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第48話 勝負は始まる前に決着をつけるもの

「なッ!? あいつ、なんで!?」


「魔王さま、まさか侵入者とはお知り合いで……!」


「ああ……。前に王都に行ったときにいた勇者の一人だ。でも、どうしてここに……?」


 すると、スクリーンの中のパーバートがこんなことを言った。


『フォート・アレイス殿! 我は貴殿と闘いをしにこの城に参上した!』


「は?」


『聞けば、貴殿は魔王だと聞く! ならば、我が貴殿に勝てば実質我が魔王だ! というわけで貴殿に決闘を申し込む!』


 そんな訳の分からないことを言ってきた。

 用はアレか?

 俺と戦いからここに来たっていうことか?

 またなんて迷惑な。


「ど、どうされますか……?」


「あわわ……どど、どうしましょう……ッ」


「見たところ、魔王さまと戦うこと以外に興味がなさそう……だね。モンスターたちとの正面からの戦闘を極力避けてるみたいだし。これは面倒じゃない……?」


 クレアとしずくが困惑しながら聞いてくる。

 リーンはいつものテンパりを発動させてしまっている。


「面倒でもどうにかするしかないだろ。どっちみち、このままだと普通に全階層突破されて俺たちのところまで来る勢いだぞ」


 俺たちはすぐにパーバートの所へ向かった。



 ※※※※※※※※



「おお、これはこれはフォート・アレイス殿! よくぞここまで参られた!」


「それ俺のセリフだと思うんだけど」


「では、早速ではあるが……決闘を開始するとしよう!」


「そんなことはさせない! お前はこの私が倒す!」


 クレアが俺と、パーバートの間に立つ。


「大丈夫です魔王さま! 魔王さまがわざわざ手を出される必要はありません! 私一人で十分です!」


「って、ロープでぐるぐる巻きにされてる状態で言われてもなぁ……」


「ハッ!? い、いつの間に! くッ、硬くてほどけない……!」


 しかし、なんと次の瞬間にはクレアはロープでぐるぐる巻きにされてしまっていた。


「ハハハハハ! 我が用があるのは貴様ではない、フォート・アレイス殿だ!」


 あくまで目的は俺ってことか……。



「……仕方ない」


 俺は着ていたローブを脱いだ。


「いいぜ、そんなに俺と戦いたいのなら、戦ってやろうじゃねぇか」


「おお、ついに我と闘ってくれるというのか!」


「そうじゃないと、お前の気が済まないだろ」


「さすがはフォート・アレイス殿!」


「そのかわり、手加減はできないぞ」


「もちろん、承知の上である! では我も……」


 パーバートが腰に着けていたムチを取り出した。


「本気で闘わせてもらうとしよう」


 そう言って、ムチを構えた。



「貴殿からお先にどうぞ。 まずは貴殿の実力を知りたい」


「そうか、なら遠慮なく。『投影』ッ!」


 俺はパーバートの周りにいくつものスクリーンを出現させた。

 それぞれのスクリーンには、今の俺と同じ姿をした“俺”が映っている。

 そして、スクリーンたちを俺の動きに合わせてパーバートの周りを移動させていく。


「なるほど、分身の術であるか。これはまた驚愕させられる」


「「「「「そりゃどうも! さすがに本物がどれか分からないだろ!」」」」」


 スクリーンたちに俺がしゃべることと全く同じことをしゃべらせる。


「なーに、別にどれが本物のフォート・アレイス殿であるかを見極める必要などないのだ」


「「「「「何を言ってんだよ! これで俺の勝ちだ!」


 スクリーンたちが一斉にパーバートに襲いかかる。


「何故なら、我なら分身含めて全員に攻撃できるからな」


「「「「「は?」」」」」


 次の瞬間、全てのスクリーンが粉々に砕け散った。


「『必殺・陽炎(かげろう)の舞』。我の周り半径2メートルを攻撃する技である」


 しかし、パーバートはそのときあることに気が付く。


「……本体は? 肉体に攻撃した感触は無かった……。本体はどこだ!?」


「もう遅い」


 しかし、その気づきは遅すぎた。

 すでに、俺のナイフがパーバートの首に届いていたからだ。


「俺の勝ちだな」


「ぐッ……」


 パーバートが両手を上げて降参の意を示す。


「すまないな、戦う前から勝負はすでについていたんだ」


「ま、まさか……、最初に我の前にいた貴殿は……」


「そう、あれも偽物だ。最初から俺はお前の背後にいた」


 そう、実は俺は投影で自分の体を壁と同化させ、密かにパーバートの隙を狙っていたのだ。


「さぁ、色々聞かせてもらうぞ」




 ※※※※※※※※




「だから言っているであろう! 我は本当にただ貴殿と戦いたかっただけなのだ!」


「マジで言ってんのかよそれ……」


 あの後、パーバートに何度も質問したが、答えは全て同じだった。

 俺はパーバートが魔王軍の手先なのではないかと疑っていたのだが、どうやら違ったようだった。


「あぁ……、じゃあもういいよ。とっとと帰ってくれない?」


「断る! あんな姑息な手で勝っても、我は認めん! よって再戦を申し込む!」


「いいから帰れ」


「断ると言っている!」


「帰らないと……」


 最終手段で、俺はしずくを呼んだ。

 しずくは様々な道具が乗っている台を持ってきた。

 台の上には、メス、コッヘル、鑷子(せっし)、ハサミ、ガーゼなど様々な手術道具が置かれている。


「あ、あの? フォート・アレイス殿? い、一体何をされるおつもりで……?」


「帰らないと今からここでお前にパイプカットを施すぞ」


「すみませんでした今すぐここから立ち去るのでそれだけは勘弁してください」

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