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第43話 神々が予知できなかった存在

 レベル:測定不能(999+x)

 戦闘力;測定不能(99999999+x)

 ギフト:絶対命令オーバー・ザ・ワールド

 自分の手で触れたものに対して、命令をすることができる。命令を受けたものは命令に逆らうことができず、また、世界はその命令が確実に実行されるように動く。自分自身に命令することも可能。制限時間はなく、死ぬことによって命令の効果が消えることもない。


 そ、測定不能!?


「なんだこれ、こんなのって……!?」


 魔王軍幹部シャクス、その情報(戦闘力はかるやつを介しての)は今までに前例のないような、ありえないものだった。


「レベル999+xってことは、実質無限ってことかよ……!?」


 戦闘力も同じようなものだ。

 こんな……、こんなやつが魔王軍幹部!?


「まぁ、吾輩にレベルという概念は存在しないからな。そのようになっても仕様がないであろうな」


「レベルって概念がない?」


 どういう意味だ?

 レベルっていうのは誰しもが持っているものだ。

 思えば、このシャクスという悪魔は色々おかしい。

 なぜ、あんなに攻撃されても、すぐに復活することができたのか。

 アトラスいわく、原子レベルにまで切り刻んだはずなのに、シャクスはそれでも復活して見せた。


「……気になるか?」


「えっ?」


 すると、シャクスがまるで俺の心を見透かしたように質問してきた。


「簡単なことである。その奇怪なメガネは吾輩のギフトを()()ことができるのであろう? ならば、貴様が疑問に思っていたことの答えが分かるはずである」


 ギフト?

 俺はもう一度目の前に表示されている文章を読んだ。


 ギフト:絶対命令オーバー・ザ・ワールド

 自分の手で触れたものに対して、命令をすることができる。命令を受けたものは命令に逆らうことができず、また、世界はその命令が確実に実行されるように動く。自分自身に命令することも可能。制限時間はなく、死ぬことによって命令の効果が消えることもない。


 絶対に従わなければいけない命令……。

 制限時間はなく、自分にも命令できて、死ぬことで効果は消えない……。


「……やっぱりどういうことか分かんねぇんだけど」


「まぁ仕方あるまい。吾輩のギフトが何であるかが分かったところで、その本当の使い道を瞬時に理解できる者など到底おらんだろうからな」


 そう言うと、シャクスは倒れ込んでいるシアンに近づいた。


「見ているがいい。自分が先ほど、一体何を見ていたのかを」


 シャクスはシアンの体に手を当てると、こう言った。


「《起き上がれ》」


「ぐっ!? あっ……!」


 すると、シアンの体がひとりでに、勝手に起き上がった。

 もちろんシアンの体には、もう自力で起き上がるほどの力は残っていない。

 次に、シャクスは言い放つ。


「《死ぬことを禁止する》」


 その直後、



「がッ……!? ごぷ……!」


 シャクスの腕が、シアンの胸に突き刺さっていた。

 シアンの口から、大量の血液が溢れ出す。


「なッ!? お前何してッ!?」


「見て分からぬか?このタレントの使い方を見せているのだが?」


 シャクスがシアンから腕を引き抜き、シアンは地面に倒れ込んで――――――


「……え?」


 と、思いきや、


「あ……れ? なんで……、私さっきまで……?」


 目の前には、無傷で直立したシアンの姿があった。


「これが吾輩のギフト『絶対命令オーバー・ザ・ワールド』だ。吾輩の命令は、どのような内容でも確実に実行される」


「まさか、何度も蘇ったのは……」


「そう、吾輩自身に《死ねない》ことを命令したのだ。故に、一部の例外を除けば吾輩は何度でも甦るのだ」


 ……なんだって?

 ちょっと待ってほしい。

 ……この悪魔を倒す方法ってあるのか?


「なぁあんた、本気で戦って負けたことって今までにあるか?」


「一度しかないな。まぁその相手は所見殺し的な攻撃であったからな、2度目は負ける吾輩ではない」


「……一度だけ、ですか」


「うむ、一度だけである」


 …………………。

 ま、まだだ、きっとこいつを倒す方法があるはずだ!


