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もう一度、名前をよんで。  作者: 七瀬かいり
8/25

傍観者

at home

家に帰ると、いつもと雰囲気が違っていた。


???


ビニールのガサガサという音。

流しにしたたる水の音。


急いで靴を脱ぎ、キッチンに行くと、そこには母が立っていた。





ーーーー






兄の葬式が粛々と執り行われたあと、

家に帰るとマンションの前に一人の少年が立っていた。

彼は私たちのことを知っている風で、私たちがマンションに入ろうとするところを呼び止めた。

彼も一緒に家に入ると、彼は出されたお茶を一口飲み、「ごめんなさい」と謝罪を口にした。


彼が兄とクラスで仲がよかったこと。

クラスで流行ってたいじめのターゲットになった彼を兄が庇って、次の日から兄がクラスでいじめられたこと。


「僕は、あいつみたいに庇えなかった。怖くて。ただいじめられてる俊一を見ていることしか出来なかった。こんなことになるなんて思わなくて。いつも俊一は大丈夫って言って笑ってたから。本当にごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」


彼は土下座をする勢いで、頭を下げていた。

半分泣いているような、泣きじゃくっているような。


鼻をすする音が聞こえると同時に、母が、彼の後頭部を蹴った。そして叫んだ。


「早く出ていって!」





ーーーー






母は人一倍、兄を可愛がっていた。

真面目で頭のよかった兄。

優しくて、私みたいに親に反抗しなかった兄。


母に今、必要なのは、兄の死を受け入れること。

でも、受け入れたからと言って、何になるのか?


でも、まずは兄の死を自覚させ、社会に復帰させなければならない。

そう思った。





ーーーー






「ただいま」

こちらに、背を向けたままの母にそう声をかけた。


「・・・」


「何してるの?」


「・・・」


「ご飯作ってくれるの?」


(期待した。お母さんが何か変わってくれたかもしれない。きっかけは分からない。でも元に戻ろうとしてくれているのかもと。)

お母さん、、!?

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