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隣のお姉さんは大学生  作者: m-kawa
第一章
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005 五人のメンバー

 早霧さぎりまこと

 霧島きりしま裕美ゆみ

 冴島さえじまゆう

 黒川くろかわ冴子さえこ

 そして僕、黒塚くろつか誠一郎せいいちろう


 いつものメンバーと僕たちの中で言っている五人である。

 一年からずっと同じクラスで、結局最後まで同じクラスになることができたことを嬉しく思う。

 僕たち五人にはちょっとした共通点がある。

 くだらないことかもしれないけど、そのことに気が付いたときは皆ではしゃいだものだ。

 長いこと同じクラスにいたけれど、それに気づいたのが高校二年の終わりごろということにも笑った。


 まぁ、名前を漢字で書くと、誰かの字が誰かに使われていて、それが五人で一周するってだけなんだけどね。

 『霧⇒島⇒冴⇒黒⇒誠』といった具合だ。

 一年生のときの最初の班分けでこの五人になったけど、この繋がりに気づいてからはさらに仲が良くなったと思う。


 始業式で校長先生の無駄話をスルーして、今はホームルームである。

 担任の久留米先生が「今年から受験生だから~」などとあーだこーだ注意事項をしゃべっている。

 今日はこれを聞いたらすぐ解散になるはずだ。

 始業式の日は午前中で終わるから楽だけど、僕の場合は学食と購買部が開いていないのでお昼の用意をしないとダメだ。


「はい、では今日はこれで解散します」


 ようやく長い話が終わった。

 次々に生徒たちが席を立ち、数人は誰に声を掛けるでもなく早足に教室を出ていく。


「いやー終わったなー」


 早霧がさっそく僕の席へとやってきた。

 それに合わせて他の三人も僕の席へとやってくる。

 毎回僕のところに集まるというわけではないが、早霧が僕のところにやってきた理由には想像がつく。


「で、どこに引っ越したんだ?」


 僕の机の上に右手を置きながら早霧が僕に聞いてくると。


「えっ!? 何ソレ!? 私聞いてないんだけど!」


「どういうことなの、黒塚くん?」


「引っ越し……、ですか」


 三者三様の反応があった。

 前かがみになって人差し指で僕を差してくる黒川、腕を組んで僕を問いただそうとする冴島、戸惑いの表情を僕に向けてくる霧島の順だ。

 苦笑いをしながら、僕は登校時に早霧にした説明と同じことを三人にも説明する。


「へぇー、今は一人暮らしなのね?」


 感心したように黒川が言うが、その時に表情がニヤリとしたのは気のせいだろうか。


「それはオレも気になるね」


「だろ?」


「一人暮らしなんて憧れますね」


 どうやら皆して僕の一人暮らしが気になるようだ。


「よしっ、じゃあ今から黒塚っちの家に遊びに行こうか!」


「ええっ!?」


 なんでそうなるんだよ!


「「「いいね!」」」


 いやよくないから!!




 満場一致で決定したものを僕が覆せるわけもなく、結局五人で僕の自宅へと向かうことになった。

 引っ越したばっかりでそんなに散らかっていないから大丈夫だけど、ちょっと急すぎやしませんかね。

 まあ春休みの間に連絡しなかった僕が悪いと突っ込まれたら反論できなかったのでしょうがないんだけども……。


「そういえばお昼ご飯どうするの?」


 今日は家の近くのスーパーでお弁当を買う予定だったことを皆に話す。


「じゃあ私たちもお弁当買って、黒塚くんの家で食べる?」


 僕と同じ身長の霧島が提案すると、なぜか満場一致してしまう。


「家には連絡入れとけば大丈夫だし」


 冴島が突き出たお腹を揺らしながら言うが、ホントにみんな大丈夫なんだろうか。


「あ、ちょっとコンビニ寄っていいかな? 買いたい雑誌があるの」


 途中にあったコンビニを見つけると、僕より背の高い黒川がそう言うなり返事を待たずに駆けて行った。

 お弁当はコンビニよりもスーパーで買った方が安いので、他のメンバーはコンビニに用はない。


「お待たせー」


 すぐに合流すると、僕の住む部屋へと向かって駄弁りながら歩き出す。

 もう僕にとって馴染みになったスーパーでお弁当とお茶を買うと、マンションに着いた。


「エレベーターついてないからがんばって五階まで階段登ってね」


「……マジっすか」


 僕の言葉に冴島が脱力した。

 これをきっかけにダイエットでもするがよい。僕はちょっと慣れてきたよ。


「いやいや……、冴島じゃなくてもこれはキツイって……」


「……そうね」


 五階に着くころにはみんなもそれなりに疲れたようである。

 冴島はまだ四階と五階の踊り場だ。


 ――とそこに。


「あら、黒塚くんじゃない。……一緒にいるのはお友達?」


「黒塚くんこんにちは」


 腰までのストレートな髪を靡かせた秋田すずと、相変わらずのぼさぼさ髪で丸眼鏡の野花茜が階段を登ってきた。

 この二人も学校帰りなのだろうか。


「あ、こんにちは。確かにこいつらは僕のクラスメイトですね」


 苦笑しながら、いきなり押しかけられてますということを伝える。


「ふふ、仲良さそうなのはいいことよ」


「それにしても……」


 秋田さんが僕とクラスメイトをじっくりと見比べながら告げる。


「こうして見てると黒塚くんって、かわいいわね」


「はえっ!?」


 その言葉に思わず変な声が漏れる。


「そうかもねぇ……。じゃあまたねー。ばいばい」


 野花さんも僕らをしばらく交互に観察したあと、二人は二手に分かれてそれぞれの家へと入って行った。


「な、何なに!? 今のすごい美人さんはっ!?」


 なぜか黒川のテンションが上がっている。ただのお隣さんなんだが……。


「はぁ、はぁ……、そうだよ、黒塚くんだけ、ずるいよ」


 そして一人だけ遅れて階段を登ってきた冴島は、息を切らせながら意味の分からない非難を僕にするのだった。

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