「吾輩、実はかなり昔から生きておってな」


「ん?」


 突然、シャクスが喋りだした。


「世界には、憎っくき神々や天使どもが住む“天界”、吾輩のような悪魔が住む“魔界”、貴様ら人間などの生物が暮らす“下界”。大まかにこの3つに分けられている」


「ああ、それは知ってるけど、それがどうしたんだ?」


「天界が生まれたのが、この世界の時間で約200億年前。魔界が生まれたのが約170億年前。そして、この下界が生まれたのは約140億年前だ」


 さらに、シャクスはつらつらと俺が知らない話を続ける。


「そして、吾輩という存在が生まれたのは、魔界が生まれる少し前だ」


「……それがどうしたんだ」


「あるときに、天使どもにケンカを売ったことがあってな」


 俺の怒り気味の質問を無視して、シャクスは話し続ける。



「『貴様ら天使は、所詮は神の手下だ。吾輩は神の支配のない新たな世界を作り出す』とな。そうしたら、案の定『神に逆らうのか! この反逆者め!』と襲いかかってきおったわ。まぁ、まだそのときに“魔界”というものはなかったのでな。悪魔というのは、下級天使のさらに下のようなもののような扱いだったのだ。まぁ、やつらの計算違いだったことには、この吾輩が、天界の創造神“ゼウス”とほとんど同等の力を持っていたということであろうな」


 ……今なんて言った?

 “ゼウス”と同等の力を持ってるって……!?


「吾輩は次々と天使たちを殺していった。ほとんど虐殺のようなものであったな。ところが、最後の一匹が最後の最後で吾輩に反撃をしてきた。それは、“まだ生まれていなかった、無の世界である下界に、吾輩を送り込み、仲間の死体と自らの命を使い、自爆して吾輩を爆殺する”というものだった」


 何が面白いのか、ニヤニヤしながら語るシャクス。


「そして、奴らは本当に自爆した。下手すれば、今の天界の10分の1くらいなら吹き飛ばせるほどであろうな。もちろん、吾輩はその攻撃によって深刻なダメージを受けた。だが次の瞬間……」


 ……なぜか、シャクスはそこで話すのを止めてしまった。


「おい、なんだよ。もったいぶらずに言えよ」


「言わなくとも、今の話を聞いていた貴様になら、おおかた何が起きたのか予測がつくのではないか?」


「え?」


 下界が完成する前、ってことは宇宙が始まる前……ってことか?

 そのときに、戦って自爆して、大爆発が……。


「まさか」


「そう、その爆発のせいで、宇宙が生まれた。人間は“ビッグバン”と呼んでいるな」


 嘘……だろ……?

 じゃあ、宇宙誕生の要因は……、この悪魔だっていうのかよ!?


「まぁ、なんだかんだあったが、何とか生きながらえることができた」


 他にも、シャクスは耳を疑うような話をした。



「今の地球は、吾輩が別荘として使おうとしたが、小さかったので隕石をぶつけて大きくしようとした結果できたものである」


「戦ったときに、間違って地球を破壊してしまってなぁ。元に戻そうとしたら、若干失敗してしまってな。そのせいで新たな原子配列が生まれ、最初の単細胞生物が生まれてしまった」


「世界をコピーして増やせば、吾輩の自由にできる世界を作れるのではないかと思って、増やしてできた世界が、ざっと数百はある。そのうちの一つが、この世界である」



「もう……もうこれ以上はいい……頼むやめてくれっ……!」


 もうこれ以上世界の真実を知りたくない……。

 科学者たちが何百年と研究してきた物たちの答えが、この悪魔の仕業だったなんて信じたくない……!

 あのイエス・キリストを復活させたのがこいつだなんて……。

 本能寺の変を行わせた元凶がこいつだなんて……!

 俺が童貞を卒業できないのも……!


「全部お前のせいだったなんて!」


「最後のだけは違う、が。そう、全て吾輩が引き起こした歴史である」


 シャクスは俺に歩み寄って、


「さぁ、今一度聞こう。本当に吾輩を倒せると思うか? 今、吾輩を倒す覚悟があるのか?」


「…………………」


 いや無理だろ、そんなこと。


「そう、無いだろうな。だが、吾輩は違う」


 え?


「今から貴様、いや、()()()をこの世から消し去る。貴様らは吾輩の住処に侵入してきた。これは断じて許されることではない」


「うそだろ?」


「覚悟するのだな」


 ……ど、どどっ、どうするんだよ!?

 戦っても勝ち目はないし、逃げることも無理そうだし。


「ちょっ、ちょっと待った!」


「……なんだ?」


 これに賭けるしか……。



「なぁ、取引しないか?」


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