その4
はばぱ行党、どうなる?
短編小説 20XX年 はばぱ行党パッパラパー (5回連続) その4
政権を取ったはばぱ行党は、コロナ禍で税収が著しく減った国庫から民に無闇にばらまくなどはしなかった。そういう手段では、結局、数年前に自分たちが救われなかったのだから。最初に手をつけたのが、議員歳費の減額だった。入ってくるものが減るならば出ていくものを減らすのは、生活に苦しい庶民の切実な、唯一の昔からの知恵だった。いや、知恵でもなんでも無い。無きゃ使えない。無いのにクレジット使って破産するのはもうごめん。コロナ禍で倒産した中小企業が多かった上に、大企業も減収減益、従業員給与報酬も削減され続け、平均的サラリーマン所得も400万円を切っていたところに、その十倍以上もの議員歳費を頂くなど、みっともない、前年度サラリーマン所得の1.5倍まで下げる、という法案を通した。こうなると、金儲け大好きのらりくらりニヤニヤが好きで議員になれば一生食うのに困らない、贅沢三昧言いたい放題というだけで議員という職業を選んでいた者たちが立候補しなくなり、私の属する政党は更に落ちぶれていった。議員歳費ですらそこまで下げられたのなら、公務員給与は同様に減らされると危惧した各省庁や自治体公務員は、忌避感情を抑えて、はばぱ行党にすりより始めた。平目になり、忖度をし、それでも、民の声を背に受け勢いづいたはばぱ政党は公務員給与を、前年度サラリーマン所得の1.1倍まで下げる法案を通した。議員と公務員の資産、収入は、この計算システムが導入された後も、公表されることになった。はばぱ行党は、数年前まで遡り、議員の自分番号制度で判明した資産収入も調べ上げた。はばぱ行党の支持率は更に上がった。
与党となったはばぱ行党の議員たちは、出身母体を裏切らなかった。議員歳費が自分たちとほぼ同じレベルになってからは支援者も仲間意識が盛り上がる。これぞ真の民主主義、これか、コロナルネッサンス!と、盛り上がる。かつて自分たちを表向きは民としながらも、実態はさげずみ、馬鹿にし、運が悪かったんだ、差別されるには差別される理由があるんだと影では口にし、利用する時には体良く利用していたかつての与党と当時の官僚、企業、支持者に対する恨み辛みを晴らしたい思いは渦巻いていた。一度作られた法律ははばぱ行党が与党になったからと言って、容易く作り替えることは困難だった。だが、元々、玉虫色で、解釈次第、恣意的な文言で語られている法律をどう解釈するかに力を注いだ。賢い官僚は、すりよる。あれもできますよ、こうもできますよ、と案を出してくる。挙句の果てには、各官庁の出身や族議員の、それまで公にはなっていなかった元与党の議員のあれやこれや悪い噂話という虚虚実実話まで囁かれるようになった。
週刊誌やワイドショーネタには事欠かない政治の世界、次から次へと忘れ去られる暴露話は、コロナの前だって、いつだってあっただろうに、今程ではなかった。いや、我が身に降りかかると、そう感じるだけなのだろうか。
自分番号カードで、銀行口座、健康保険者証、その他諸々の個人の情報を全て把握している雑務省と金蔵省は、資産者リストを出してきた、らしい。もう与党ではなくなった私には、詳しいことはわからない。税収が減っていて、だからと言って、消費税減税をするには、人気取りにはなるが、増税はもっての他。シャウプ税のシステムを更に厳しく適用するには税法を換えなければならないが時間がかかる。介護保険料や健康保険料の率を変える、資産のある者の全額負担を望んだ。だが、これにも時間がかかる。民の要求にどう応えるか。恨みなら晴らせるか。
そこで、何かが動いた。誰がどこでどう動いたのかは、知らない。私にわかっているのは、自分番号精度が続行していることで、私の資産や貯蓄額どころか、人生も日々の生活も全て人格の無い国家に把握されているということだった。それが顔のある官僚に悪用された、らしい。何かが書き換えられた、らしい。私は、どこかで脱税したことになっている、らしい。
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