第52話 対α戦:2
あれからどれくらいの時間が経っただろうか。
いまだにαとの睨み合いが続いている。
「いつまでこの不毛な戦いを続けるつもりだ。貴様の持っている煙幕も数に限りがあるだろう」
バリアの中からαがそんなことを言ってくる。
もちろん、αの言う通り用意してある煙幕はそろそろ底をつく。
けど、煙幕がある限り、αは俺の攻撃を避けることはできないのでバリアを展開するしかない。
バリアを使っている間動けないαは、俺の煙幕が尽きるのを待つしかないわけだ。
「もちろん、煙幕が尽きるまでだッ!」
もう限界に近い。
できる限り時間稼ぎをしなくてはいけないが、このままだとあと5分もせずに手持ちの煙幕が無くなってしまう。
なんとかアイツに一撃入れたいんだが、あのバリアを突破する方法が思いつかない。
時間制限があるようにも見えないし、回数制限とかも無さそうだ。
とはいえ、バリアを何とか出来て一撃を入れたとしても、俺の戦闘力では掠り傷程度しかダメージを与えられないだろう。
「時間稼ぎをして、援軍が来るのを待っているのか。それなら無意味だぞ」
「ああ!? なんだってッ!?」
息を切らしながら尋ねる。
「私のギフト『絶対防壁』は、如何なる攻撃も通さない。故に、貴様に援軍が来ようとも私のバリアを打ち破ることなどできない」
「んなこたやってみないと分かんねぇだろ!」
唯一打ち破る方法がある。
それは、勇者のうちの一人、『ロミオ』とかいう男だ。
あの男のギフトは、『どんなものでも斬れる光の刃を操れる』というもの。
このαのバリアだってきっと斬れるだろう。
「クソッ、もうあと1個かよ……!」
バッグの中を漁ってみるが、どうやら煙幕が残りあと一つらしい。
煙幕が無くなってしまえば、俺の攻撃がαに丸見えになってしまうので、いとも簡単に避けられてしまうだろう。
……イチかバチかやるしかない。
「うらあッ!」
最後の煙幕をαに向けて投げつける。
もちろん煙幕はバリアではじかれてしまう。
煙が広がり、αが煙に覆われる。
その隙に、俺はバッグから秘密兵器を取り出した。
そして、その中にア○ンアルフアを塗りたくる。
ナイフを投げながら、徐々にαに近づいていく。
手持ちのナイフをすべて投げ終わり、音をたてないようにダッシュでαに近づく。
「まったく、無駄なことを——————————ッ!?」
「無駄なことだって? いいや、無駄なんかじゃないぜ」
そして、俺はαに近づくことに成功した。
「この距離ならバリアは張れないな!」
俺は手に戻ってきたナイフを構える。
「しまっ————————」
「もう遅い!」
俺はαのズボンの窓部分を切り捨て、秘密兵器(アロンア○フア入り)をぶち込んだ。
次の瞬間。
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んふ~~ふふ~~~ん♪
ん?
ああ、仕事の時間か。
やあ、ベイベー。久しぶりだな。
『自主規制兄貴』だ。
いや、まさかバカンスの最中に仕事が来るなんてなァ、思ってなかったぜ。
せっかくのバカンスが台無しだぜェ。
ま、それは置いといてだな。
おい兄弟、まただよ。
俺の出番ってこたァ、そりゃ自主規制が必要な場面が出てきちまったってことじゃねェか。
全く、兄弟は一体何を見てやがるってんだ……。
ま、今回も簡単に何が起こったのか説明するとだな。
取ろうにも引っ付いて取れないまま、そのまま快楽地獄ってとこだ。
ん?
なに君、今配信中なんだけど。
え? 新情報だって?
えーと、なになに……。
『今回のシーンを含めた、自主規制シーンやマッサージシーンに置き換えられた(つまり、全年齢版に変わった)シーンは、この作品がBD化したら、本来のシーンが見れます』……ってこりゃなんだァ!?
この作品ってどういう意味だ?
わけわかんねェ台本持ってくるんじゃねェスタッフ!
はァ……。
ま、そんなわけで、今回も見せられたもんじゃァなかったからな。
オレ様の出番ってェわけだった。
そんじゃまたな兄弟!
できれば、もう二度と会わないでおきたいところだなァ!
ハッハッハ!
