第68話 ものまね
受験により、不定期で投稿が遅れます。
ご了承ください。
「さてと、まずは3人のチームから潰していくか」
実はこの戦いには気が付きにくい“罠”を仕掛けておいてある。
あの聖なるバリアもビックリの代物だ。
俺は前もって生徒たちに通信機を3つ渡していた。
そして、行うルールは【鬼ごっこ】であると説明した。
ちょっと頭が良ければ、3チームで手分けして俺を探した方が効率がいいと考えるだろう。
しかし、そこが盲点なのだ。
10人を3つに分けるとなると、普通に分けるなら【3・3・4】か【4・4・2】で分けるだろう。
すると、3人か2人の、人数が少ないチームが出てくる。
俺が狙うのはそこだ。
誰か一人でも奇襲してリタイアさせることができれば、残るのは2人か1人。
その人数なら、俺一人でも真正面から相手をして勝つことができる。
このゲームで俺に勝ちたいなら、せめて【5・5】で割るべきだったな。
……それじゃあ、早速いってみよう!
※※※※※※※※
「あー、どこにもいないなアレイスさん」
「な、しばらく探してるけど、他のチームからも見つかった情報ないんだろ?」
「ちょっと2人とも集中してよ。どこに相手がいるのか分からないのよ? ちゃんとやって」
「「へーい」」
生徒たちは少し油断をしていた。
女子が1人、男子が2人。特に何が起こるわけでもなく、相手のアレイスも見つからない。
そのため、気が抜けていたのだろう。
「はい、終了ぅー」
「へ?」
誰も後ろから近づいてくる俺に気が付くことができなかった。
「なッ――――」
驚いているようだが、その手にはとっさに剣が握られている。
さすがは魔法学校の生徒、判断力が伊達じゃない。
が、俺に気が付かなかった時点で負けは確定している。
俺はまずすぐ近くにいた男子2名両方を足払いした。
体勢が崩れた2人は、地面に手を突こうとする。
そのかわり、剣から手を放してしまった。
それを狙ってたとばかりに、片方の男子に向けて、スキル『バインド』を発動する。
これは、縄さえあればそれを対象に自動で巻き付けて縛り上げることができるとても便利なスキルだ。
あっという間に、その男子はぐるぐる巻きになる。
これでこの子は抵抗ができなくなる。
俺はその子を掴むと、反対方向に向けて走り出した。
「あッ、待て!」
「助けてくれえええええ!」
「無理だよ、あんなに重そうな剣持ってる彼が助けに来れるわけがないだろ」
俺に捕まった方の男子が助けを求めるが、残念ながらもう一人の男子が持っているのはかなり大きめの両手剣だ。
ほとんど重い物を持っていない俺に追い付けるわけがない。
彼の場合はだけどな。
「――――レオンを離してもらえる?」
「なるほど、レオンっていうのね、この子ぉいッ!」
そう、彼女の場合は別だ。
この場にいたもう一人の人間。
見た感じ、剣を持っていないため、魔法使いであることは分かるが――――。
「まさか、仲間が捕まってるのに遠慮なく火球をぶっ放してくるとは思わないじゃんねぇ!」
俺は追ってくる火球を避けまくる。
仲間を何だと思ってるのだろうか。
「別に大丈夫よ。当たったって丸焦げになったってレオンは死なないから。バカは死なないでしょ?」
「死ぬよ!? いくら俺がバカでも魔法思いっきり喰らったら死ぬって!」
俺の横でレオンがひきつりながら叫ぶ。
「だからって自分の仲間がいるってのに魔法撃ってくるのはどうなの、っておあああああああああ!?」
俺の足元で爆発が起こった。
辺りに煙が充満する。
「――――ごほッゲホッ! マジでふざけんなよ、手加減しろって! 死んだらどうするつもりだよ!?」
「ごめんって、ちゃんと当たらないようにやったから」
「本当だろうな!?」
「本当だって、信じてよー」
「とりあえず、レオンは無事か。アレイスさんは――――」
2人がレオンに近寄る。
そのときだった。
「――――『バインド』」
「「え――――」」
目の前のレオンがポツリとそう呟いた。
次の瞬間、2人に縄が巻き付いてきた。
「ちょっ、これってまさか……!」
「そうだよ、俺だ。まんまと騙されたな」
すると、レオンの姿が消えて、代わりにアレイスが現れた。
「そんな、なんで……?」
「爆発は俺が意図的に起こしたものだ。その間にレオンになりきってお前らが近づいてきたところを狙って、『バインド』を使ったってわけだ」
具体的には、『投影』を使って俺の目の前にレオンの姿を映し出し、新しいスキル『ものまね』を使ってレオンの声をまねた。
『ものまね』は、知ってる人のまねをすることができる、という本来あまり使い道がないスキルなのだが、俺ならこんな風に相手の撹乱や、相手を騙すことに使うことができる。
基本的に頭の中に思い浮かべることのできるものであればなんでも映すことのできる『投影』とは相性がいい。
爆発は前もって用意しておいた爆弾と煙幕を使って、意図的に爆発を起こした。
「さてと、とりあえず3人か」
あと7人だ。





