17. 一方、その頃レオンは…④ 【追放パーティ視点】
俺様は森で一人になった。
術士二人とモルゲンに一角兎を押し付ける形になってしまった。
「なんだよ……これじゃあ俺様が姑息な奴みたいじゃねぇか……」
俺様が姑息なハズがない!そうだ!術士を見つけて…術士を見つけてしまえば、俺様は英雄になれる!
魔物を強化した術士を探し当てて、そいつを殺せば……!
俺様は全力で森を駆ける。枝などで俺様の顔には切り傷がつく、そんなことはもうどうでもいい!誰か!誰かいないのか!
そこで 俺様は見つけた。
杖を持つ術士のいる二人組の冒険者を。
バサ
俺様が茂みから出てくると、二人は警戒したが、すぐに警戒を解いた。
「……なんだ、冒険者か、魔物かと思ったよ」
男の騎士と女の回復術士。
回復術士は強化魔法を使うこともある……。
きっと……犯人はこいつだ。
「そんなにボロボロでどうしたんですか?仲間からはぐれたんですか?」
回復術士は俺様にことわりも入れずに、俺様の顔に手をあてて回復した。
「触れるんじゃねぇ!」
「!!」
俺様が威嚇すると回復術士は俺様に怯えている。
「お前のせいで!お前のせいで俺様は仲間から薄情者だって思われちまうじゃねぇか!」
俺様は剣を振り下ろすと、刃は女の回復術士を貫いた。
「え……」
女の白衣は鮮血で染まる。そして膝をついて、傷口の腹を抱えている。
「何してんだお前!!頭おかしいのか!!」
隣にいた騎士は俺に向かって大剣を振り下ろした。
「は…ははは!術士はもう戦えねぇ!つまり強化魔法はもう効果切れだ!だったらお前なんて一瞬で倒せるんだよぉ!」
俺様は男の攻撃など怖くなかった。なぜなら強化魔法を使う奴はもういないからだ。
俺は勝てる。
だから俺は悠然と、剣を構えた。
しかし、
現実は全く違った。
ガシャンと鈍く大きな音が鳴る。
俺様の胸に横一文字の傷跡ができていた。
もうすぐ心臓に届きそうなほどの深い傷。
「…は?」
「何意外そうな顔してやがる!お前力量の差もわかんねぇのかよ!」
俺様は騎士に蹴り飛ばされて、後ろへ転げる。
俺様は再び地面に這いつくばった。
「痛い!!痛い!!助けてくれ!助けてくれぇー!!」
男はその言葉をきいて、顔を歪ませた。
「どんな面して泣きやがるんだ!死ね!人を傷つけておいて!」
男は俺様の患部である胸を何度も蹴り飛ばした。そして俺様は身体を丸めることしかできなかった。
「違う!違う!周りに魔物に強化魔法を使う奴がいるんだ!助けて!俺はそいつを捕まえたかっただけなんだ!」
「強化魔法を使う奴!?俺はここを縄張りにしているが、そんな奴、見たことも聞いたこともねぇぞ!」
「そんなことない!俺様の強さを凌駕する奴が……この森にいるわけねぇんだぁ!わかってくれ!」
俺様は泣きながら懇願した。しかしそれは男の怒りの火に燃料を焚べてしまった。
「お前もしかして、自分のことを強いと思ってんのか? 俺はファルマン領の騎士だったが、俺よりも強い奴なんざ、わんさかいたぞ、そんな俺に負けてるんだぞ?お前は」
そ…そんな……。
「お前みたいな自分の弱さを認められない奴から……ジェシカを助けられなかった自分が憎い……!くそっくそっ!」
男は何度も何度も俺を蹴った。
「ごふっ!た…助けて!」
「はぁ……はぁ……お前みたいな奴、死んじまった方がいいんだ」
そこで、さきほど傷ついた回復術士が意識を取り戻した。
「ルーン……貴方が手を闇に染める必要はない……彼は……治療が必要な人なの……」
彼女は自分の頭を人差し指でさした。なんだよ…それは……俺が異常者だって言いたいのかよ!!
「ジェシカ……!お前……!」
男は彼女に駆け寄ると、包帯を巻いた。
男はこちらを振り向かずに俺に言った。
「……お前はしかるべきところに引き渡す」
俺は男の威圧にぶるると身震いをしてしまった。
冒険者ギルドの規約違反…いや罪人として、俺は最低限の治療を受けて、ハーゼルゾネットに送り返されてしまった。
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