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1.ある昼下がり

「なあ樋口、さっきお前女子に呼ばれてたけどまた告られたのか?」


「わかってんなら聞くな、俺は眠いんだよ」


「お前にとっちゃ日常かもしれないが俺を含め普通の男子は普通じゃあない。告白された後普通に昼寝しようとする高校男児は群馬広しといえどお前くらいじゃないか?」


「群馬は広いから探してみなきゃわからんぞ。てか群馬広しってなんだ、群馬広しって」


温かい日差しが差し、気持ちいい風が吹く。こんな絶好の昼寝日和だというのに今日の俺の昼休みは先ほどの告白と、こいつのせいで惰眠タイムにはならないらしい。俺から貴重な睡眠時間を奪ったこいつは飯塚史也。俺の親友である。俺は女子からモテる分、反作用的に男子から嫌われやすい(まあ理由は何となくわかっているのだが)。そんな中で史也はなんだかんだ俺に絡んできてくれる、まあこう言うのもしゃくだがありがたい存在だ。だが今日は許さん。ジュース一本ぐらいはおごらせなければ...などと考えていると


「それでやっぱり振った理由はあれか、道島さんか」


思考中止。反射的に史也の息の根を止めにいったがひらりと交わされまた一言。


「ははっ、いやその反応だけでまじ飯食えるわ。本当に道島さんになると必死になって止めに来るよな、わらえる(笑)」


「わかってんなら言うな、あと笑うな」


「はいはい、左様で。俺はここに居続けると本当に殺されかねないのでそろそろおいとましますか」


などと言ってそそくさと俺の前から立ち去った。本当にこいつは意地が悪い。あんなに道島さんの話題はするなと言ってあるのに...。

 道島さん。俺の好きな人である。ちなみに初恋だ。今まで多くの女子を射止めていた俺だが射止められたのは初めてである。あの入寮の日、ふと目線の先にいた彼女に目が留まった。特段かわいいわけでも、スタイルがいいわけでもない。ただその流れる髪、その美しい瞳、その一挙一動に目を奪われてしまった。ちなみに道島さんの名前は知らない。同じ寮に住んでいることとアドバンスコースに所属していることしかわからなかったのだ。この学校は能力によって三つのコースに分けられている。まず俺の所属しているノーマルクラス。スポーツに特化した生徒が集まるアスリートコース。そして成績上位者のみで構成され道島さんも所属しているアドバンスコースである。ノーマルコースとアドバンスコースは通常ほとんど交流がなく行き来する情報も少ない。また寮も同じではあるが男子と女子とではこちらもほとんど交流がない。名前と所属コースが分かったのも、寮でアドバンスの先生が道島さんを呼び止めているところを見かけたから、まあたまたまであり、ほかは完全に八方ふさがりである。せめて名前だけでも知ることができれば、などと考えているうちに昼休みの終了を告げる予鈴が鳴る。ああ、昼寝日和をつぶされた原因に道島さんも追加されてしまった。だがこれは道島さんは悪くない。これも話題を振った史也が悪い。全部悪い。あとでパンも追加でおごらせよう。

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