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マイナスからの学校生活  作者: 麻婆
2/4

最悪なスタートダッシュ 弐

ふと、目が覚める。

改めて自分がやった事が現実だったんだ、と実感する。


「うぁぁぁぁぁぁ…最悪だぁ…」


さっき体育館で起こった事を鮮明に思い出す。

早く忘れたい。

だが、あんな大事件忘れられるわけが無い。

あそこで携帯を触らなければ、と今更思う。


保健室で1人、唸り声を上げているとノックも無しにドアが勢いよく開く。


入ってきたのは、女性だった。

ショートカットに少し焼けた肌、身長は俺よりすこし低いぐらいか。

整った顔立ち。綺麗というより可愛いという印象を受けた。

この学校の制服を着ているので十中八九この学校の生徒だろう。


何か保健室に用事でもあったのだろうか。

座っている姿を見られるだけでも恥ずかしいな。


「君。大丈夫だった?さっき最大に吐いてたけど。」


「大丈夫じゃないですよ…最悪ですよ。最悪。」


俺の心配?

まぁ、そんな訳無いよな。

どうせ、からかいにでも来たのだろう。


笑えばいいさ。

もう終わったことだ。これから何しようと過去は変わらないのだから。


「笑えばいいですよ。もう、どうせ失う物なんて無いようなものですから。」


「別に君の事を笑いに来たわけじゃないよ。保健室に用事があったからついでにお見舞いしてあげてるの。」


俺の事を心配してくれていたのか。

心配してくれるのは嬉しいんだけど…

その気遣いが痛いです。


「ご心配ありがとうございます。

それと、失礼ですけど、どちら様ですか?」


「あぁ、自己紹介が遅れたね。私は佐倉舞。

生徒会長をやらしてもらってるよ。」


佐倉。どこかで見た覚えがある苗字だ。

まぁ、特に珍しいという訳でと無いし、気のせいだろう。


「生徒会長だったんですか。らしく無いですね。」


「君、中々失礼だね。

それと、まだ君の名前聞いてないんだけど?」


「あぁ、すみません。穂村稀です。」


「マレくん?珍しい名前ね。」


「よく言われます。」


少し珍しい名前、その上少し女っぽい名前ということを気にかけている。

けど、この名前をつけてくれたのは母さんだ。それほど嫌ではない。


「悪いけど私、式に戻らないといけないから。

君の名前覚えておくよ。それじゃあ。

あ、あと体調良くなったら式に戻ってね。」


彼女はまた勢い良く戸を開き保健室を出て行った。

素直に可愛いかった。一目惚れしかけた。

はぁ、あんな事がなければ普通に出会えていたんだろうな。


そんな事を考えながら窓の外を見る。

桜は咲き誇り、晴れ晴れとした青い空。

入学式日和といってもいいのだが、それほど嬉しくなってしまった。


体調はそれはど悪くないので式に戻ってもいいが…

戻りづら過ぎる。あんな凄惨な現場を作っておいてのこのこ戻れるわけが無い。

だが、戻らないと何も進まないので、重い足を動かし、体育館へ向かう。



体育館へ着いたはいいが、1人では入りづらい。

なのでどこかに先生がいないか体育館の周りを探し回った。

幸運にも入り口の前にさっき助けてくれた先生が立っていた。


「すみません。」


「おぉ、君か。大丈夫か?

体調悪かったら帰ってもいいぞ?」


「いえ、大丈夫です。式に戻ります。」


「そうか、中々メンタルが強いな。」


俺は先生に連れられ席に向かう。

みんなこっちを見ている。とても気まずい。


さっき事件の起きた椅子に座る。

左右からの視線が痛い。多分引いてるよな。


俺が吐き出した物は既に片付けられていて、式は再開されていた。


今は、校長先生が話している最中だ。

本来はありがたい話のはずなのだが…全く頭に入ってこない。

俺からしたらただのお経だ。そう。俺は死んだも同然なのだから。


どんどんネガティヴになっていく。

このまま鬱になってしまいそうな勢いで。


勝手に1人で落ち込んでいるうちに校長先生のお話は終わっていた。


司会からのアナウンスが入る。


「次は生徒会長からのお話です。」


壇上に1人の女性が登っていく。

そこには舞先輩の姿があった。


本当に生徒会長だったんだ。

生徒会長って黒髪ロングのイメージが強いけど。

まぁ、それは俺の偏見か。現実なんて色々だよな。


「新入生の皆さん。この度はご入学おめでとうございます。生徒会長の佐倉舞です。」


挨拶をし、話が始まった。


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