頭がおかしくなりそうだった。ヤバイ。ヤバイ。追放したのがバレたら……二度と英雄を目指せなくなってしまう!!
「違うな、お前は嘘をついている」
俺様はギルド長の一言で、今度は心臓が止まりそうになった。まるでヘビに睨まれたネズミだ。
「リュックは絶対にそんなことを言わん……お前さんが追放したんだ」
「ち……違う……」
「全部自分の手柄だと思ってたんだろ……そしてリュックは要らないと判断して追放した…」
ギルド長はため息をついた。そして今度は俺を睨んだ。
「お前みたいな力を持ったと勘違いした弱者を間抜けって言うんだ」
もしかして弱いのは……俺!?
「嘘だぁぁぁぁあああああああああああ!!!」
俺様は喉が擦り切れるほどの絶叫を上げた。
「面白かった!」
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