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隣のお姉さんは大学生  作者: m-kawa
第五章
134/136

132.5 顔合わせ

「ただいまー」


 三時間かけて帰宅した僕たちは、ようやくマンションへと到着した。すずは一旦荷物を置くために501号室へと帰って行った。すぐに戻ってくる予定だからそのまま僕の両親とも顔を合わせることになる。


「おう、おかえり」


「おかえり、誠ちゃん」


「はぁ……、疲れた」


「ほほぅ、お前のスーツ姿もなかなか似合ってるじゃないか」


 着替えようとして自室へ向かう僕の足を止めたのは、父さんの言葉だ。今日は朝早かったからか、僕が家を出るときは母さんにしか会っていなかった。まったく、息子が気合いを入れて彼女の親に挨拶に行く日だというのに、見送りもなしとはどういう了見だろうか。


「ちょっと待ってろ」


「ええ……?」


 何があるんだと待っていると、父さんが寝室――最初物置にしていた部屋から一眼レフを持って出てきた。つまり僕のスーツ姿の写真でも撮りたいということだろうか。……まぁいいけど。


「ほれ、ビシッとまっすぐ立って」


 げんなりしながらも言われた通りに姿勢を整える。さすがにスタジオでの撮影と違って、気分は乗ってこない。カメラを構えているのが父さんということもあるかもしれないけれど。

 カシャッカシャッとシャッターを切る音が何度かすると、父さんも満足したようだ。


「よし」


「うふふ。いい写真は撮れたかしら」


「おう、息子のくせにカッコよく写ってるぞ」


 なんだよそれ。これでも一応モデルやってるんだぞ。

 心の中で文句を言いながら、自室へと戻ると普段着へと着替える。リビングへと戻り、撮った写真を眺める両親を尻目に、冷蔵庫からお茶を出して一服だ。


「ふう……」


 一息ついているとすぐにインターホンが鳴る。もしかしてすずかな?


「僕が出てくるよ」


 ふと顔を上げた母さんに一言告げると、そのまま玄関へと向かった。玄関を開けると予想通りの人物が、少し緊張した笑顔で立っていた。


「おかえり」


「ただいま。……あはは!」


 もはや当たり前となった『おかえり』と『ただいま』に、思わず二人で顔を見合わせて笑ってしまう。

 リビングへと顔を出すと、二人は相変わらずカメラと睨めっこをしていた。一体いつまで写真を見ているんだろう。


「こんばんは」


「おう、こんばんは。久しぶりだね」


「いらっしゃい。すずちゃん」


「お久しぶりです」


 軽く会釈をするすずに、父さんと母さんも軽く挨拶を返している。


「……で、誠一郎よ。どうだった?」


「え、あー、うん……。まぁ、うまくいったかな……」


 唐突に結果を尋ねてくる父さんに詰まりながらも答えると、ニヤリとした笑みだけが返ってきた。


「あらあら、よかったわねぇ、誠ちゃん」


「だから心配すんなって言っただろう」


 いや、『だから』の意味がわからないんですけど。


「お義父さん、お義母さん、これからもよろしくお願いします」


 僕一人が渋面を作っていると、隣からしっかりとしたすずの挨拶が聞こえてきた。


「こちらこそよろしくな。頼りないかもしれんが、誠一郎を見捨てないでやってくれ」


「そうねぇ、娘ができたみたいでわたしも嬉しいわ。よろしくね」


 こうして改めて、すずと僕の両親の顔合わせも無事終えた。

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