僕とバケモノの3年間
「あー、学校行かなきゃなー。もう12時か〜」
五人、倒れた血まみれの不良を後に彼はゆらりとその場を立ち去った。
「なんだ・・・あいつ人間じゃねぇ・・・」
白金色の髪をなびかせながら、彼は学校へ向かう。
「みんな!おっはよーっす!!」
教室の後ろの扉がガラガラと開く。堂々の遅刻にクラスメイトも慣れたものだ。
「おはようって、もう12時半だぞ!」
「まー、来ただけ褒めてよ〜。しんちゃん♩」
「また喧嘩か?内申点に響くぞ。龍。そしてそのあだ名やめろ。」
龍は拳と口からの出血を隠そうともせず、窓際の席に着く。
龍は自分から喧嘩は売らない。しかし、売られた喧嘩と自分の倫理に反することに関しては買ってしまう。そんな性格はみんな知っていた。
入学式の時、先輩にたかられている慎吾を助けたのを助けたのも「龍」だった。
龍曰く「なんとなく、通行の邪魔だった」らしい。
確かにそんなこと言ってた気がする。
そして龍は先輩達3人に囲まれて、慎吾が気づいた時には先輩達が床に転がっていた。
しかし、慎吾は「弱いやつに3人がかりなんて、見過ごせない」といった龍の本心には気づいていた。
龍は入学式早々に一週間の停学になった。
そして、この一件から龍と慎吾は仲良くなった。
龍は変なやつだけど、どこか憎めなかった。
この話は、そんな変なやつとの3年間の記録である。