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第51話 対α戦:1

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

「おい、お前!」


 俺は奴に向かって叫ぶ。


「もう知っていると思うが、俺の名前はフォートアレイスだ。お前にも名乗ってもらおうか」


「……いいだろう。私の名前は『α(アルファ)』。貴様を捕えるためにここに来た」


「それについて話がある。……ここじゃなんだ、場所を移そう」


「あまり遠くないところにしろよ。私は頭に血が上りやすいからな」


「分かった。適当な建物の陰でいいな」


 近くの路地裏に入り込み、俺は早速話を切り出した。



「……なるほど。つまり、オリハルコンゴーレムにトドメを刺したのはシャクス様で、貴様は自らの身を守るために戦ったと?」


「そうなんだよ、だから俺は悪くないんだ! 悪いのはシャクスなんだよ!」


 俺は必死になって説明した。

 もう十分にボロボロにしたので、トドメをさすつもりなんて毛頭なかったこと。

 シャクスがテレポートで送ってくれると思ったら、オリハルコンゴーレムにトドメを刺したこと。

 覚えていることすべてを話した。

 しかし……。


「そんなことを信じられると思うのか?」


「ッ! どうして……、全部本当なんだよ!」


「シャクス様は確かに頭がおか…………、気が違…………、もとい不思議な方だ。そのような奇行をされても納得はいく」


「じゃあなんで信じてくれないんだよ!」


「シャクス様がそうされる利点が無いからだ。たとえどんな奇行であったとしても、シャクス様には何かしらの利益があるからこそ、そんな奇行を行われるのだよ。だが、貴様の場合はどうだ?」


 た、確かに、オリハルコンゴーレムにトドメを刺して、Ⅾr.が俺を恨んだとして、それが一体どんな利益につながるんだ?

 シャクスの目的は……?


「そうだ、シャクス様になにも利点が無い。よって、貴様の話は信憑性に欠ける」


「本当にシャクスがやったんだって! 信じてくれよ!」


「無駄だ。我が主のご命令通り、貴様を連れていく」


 α(アルファ)と名乗った男が、俺に近づいてくる。

 それにつられて、俺は後ずさりしてしまう。


「……本当に信じてくれないんだな」


 後ずさりしながら、俺は後ろの通りを確認した。

 通りには()()()()()()()

