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隣のお姉さんは大学生  作者: m-kawa
第一章
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017 おかわり

「というわけでさっそくなんだけど……、おかわりお願いしてもいいかなぁ?」


 秋田さんがダイニングテーブルに両肘を付けて、顔の前で両手を握りこんでさっそくお願いをしてきた。

 その両腕の真ん中で形を変えるおっぱいがなんとも言えない。

 微妙に視線を逸らすこともできずに、だけどできるだけ顔はテーブルを向くようにがんばる。


「……えと、カレーですか?」


 まさか麦茶のお代わりではないだろうとは思ったが、可能性は否定できなかったので念のため確認してみる。


「うん。そうそう。――あ、ご飯なら持参してくるから安心して」


 ええと何を安心すればいいんだろう? ご飯くらいならうちにもあるけど。

 でも確かにお腹空いたかも。時計を見るともう短い針は十二時を指している。

 学校の話も聞けたし、お昼ご飯くらいごちそうしても特に問題はない。というかカレーなら作り置きがあるし。

 あ、そうだ。


「冷凍でよければご飯ならうちにもあるので大丈夫ですよ。――それより、どうせなら違うカレー料理にしませんか?」


「えっ? 他のカレー料理?」


「どんなのがあるの?」


 僕の言葉に秋田さんと野花さんの二人とも食いついた。

 カレーを作ったあとの定番と言えばカレーうどんがあるけれど、僕は他にもレパートリーがある。

 というか母さんがいつも作ってたやつだけれど。


「定番のカレーうどんに、あとはカレードリアと、ドリアのご飯の代わりに食パンを使ったパンドリアってやつですね」


「へー、いろいろあるのね」


「じゃあそれ全部やろうよ! 三人いるし、ちょうどいいよね。わたしも手伝うよ!」


 秋田さんはやる気満々だ。しかも手伝ってくれるらしい。

 どちらにしろうどんと食パンは三人分はないし、グラタン皿も二つしかないのだ。何かしら違う料理にはなってしまう。


「じゃあさっそく作りましょうか」


 僕は苦笑しながら立ち上がるとキッチンへと向かう。

 成り行きでお昼ご飯を三人で食べることになったけど、こういうのもいいね。二人とも美人さんだし。


 ――そうなのだ。野花さんもよく見れば美人さんなのだ。


 ボサボサ頭に丸眼鏡で、第一印象はパッとしないんだけれど、よく見ればとても整った顔立ちをしている。

 髪型を整えてお洒落なメガネに変えるかコンタクトにすれば、とてもかわいいと思う。

 うーん。野花さんはなんでいつもこんな格好なんだろうか。


「私は何をすればいいかな?」


「あ、じゃあ――」


 僕はエプロンを掛けながら後ろを振り返ると、食器棚からグラタン皿を二つと、冷蔵庫からマーガリンを取り出してダイニングテーブルに置くと。


「マーガリンをお皿に塗っておいてもらえますか」


「おっけー」


 秋田さんが元気に答えるとお皿にマーガリンを塗り始める。

 エプロンは一着しかないのでキッチン前へは僕が立つことにする。


「あとは食パンを一枚焼いておいてもらえると嬉しいです」


「わかったわ」


 こっちは野花さんがやってくれるようだ。

 食パンは見えるところに置いてあるし、教えなくても大丈夫だろう。


 その間に僕は冷凍庫からご飯を取り出してレンジに入れて解凍し、同じく冷蔵庫から出した袋入りのうどんつゆをお鍋に入れて火にかける。

 もちろんカレーの入った鍋もコンロに掛けて火を点けた。

 温まるまでの間に冷凍庫からすでに刻んである油揚げを取り出してうどんつゆの中に放り込む。

 ついでにうどんも投入してしまえ。


「食パン焼けました」


「あ、ありがとうございます。じゃあ適当にちぎってグラタン皿のひとつに敷き詰めてもらえますか」


「はーい」


 マーガリンを塗り終わったグラタン皿を秋田さんから受け取って、野花さんが食パンを手でちぎって並べていく。

 レンジのご飯も解凍が終わったのでお皿に取り出して、温まったカレーを少量かけると、粉チーズを振りかけて混ぜる。

 混ざったカレーをもうひとつのグラタン皿に敷き詰めると、さらに上からカレーをかける。ついでに敷き詰め終わった食パンの上にもカレーをかける。

 僕は冷凍庫からチーズを取り出すと秋田さんに手渡してあげる。


「お好きなだけ乗せてください」


「やった!」


 秋田さんはチーズ好きだろうか。お皿にこれでもかと盛っている。

 僕は茹で上がったうどんの火を一旦止めておく。


「あとはドリアをトースターで焼けば完成ですね」


 食パンを焼いていたトースターへと、今度はグラタン皿を投入する。

 実家から持ってきたトースターなので、グラタン皿も二つ同時に焼ける大きい奴だ。


「一人暮らしなのに大きいオーブントースターですね。……そういえば冷蔵庫も大きいし」


 野花さんが珍しそうに聞いてくる。

 このあたりの家電は実家から持ってきたやつなので家族用のサイズになっている。


「全部実家から持ってきたやつなので、一人用じゃないんですよ」


 トースターの前に張り付いている秋田さんを眺めながら僕は答える。


「あら、そうなの」


「両親が海外転勤になっちゃったんですけど、どうせ僕一人になるなら学校が近いところに引っ越そうって話になって……」


「えええ!? じゃあ夏休みとかどうするの? 実家……は誰もいないの?」


 僕の話を聞いていた秋田さんがトースターから離れて僕に詰め寄ってくる。

 いや、あの……、近いです。


「……元々住んでた家は引き払っちゃったのでないですね。あえて実家と言うんであれば……、ここ……なのかな?」


 自分でもしっくりきていないが、床を指さして今住んでる家を示してみる。


「そうなんだ……。ちょっと寂しいね」


 そんな僕に憐憫の眼差しを向けてくる秋田さん。

 そこまで同情してもらわなくても……、と思いながらも秋田さんの気持ちは嬉しい。


 と、そこで『チン』とトースターが音を立ててドリアの出来上がりを告げてきた。

 ほどよく焦げ目も付いていい感じだ。


「あ、できたみたい」


 秋田さんがキッチンの流しにぶら下がっている鍋掴みを持って、トースターからグラタン皿を取り出してくれる。

 じゃあ僕はカレーうどんを仕上げようか。

 うどんの鍋とカレーの鍋に再度火を点けて温めると、うどんをどんぶりに移し替えてカレーをかけると刻みネギを散らした。


「はい、できあがりです」


「おおー、どれも美味しそう!」


「お二人が先に選んでいいですよ」


 自分で作った料理なので、二人に先を譲る。


「えー、じゃあわたしは食パンにしようかなー」


「じゃあ私はドリアをいただきますね」


「はい。僕はカレーうどんで」


 みんなにお箸やフォークを配ってさあお昼ご飯だ。


「「「いただきます」」」

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