玉ねぎの味噌汁
13話の誤字、指摘してくださった方ありがとうございました!!
(全く気付かなかったです汗)
今日子さんには「朝ごはん食べて行く?」と言われたが、私は断った。
久しぶりにお母さんのご飯が食べたい。
また食卓を家族で囲みたい。
そう強く思った。
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玉ねぎ、豆腐、味噌、あとは粗いかつお節。
塩はまだ家にあるはず。
手際よく、買い物かごの中に食材を入れていく。
(ふぅ)
スーパーに来たのは久しぶりだ。
お母さんの買い物について行き、カゴをのせるカートで遊ぶのが、小さい頃楽しみの一つだった。
お母さんの代わりにご飯を作る時も、お父さんが食べてくれると思えば何ともなかった。
自分のためだけに作るのは、少し悲しくて、いつからかご飯を作るのをやめた。
案外、コンビニのお弁当も美味しかったが、毎日食べていると逆に手料理が恋しくなる。
今日は、自分でご飯を作りたいと思った。
まぁ、気分だ。
玉ねぎ、豆腐、味噌、粗いかつお節。
今日の朝ごはんは『玉ねぎの味噌汁』だ。
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「ただいま」
返事はないが、物音はするので、母はもう起きていることがわかった。
冷蔵庫を開けると、兄の誕生日ケーキがホール半分くらい残っている。
(まぁ、あの量一人で食べるのは無理だよな)
そう思いながら、ケーキ以外ほとんど入っていない冷蔵庫に、今買ってきた食材を入れ始めた。
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『玉ねぎの味噌汁』が鍋に出来ると、食器棚からお椀を四つ取る。
でも、少し悩み、一つはとりあえず戻すことにした。
三つのお椀に同じくらいの量、味噌汁をよそる。
そして、ケーキを三等分した。
一番大きく切れたケーキに、「俊一 HappyBirthday」と書かれたチョコカードを乗せた。
(ふぅ)
一つ呼吸をする。
お盆に乗っけた、味噌汁とケーキを見て、微笑んだ。
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お盆を持って、お母さんの部屋の前まで来る
母は、自分の部屋にこもったままだ。
コンコンコンッ
ノックをする。反応は無い。
(しょうがない、入っちゃおう)
そう思い、重い扉を開けた。
最後の重い扉っていうのは、気持ち的にもそうなんですけど、物理的にもですね
まぁほぼ五年間こもってるわけですから笑