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第56話 筋肉戦隊インランジャー

「そ、ソルト……、来てくれたのか……!」


 なんと、俺の目の前にはソルトが立っていた。


「で、でも、俺の城からここまでって距離ヤバくないか? どうやって来たんだ? アロマのテレポートか」


「いえ、アロマさんはオトギダケの料理を大量に召し上がられてしまい、現在異性の方にキスをしてもらうまで起きない状態になっています」


「ああ、そうなのk――――今なんて言った?」


 オトギダケとは、御伽茸と書き、文字通り食べた人を御伽話(おとぎばなし)の姫のように、常に眠り続けた状態にしてしまう恐ろしいキノコのことだ。

 このキノコによって眠ってしまった人は異性にキスされない限り、二度と目覚めることはない。

 しかし、このキノコ実は美味しいらしく、その味を求めて食べてしまう人が後を絶たない。

 まぁ、食べても誰かにキスしてもらえばいいだけだからな。

 特に規制されている食材ではない。


 しかしアロマの奴、一体誰にキスしてもらうつもりで食ったんだよ……。


「ちなみに、クレアと瑠璃(るり)さんとグライドさんもその料理を……」


「マジで言ってんの?」


 マジで全員とも誰にキスしてもらうつもりなんだ。


「え? じゃあお前どうやってここに来たんだよ」


 テレポート要員のアロマが寝てしまっているとあれば、魔王城には誰もテレポートが使える者はいない。

 あの距離をテレポート無しで一体どうやって……。


「私たちの城とこの国の王都との距離を計算し、大体この地点に落ちてくるように角度を計算して、フルパワーの『跳躍』で跳んできました」


 …………ん?


「えっ、いま、『跳躍』で来たって言った?」


「はい、言いましたが……」


 『跳躍』って、確かソルトのタレントだったよな。

 『普通より高く跳べるだけ』っていうあの。


「ちなみにさ、フルパワーでどれくらいの高さまで跳べるの」


「ここ最近で地上から1000mぐらいであれば跳べるようになりました」


 お、おかしい。

 確か20年前まではできても20mぐらいまでだったはずだ。

 これが20年の違いなのか……。


「他にも、今すぐここに来れる方々を連れてきました」


「他にも?」


 突然、遠くから何かが走ってくる音が聞こえてきた。

 土煙のせいでよく見えないが、確かに魔王城がある方角から走ってきている。

 本当に他にも仲間が来てくれたのか。


「魔王さまあああああああああッ!」


「我ら、魔王さまが危険だと聞き及び!」


「参上いたしましたああああああああッ!」


 土煙の中から、男たちのそんな声が聞こえてきた。

 ……誰の声だこれ?

 話し方はアトラスに近いが、声はアトラスとは全然違う。

 ……待てよ、この声どっかで聞いたことがあるぞ。

 まさか――――


「ひとーつ! この世の全てを追い求め!」


「ふたーつ! 自らの体を鍛え続ける!」


「みーっつ! 世界の悪を筋肉で圧倒!」


「よーっつ! 毎日3食プロテインと鶏むね肉!」


「いつーつ! 筋肉は世界を救う!」


「「「「「我ら、筋肉戦隊インランジャー!」」」」」


「うわああああああああああああああああッッ!?」


 現れたのは、ガチムチ巨乳インキュバスたちの皆さんでした。

 思わず悲鳴を上げて、ソルトの後ろに隠れる。


「筋肉の赤、インランレッド!」


「クールダウンの青、インランブルー!」


「筋肉は大地の力! インラングリーン!」


「見よ! 真っ黒に焦げたこの体を! インランブラック!」


「筋肉こそセクシー! インランピンク!」


 全員がそんな名乗りを上げた。


「お前ら帰れ! そして怒られろ!」


 うっ、トラウマが……。

 もう嫌だ、男の巨乳なんて見たくない……。

 他の冒険者、特に男の冒険者も同じようで、インキュバスたちの雄っぱいを見て青ざめている。


「なるほど、この全身ピンク色の奴らと、あのいかにもな中ボスを倒せばいいのですな!」


「誰が中ボスだおらあああああ!? お前らやっちまえ!」


 インキュバスたちにオナ〇ワームたちが襲いかかる。


「貴様らのような、全然マッスルしてない(やから)なんぞに我らは負けんわ!」


 しかし、インキュバスたちはそれをものともしない。


「マッソー! マッソー!」


 インキュバスたちがひとたび動けば、何体ものオナ〇ワームたちが吹っ飛んでいく。


「筋肉が足りん! 足りんぞおおおおおおおおッ!」


 圧倒的な筋肉量で、オナ〇ワームを轢き殺していくガチムチ巨乳インキュバス。


「貴様ら、プロテインが足りてないんじゃないかあああああああッ!?」


 その力の前に、成す術(なすすべ)なく次々と倒れていくオナ〇ワーム。


「さぁ、最後にヒーローらしく必殺技といこう!」


 そう言うと、全員が腰に両手を当てた。

 待て、あの構えは――――ッ!?


「「「「「サイドチェスト!」」」」」


「『モザイク』ッ!」


 一瞬、インキュバスたちの服がはじけ飛び、同時に残っていたオナ〇ワームたちも全部吹き飛んだ。

 もちろん、服がはじけ飛んだあとは文字通り隠すものが何も残らない。

 それを見越した俺はとっさに、新スキル『モザイク』を使用した。

 スキルについて説明することは特にないだろう。

 文字通りだ。


「ふー、これで全員であるな!」


「いやー、今日もいい汗かいたなぁ!」


「あ、ああ、そんな……ッ! この俺の最高傑作がまたしてもッ!?」


「さて、あとは貴様だけであるな中ボス」


「くッ……」


 いやぁ、モザイクが間にあって良かった。

 またあの技を喰らっていたら、トラウマがよみがえる所だった。


「おい、β(ベータ)γ(ガンマ)、出てこい!」


「「はっ」」


 Dr.がそう言うと、どこからか男が二人現れた。


「命を賭してこいつらを止めろ! 俺は逃げる!」


 Dr.が途端に逃げ出した。

 逃げた方向は、なんと王都のほうだ。


「ま、待てッ!? ぐぅ……」


 追いかけようとするが、途端に体に激痛が走った。

 どうやら、体が限界のようだ。


「大丈夫ですかアレイスさん!?」


「あ、ああ。大丈夫だよ……。すまんソルト、あいつを追いかけてもらえるか?」


「分かりました」


 ソルトが跳び上がる。

 すぐにその姿が見えなくなった。


「さてと、俺たちはこっちの奴ら二人をどうにかしないとな……」


 痛みをこらえながら立ち上がる。

 そして、目の前にいる二人、βとγを見て身構えた。

次回で第3章最終戦は終了となります。

あと、ここ数日でブックマークがまた増えました!

ありがとうございます!


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してくれたら、作者が泣いて喜び感謝します(´;ω;`)。

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