表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/88

第23話 絶対服従の首輪

 占い師から、魔王軍幹部が1、2週間ほどで『ヴィンガル』にもう一度現れるという情報を得た俺は、急いでルートの屋敷にテレポートで戻った。


「アロマ、お前はまたここらへんで待っててくれ」


「わかったわ。待ってるわね」


 アロマと別れ、俺はルートのところへ向かった。




 ※※※※※※※※




「つまり、あと1、2週間で魔王軍幹部が現れると?」


「ああ、占いによるとな」


「しかし、その占いは信じていいものなのか? 当たる確証はないだろう?」


「ああ、その通りだ。でも、町の人に聞いても役に立つ情報は全く手に入りそうになかった。その占いだけが、唯一の情報なんだ。信じるしかないだろ」


「まぁ、たしかにそうだな……」


 ルートにとりあえず今の状況を伝えた。


「でだ、逆に考えれば、あと1か2週間は時間があるってことだ」


「ああ、そうだな」


「そこでだ。俺は一旦、魔王城に戻らせてもらうことにする。あの町に行っても、大した情報は手に入らない。それは、王都にいても同じことだろう。でも、魔王城には頼れる俺の仲間がいるんだ。なによりも、まずは幹部を倒すための準備がしたい」


 俺は、続けてルートに言った。


「とりあえず、まずは一週間後にここに戻ってくる。それまでは、一旦魔王城のほうで行動するつもりなんだが、それでいいか?」


 俺はルートに聞いた。


「もちろん、いいに決まっているだろう」


 ルートは俺に右手を差し出してきた。


「いい報告を待っているぞ、友よ!」


「……ああ、楽しみにしててくれよ!」


 俺はその右手を握り返した。




 ※※※※※※※※




 テレポートで、魔王城に戻ってきた。


「うぇっ……、なんか気持ち悪いんだけど……」


 しかし、テレポート直後、急に嫌悪感に襲われた。


「え? 魔王さま、もしかして『テレポート酔い』?」


「何……? その、テレポート酔いって……」?」


「テレポートに慣れていない人が、たまになったりすることがあるのよ」


「船酔いみたいなもんか……?」


「そう、そんな感じ」


 しかし、ちょっと気持ち悪い。

 少し横になったほうがいいかもしれない。


「アロマ、俺は部屋で休んでくるよ……」


「大丈夫? おっぱい揉む?」


「ちょっと大丈夫じゃないし、おっぱい揉んだところで気持ち悪いのは治んねぇよ……」


「ごめんごめん、冗談よ」


「マジで勘弁してくれよ……」


 気持ち悪いので、怒る気も失せる。


「でも、本当に大丈夫? しっかり休んでね?」


「ああ、ありがとう……」


 早く部屋に戻って、横になるとしよう。




 横になっていくらか時間が過ぎ、俺の体調も回復した。


「よし、元気! 爽快! さぁて、何をしようか……?」


 とりあえず、魔王軍幹部について情報を集めることから始めたほうがいいか?

 それとも、相手がスライムだとわかっているから、倒す方法を考えたほうがいいか?

 うーん、どうしたものか……。


「あ、そういえば」


 俺はバックの中から、黒い首輪を取り出した。


「こんなもの買ってたっけ」


 それは、王都のあのヤバそうな魔道具専門店で買った『絶対服従の首輪』という魔道具だった。

 たしか、これを着けた相手はこの首輪の持ち主の命令に逆らえなくなるというすごい魔道具だったはず。

 だけど、あの店主、条件があるとかなんとか言ってた記憶が……。


 お、説明書が付いてるな。

 ちょうどいい、読んでおこう。


「えーと……? まずは、持ち主の登録を行ってください」


 紙に書いてある手順通りに、持ち主の登録をしていく。


「……最後に、この首輪にあなたの魔力を少しだけ流してください」


 書いてある通りに、俺の手から首輪に魔力を流し込む。

 すると、首輪についているガラス玉のようなものが赤く光り、少しすると光が消えた。


「赤い光が付き、それが消えたら、持ち主の登録は完了です」


 俺は次の項目、使い方について読み始めた。


「この魔道具は、着けた相手を誰であろうと奴隷にできる魔道具です」


 いきなり一文目から物騒だな。


「しかし、その強大な力を使うためにはある条件をクリアする必要があります。首輪についているガラス玉を押してください」


 言われた通り、ガラス玉を押してみる。

 すると、ガラス玉から光が出て、空中に板のようなものが現れた。


「すると、光のスクリーンが現れます。そこに、条件が書いてあります。その条件をすべてクリアしたとき、初めて首輪のロックが外れます……か」


 早速、スクリーンに書かれている条件を読む。

 まずは一つ目の条件。



 ・自分が、1500cc以上の出血をしていること。



 ……一つ目からキツめのがきたな。


 成人男性の血液の総量は平均で体重の8パーセントほどとされている。

 俺の場合、体重は50キロほどだから、およそ4リットル、つまり4000ccが俺の血液の総量になる。

 人間は、血液が総量の3分の1から2分の1を失ってしまうと、とても危険な状態になる。

 長時間で少しずつ失うのならいいが、短時間でそれほどの量を失えば確実に死に至ってしまうだろう。


 1500ccは俺の血液の3分の1を超えている。

 1500ccも出血してしまうと、俺は生と死の境目を歩くことになるかもしれない。

 そんな状態になることが、一つ目の条件か……。

 あの店主が、難しいと言うのもうなずける。


 2つ目の条件は……。



 ・状態異常で麻痺状態であること。



 これも、難しそうな条件だ。

 いや、仮に俺が何らかの方法で麻痺状態になったとしよう。

 そんな状態で、どうやって相手にこの首輪をつけるんだ?

 だんだん、この魔道具の扱いの難しさが分かってきたぞ。


 3つ目の条件は……。



 ・天気が雨であること。



 ここにきて、まさかの天候かよ。

 さっきの2つよりはマシだけど、難しいことには変わりない。


 ようは、この魔道具は雨のときにしか使えないということだ。

 天候を自由に変えることができる魔法でもあればいいのだが、あいにくそんな魔法は存在しない。

 天候を変えるなんて、神にも等しい領域だ。

 そんなことができる人の話は、今まで聞いたことがない。


 だから、雨の日を待つしかないのだが、この魔道具を使いたいときに都合よく雨が降っているのはいったいどれほどの確立なのだろうか?

 今の季節が梅雨ならよかったのだが、残念ながらまだ4月だ。おそらく春の陽気な天気がしばらく続く。

 都合よく雨が降ることはたぶんないだろう。


 そして、4つ目。



 ・魔力の残り残量が0であること。



 これは難しくはないだろう。

 魔法をぶっ放しまくれば簡単に魔力は0になる。

 前の3つよりは、難しい条件ではない。


 問題は、最初の3つだ。

 この3つだけ明らかに難易度が高い。

 一つは、下手したら死ぬ。

 一つは、そもそもそんな状態になったら相手に首輪をつけられない。

 一つは、この魔道具を使いたいときに偶然都合よくクリアできる条件ではない。

 実際にこの魔道具を使うことは、現実的ではないかもしれない。


 まぁ、持っておいて損ではないだろう。

 うまくいけば、どんな相手でも自分の言いなりにできるんだからな。


「さて、こんなことしてる場合じゃなかった」


 魔王軍幹部について、どうにかしないといけなかったんだ。


「とりあえず、一回みんなと話し合いするか」


 俺はベッドから立ち上がり、皆のところに向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