 もうすでにスズネちゃんが町の人たちを非難させてくれたみたいだな。

 これなら戦える。


「さっきも言ったはずだぞ、余計なことはするなと。私も、できれば穏便にことを済ませたいんだ」


「……そうかよ」


「安心しろ、抵抗しなければ手荒な真似はしない」


「……じゃあ、今から手荒な真似されちまうな」


 俺はそう言って、αが反応する前に煙幕を投げつけた。

 途端に、αの目の前に煙が広がり、視界が遮断される。

 その隙に、俺は路地裏から出て、通りの方へ逃げた。


「ゴホッゲホッ! 貴様ァ……、我が主に歯向かうつもりか!」


 それをαがすぐに追いかけた。




 ~~~~~~一方スズネは~~~~~~



「みなさーん、大丈夫ですよ! 現在、不審者は我々冒険者が鎮圧していますので安心してくださーい!」


「押さないでください! 時間はありますので慌てないでください!」


 今、私たちは町の人たちを安全な場所へ案内しています。

 町の人たちは、短刀を持った危険な不審者が出たと聞くと、みなさん怖がって逃げ出してしまいました。

 ですが、ギルドのみなさんのおかげで、順調に避難が進んでいます。


 アレイスさんに言われて、私はあの後ギルドへ助けを求めに行ったんですけど……。



 ※※※※※※※※



「えっ、不審者が現れて、あの男がスズネちゃんを逃がしたって? それで、俺たちに助けを求めに?」


「はいそうなんです! 誰でもいいので、今すぐに助けてくれませんか!?」


「そ、そうはいってもなぁ……。スズネちゃん、今日あの男と一緒にクエスト受けて来たんだろ? しかも、コボルトの討伐だろ?」


「は、はい」


「それなら、スズネちゃんの強さを、あの男も分かったと思うんだ」


「た、確かに、そんな風なことを言ってた気がします……」


「それなのに、スズネちゃんを逃がしたってことは、その不審者はスズネちゃんの手に負えないとその男が判断したんだろうよ。それなら、俺にだって手が負えねぇよ」


「こいつの言う通りだ。俺たちにできることはねぇ」


「そんな……、誰でも、誰でもいいんです! アレイスさんを助けてください!」


 でも結局、誰も名乗り出てはくれませんでした。

 ですが、何もしないのはそれこそ駄目だと思い、みなさんに町の人たちの避難誘導を頼みました。

 そうしたら、みなさん了承されて、手伝ってくれることになりました。



「はぁ…………」


 順調に避難は進んでいますが、結局アレイスさんのところへは、誰も助けに向かっていません。

 このままでは、アレイスさん一人で戦うことになってしまいます。

 でも、アレイスさんなら大丈夫。

 大丈夫……です……よね。


 ここにいるみなさんでは、アレイスさんの邪魔になってしまいます。

 それは私も同じです。

 でも、その前に私はアレイスさんの仲間です。

 私の初めての、たった一人の仲間なんです。


「……私が、行かないと」


 私にも、きっと何かできるはずだから。



 ※※※※※※※※



「フゥ……、フゥ……、ふんッ!」


 αに向けて煙幕とナイフを投げつける。

 先に煙幕が着地し、視界が塞がったαにナイフが飛んでいく。


「無駄だ! 私に飛び道具は通用しない!」


 しかし、αはバリアのようなものを展開したため、ナイフははじかれてしまう。


「ちッ」


 すぐにナイフが手元に帰ってくるが、それと同時にαが家の屋根に乗っている俺に襲いかかってきた。

 とっさに、左手で腰に刺してある剣を抜き、αに斬りかかる。

 しかし、それすらも見透かされ、バリアを張られてしまう。


「クソ、これじゃ埒が明かない……!」


 埒が明かないとは言うが、実は俺の方が押され気味だ。

 単純な身体能力は向こうの方が上だし、攻撃も全てバリアで無効化されている。

 逃走スキルも意味がなく、すぐに追いつかれてしまうほどだ。

 それでも幸運なことに、バリアを張っている間は移動できないらしく、ひたすら攻撃を続けて動きを止めることで、なんとか凌いでいる。


 だが、それでいい。

 今の俺の()()はただの時間稼ぎ。

 本当は、スズネちゃんが呼んでくれている援軍が到着するまでの時間稼ぎをしているだけだ。


 そのときだった。

 遠くにスズネちゃんの姿が見えたのは。


 早速、俺は煙幕を撒き、攻撃を再開する。

 αはすかさずバリアを展開するが、それが致命的なミス。

 その間に、元々俺がいたところ、αのバリア、αから少し離れているところの3か所に『投影』する。

 これで、元々俺がいたところに俺の映像、αのバリア前に俺が投げるナイフの映像、離れたところから見る用のスクリーンの3つを用意できた。

 後は、スクリーンから見ながら他のスクリーンの距離の微調整をし続けることで、さも『俺が逃げながら攻撃をし続けている』かのように見せることができる。


 スクリーンの操作をしながら、スズネちゃんの所に向かう。



「スズネちゃん!」


「あっ、アレイスさん!」


「ありがとう! 助けを呼んできてくれたんだんだね!」


「い、いえ……それが……」


 すぐにスズネちゃんが説明をしてくれた。

 今ギルドにスズネちゃん並みに強い人はいなくて、助けに来たところで返り討ちに会うだけなので誰も助けには来られないということ。

 代わりに、町の人々の避難誘導をしてくれていること。


「そうか、分かった。ありがとうな、わざわざそれを伝えるために戻ってきてくれて」


「い、いえ、私こそこれくらいしかできなくて……、すみません……」


「いや、十分だよ」


 しかし困ったな。

 援軍が来ないということは、俺一人であいつを何とかしないといけないってことだ。

 だが、それはさっきの戦いから不可能だってはっきりわかる。


「……スズネちゃんって、テレポート使える?」


「あ、はい。一応使えます」


「どれくらいの距離なら移動できる?」


「えっと、1回で1キロくらいなら」


「それならちょうどいい、今からここに行って欲しいんだけど」


 俺は地図を見せ、ルートの屋敷を指さした。


「ここに俺の友人がいるから、とりあえずここに行ってくれ」


「わかりました。『テレポート』」


 スズネちゃんが呪文を唱えると、次の瞬間にはスズネちゃんの姿は消えていた。


「……さてと」


 これからいつ援軍が来るか分からない。

 となると、援軍を待つための時間稼ぎはしてられない。


 本気でαと戦う必要があるようだな。

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