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スズネちゃんが戻ってきた。
「すみません、遅くなりました!」
「大丈夫だよ。で、誰を呼んできてくれたのかな?」
「ああ、俺だよアル」
どうやら来たのはルート一人のようだ。
「すまんな、ちょうど俺の屋敷に勇者が誰もいなくてな。で、肝心の変質者っていうのは?」
「ああ、それならこいつだよ」
俺は足元に置いてある黒い布で包んだαを指さした。
そう、俺は幸運なことにαを無力化できてしまったのだ。
できてしまったんだが……。
「……なんでわざわざ巻いてあるんだ?」
「いや、ちょっとした事情が……」
俺はルートに耳打ちする。
「……なるほどな、分かった」
「あのー、アレイスさん? なんかこの人すごいビクビクしていらっしゃるんですが、大丈夫でしょうか?」
「ん? あぁー……、俺たちに怯えてるんじゃないかな?」
言えない。
特にスズネちゃんにだけは言ってはいけない。
そのあと、無事にαはムショ行きになりました。
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「クソがあああああああああああッッ!!」
男が机の上に乗っている書類や薬品類を床にぶちまける。
「αが戻ってこないいいいいいいいッッ!! フォート・アレイスめぇええええええええええッッ!!」
オリハルコンゴーレムの敵、フォート・アレイスを捕まえてくるように指示したはずのαが戻ってこない。
それはつまり、戻ってこれないようななにかが起こってしまったからだろう。
つまり、αもフォート・アレイスにやられてしまった。
そう考えるのが自然だろう。
「うがああああああああああッッ!! 何故だ何故だ何故だあああああああああああああッッ!?」
どうして、自分の最高傑作たちがこんなにも容易く死んでしまうのか。
俺は世界で一番の天才だ。天才のはずだ。
そんな俺の最高傑作が負けるなどありえない。
「…………もういい」
男はふらふらと歩きながら、部屋の隅にある棚へと向かった。
そして、棚に置いてある一つのビンを手に取った。
ビンには、『試作品・使用注意』の文字が書かれている。
「これだけは使うのをためらっていたが、もういい……」
男は、『怒り・興奮』と『洗脳』と書かれたビンも取ると、部屋の奥の実験室へと向かう。
「ようは、今ある俺の最高傑作たちではフォート・アレイスは倒せないってこった。ヘヘっ……、だったら今までのを超える新しい最高傑作を作らなきゃなぁ……」
男は実験室の隅に置いてあった大きな袋を大量に取り出すと、釜にその中身を全てぶち込んだ。
数十秒後、実験室に置いてある培養液が入った大量のガラスの球体の中に、その中身が管を通って入ってきた。
それは、ピンク色の筒状の生き物だった。
「どう思うだろうなぁ……! 自分が生み出した生き物に自分が殺されるのは!」
男は釜に先ほど持ってきた薬品を全て入れた。
薬品は管を通って、オナ〇ワームたちがいる球体の培養液と混ざり合う。
次の瞬間、爆発が起こった。
ガラスの球体が、文字通り破裂したのだ。
そして、破裂した中から出てきたのは……。
「は、はは、ハハハハハッッ! 成功だ!」
全身が透き通るようなピンク色で、身長は180くらい。
ムキムキのボディに、筒のような形をした顔。
そう、人型になったオナ〇ワームたちがそこに立っていた。
「さぁ行けお前たち! フォート・アレイスを殺してこい!」
男が高笑いする中、オナ〇ワームたちが男に近づいていく。
「ん? どうしたおまえたt—————」
次の瞬間には、男がオナ〇ワームに頭からパックリと食べられた。
男はもがくが、数十秒後には抵抗し無くなってしまった。
オナ〇ワームが男を吐き出すと、男はしおしおになってやつれてしまっていた。
「……フォート・アレイス」
「その名は忘れない」
「俺たちの生みの親」
「でも、俺たちはアイツによって売られ、人間どもに慰み者扱いされ、使われ、たった一週間の命を終えてきた」
「……ふざけるな」
「俺たちは生きているんだ。お前ら人間なんかのおもちゃじゃない……!」
「絶対に許さない……!」
「許してなんかやるものか!」
「でも、もう何もできなかったあの頃の俺たちじゃない」
「今度は俺たちが……」
「「「「「お前たちを使う番だ」」」」」
次回から、第3章終盤に入ります!
ここから話がどんどん進んでいきます!
(もし、この作品が万が一にも書籍化するようなことなどがあれば、差し替えられたシーンを本当に原文に差し替えます。万が一にもですがね。)





